side槍田日巡璃
「皆。夏休みは楽しめたかな?」
8月もまだ半ば。私たちヒーロー科はそれぞれのクラスに出席していた。
久あしぶりのスネイプ先生。先生全然変わってないね!
「それでは事前に連絡があったと思うが、今日から仮免許試験を見据えた訓練を行うことになる。しっかりと励むように。」
「「「はい!」」」
「……と言ってもA組と同じ時間で使う訳には行かないので、今日は別のことをしようと思う。」
「別の事?」
「ああ。皆にヒーローネームを決めてもらう。」
「「「ヒーローっぽいことキタアアアアアアアッ!!!!」」」
ヒーローネーム!!いいじゃんいいじゃん!どんなのにしよっかなぁ!!
「それで私が監督してもいいが、そういうのに慣れてそうな人を用意した。……入ってきてください。」
ガラッ……
「おっはよー!」
「「「傷原先生!?」」」
おねーさん!?!?
「はい。傷原先生ですよ〜。それでは皆の考えたヒーローネーム、私が審査しますね?色々と世間体的にマズすぎなければOKにするからじゃんじゃん出しちゃって?」
「「「はい!」」」
…………と言ったのはいいものの。
「……どうしよ。」
手元のホワイトボードとにらめっこ。
あまりにもピンと来ない。うーん……私らしいヒーローネーム……私らしいヒーローネーム……
「…………うーーーんん??」
「……皆結構悩んでるみたいね?」
「……そりゃそうっすよ!一大イベントですよ!?」
「イベントって……まぁそうだけどねぇ。……名は体を表す。自分がつけたヒーローネームは、ずーっと着いて回るわよ。名前を背負って。名前に恥じない自分になるの。……しっかり考えてちょうだい。ね?」
「……せんせー!」
天気ちゃんが手を挙げる。……なんか天気ちゃん日焼けしてない?外で遊びまくったな??
「はい。青空ちゃん。」
「せんせーはなんでブラッドロータスっていうヒーローネームにしようと思ったんですか?」
「え?私??」
「あっ聞きてぇかも!」
「なんか参考になるかもしれないしね!」
「うーん……まぁいいよ?」
「「「やったー!」」」
みんな喜んでるところすっごく悪いんだけど……
「…………日巡璃は知ってるの?」
「当然。」
「……そりゃそうよね。」
私は知ってるからなぁ……それを参考にした上で悩んでるから…………私って結構優柔不断なんだなって。うーん……どうしようかな……
「私がブラッドロータスって名前にしようとしたきっかけは、私が血を操れるから英語でbloodと、私のヒーローコスチュームが元々花をモチーフにしてたから語感がいいLotus。これを合わせてブラッドロータス……ってこと。」
「へぇ!結構……適当なんですね?」
「「「ブッ!?」」」
「天気!!」
「急に失礼すぎる!?」
「えっあっ!?ごめんなさい!!!」
「天気ちゃんおもろ〜!」「急に刺すじゃん!」
「いいのいいの!……まぁ本当に適当だしね。今は気に入ってるけど。……実際私の名前が有名になった時、ブラッドとかいう怖い名前がチャートに乗るってどういうことだってクレームが来たことあるからね。公安に。」
「「「えぇ!?!?」」」
そんな人居るんだ…………まぁ……怖い……か?
「私は元々名前を売るつもりはなくて……イレイザーヘッド先生と一緒ね?裏でコソコソ活動する予定だったんだよね。でも色々タイミングが重なって、事務所を建てることになったんだ。そのタイミングでビルボードチャートに乗ることにしたの。名前も知らないメディア露出もほぼないヒーローの事務所が建ってるとか意味わかんないしね?」
「…………たしかに。でも急に上がりましたよね??」
「確かにね?公安委員長に元々私が正式に評価されたらチャート100位以内は当然とか言われてたからガンガン上がったのもあるかも。…………まぁ私が嫌だって言って止めてもらってるんだけど。」
「「「えぇ!?!?」」」
「ちょっ……ちょっと待ってください先生!先生は公安委員長に口答えできるんですか!?」
「あれぇ〜?言ってなかったっけ?私元公安所属だからってのもあるし……単純に公安委員長の事よーーーーく知ってるだけだよ。もう腐れ縁だね。10年以上だよ。」
「…………先生って結構活動歴長いんですか?」
「18からヒーローやってるから……もう14年?」
「「「ベテランだ……」」」
「でもブラッドロータスなんて名前聞いたの最近だよな?」
「うん。最近まで知らなかった……全然大ベテランじゃん。」
「……離さんは知ってた?」
「活動開始は知ってたけど……公安委員長に話つけてチャートの乗らないようにしてたのは知らない。…………っていうか9年前くらいの福岡の事件とか、敵連合との大戦争で活躍してる映像があったのにチャートに乗らなかったのが意味不明だったから……少し腑に落ちたかも。それで……」
ガリガリガリ……
「…………あ……うん。」
引子ちゃん……能面くん引いてるよ?
「もう……相変わらずどすなぁ……」
「はい!私の事はこんな感じかな?じゃあ皆の名前も聞こっか!!」
「ちょ!?まだ決まってないです!!」
「話聞いてばっかりだった!!」
「まぁずい!!」
皆戦々恐々としてる……うん。私は決まったかも!
「はい!おねーさん!!」
「お!日巡璃ちゃん!決まった?」
「うん!」
「じゃあ教壇に立ってみんなに披露してみて?」
言われた通り、ホワイトボードを持って教壇へ。
「よーし!緊張するけど……これ!エスネイラー!!」
「いいじゃない。理由を聞こうかしら?」
「はい!英語でかたつむりってスネイラーって言うらしくて、それとエスカルゴのエスを合わせてエスネイラーです!!」
「ふんふん。いいじゃない!エスをSにしなかった理由は?」
「そっちの方が親しみがあるかなって!子供でも読みやすいし!」
「合格!」
「やったーー!!」
1発合格だ!!
「「「委員長ォ!!」」」
「流石だぜ委員長!」
「幸先いいな!」
「いよっ!切り込み隊長!!」
「もう!そんなに褒めても何も出ないよ!…………切り込み隊長は褒めてる??」
まぁその後どしどしと……
「ウェザーレインボー!」
「ミリオンヘッド!」
「Mr.スナック!」
「「ダブルシャドゥ!」」
「イダテン!!」
「ピカリン!」
「イレギュラーマスク!」
「スカルガール!」
「ワンショット!」
「ヒトフデ!」
「ミセス・ガウス!」
色々でてきたけど……まだまだ難しいらしく……
「すまねぇ甘麻呂!……全然浮かばなくてよ……」
「いいでありますよ!一緒に考えるであります。」
「僕もお願い。」
とか
「……僕にふさわしい名前……なかなか無いものだネ!」
「発想力の問題ッスよ弾野原サン。」
「俺たちはできたぜぇ?遅せぇんだよなぁ?」
「ふふん。友の反応が胸に響くよ……」
とか
「よく思いついたね2人共。」
「僕は予め色々考えてたからね!」
「ワシもやな。まぁ何つーか……気楽でええで?」
「……そうかなぁ……」
とか……私の目の前の人とか。
「……お嬢様の愛を……どうヒーローネームに落とし込めば……」
「そんな必要多分ないよ??」
「……私できたから行ってくるわね。」
「なっ!?カノーテス様!私と仲間じゃ……!!」
「お先に。」
「ルール・オブ・グラント。ルールを与える者。……どう?」
「いいんじゃない?合格よ!」
「かっけぇ……」
「なるほど……おい甘麻呂あれっぽいの無いか?」
「……ぐぐぐ…………あと女子は……私だけ……」
「愛ちゃんこういうの苦手なんだね……」
「いえ!……お嬢様の愛を形にするとなると……難しいだけで……」
「委員長はん難儀やなぁ?」
「もう慣れたよ。可愛いって思ってる。」
「……これがハーレムの王の器か……」
「誰がハーレムの王じゃ!」
これはもう少し時間がかかりそうだなぁ……