※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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いざ実践

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

「力の使い方とか難しい話したけど、やることは簡単よ。例えば拳。」

 

おねーさんはスっと拳を突き出す。

 

 

「このパンチ1個とっても、私たち人間は腕を引いてから拳を突き出すみたいに、動きを細分化できるの。これをどこまで意識して細分化出来るかってこと。」

 

「意識して細分化……?」

 

 

「腕を引くってことも、もっと小分けにすれば肘を曲げる、拳を握る、肩を後ろに引くとか考えられるでしょ?これが細分化ね?無意識に出来ていることを意識化するの。」

 

肘を曲げたり、肩を引いたり実際にゆっくり動きながら説明。……うーん?

 

「なるほど……?」

 

「あんまピンと来ねぇな?」

 

 

「最初は誰だってそうよ。無意識に出来ることを言語化しろっつってんだから難しいわよ。呼吸って何?って言われてもあんまりよく知らないでしょ?」

 

 

「……息を吸う……酸素を取り込む?」

 

「二酸化炭素を吐く……みたいな事か?」

 

「血液中に酸素を送り込むみたいなこともあったはずだ。」

 

 

「私はそれ以上のことをしろって言ってるの。血液中に行った酸素はどこに行くの?酸素はどこでどうやって二酸化炭素になるの?みたいなね?極論だけどさ。」

 

……確かに。あんまり意識したこと無かったかも。無意識に出来ることって言われてみればよく知らないかも。

 

 

「へぇ……難しいね?」

 

「…………聞いててもあんまりピンと来ねぇな。」

 

「うむ。もう少し聞いてみようじゃないか。」

 

 

「この考え方をパンチ1個に落とし込むと、パンチって腕だけじゃなくて、地面を蹴ってる足も、拳を引っ張る大胸筋も、回転を加える腰も、足首も、なんなら手首だって。ぜーんぶ意識して使えるようになれば馬力はどんどん伸びるわ。」

 

おねーさんが1個づつ実践して見せてくれる。足を踏み込んで、腰を回して、胸で腕を引っ張るように拳を突き出す。

 

 

「……パンチの認識を拳だけに抑えないってこと?」

 

「そういう事。腰の回転も、足の踏み込みも、1個づつ全部適正な力を込めれば乗算で結果……破壊力は増すわ。……例えば初めての模擬戦……対人訓練の時覚えてる?」

 

「……私がビルぶっ壊したやつ??」

 

「そうそれ。あれは拳を突き出すだけじゃなくて別の力も加わってたんだけど……」

 

「…………?」

 

「……重力か?」

 

「あぁ!そっか!!」

 

私確かにジャンプしてからパンチしてた!

 

 

「香曽我部くん正解。元々の攻撃力に乗算して重力が乗ってた。だから攻撃力が増したのね?」

 

「攻撃力に……重力……!」

 

「……まじでビルぶっ壊す勢いだったからなぁ……」

 

「香曽我部くんは当たらなくて良かったな。」

 

「ホントだよ。」

 

 

「ちなみになんだけど、しっかり身体を使えれば多分ぶっ壊せてるわ。」

 

「「「え!?」」」

 

 

「うーん……これは実践して見せた方がいいわね……ちょっとまっててね?セメントス先生!!」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと……おねーさん……これは?」

 

「え?瓦。まぁコンクリ製だけど。」

 

「いや……わかるんだけど……」

 

 

見上げる。

 

「何枚あるの……?」

 

「300……400くらい。」

 

「「「400ゥ!?」」」

 

「セメントス先生に適当に作ってもらったからわかんない。」

 

 

TDL(トレーニングの台所ランド)の天井に着きそうなくらいの瓦が積み重なってる……え?今からこれ全部割るの?

 

 

「……一応聞くんだけど……何するの?」

 

「瓦割り。1回で全部割ってみせるわ。」

 

 

特に準備運動もせず、スっと立ってるおねーさん。……出来るとは思うよ?思うけどさ……全然想像できない。どうやってあんな上まで行くの?誰かに持ち上げてもらう?

 

 

「でもよぉ先生……どうやって上行くんだ?無理だろ。俺とか流鏑馬みてぇに飛べねぇと……」

 

「……それは個性の使い方次第ね。しっかり離れててね〜?」

 

おねーさんの両手両足が赤く染まる。あ……これ……

 

「エスコルチア!久しぶりに見た!」

 

 

「「エスコルチア?」」

 

「えっ!?エスコルチアって言った!?ブラッドロータス先生何すんの!?」

 

 

ヒーローオタクが噛み付いてきた……

 

「引子ちゃん……もう終わったの?」

 

「今休憩中!それよりも!こんな面白そうなことしてるなら言ってよ!」

 

「一応授業中だよ!!」

 

 

「いいわよ。日巡璃ちゃん。……私も久しぶりだしね〜。……さぁて……見てて?」

 

 

おねーさんがグッと体勢を下げる。重心を落とし……跳躍。

 

ダァン!!

 

 

「速ぇ!?」

 

「これがプロヒーロー!?」

 

「もう上居る!!」

 

 

よく見るとおねーさんが天井に張り付いてる。

 

どうやってるのそれ!?血でできるものなの!?

 

 

「いくよ〜!」

 

一言。

 

その一言だけ。

 

おねーさんがすごいスピードで瓦に向けて突撃。手刀を振り下ろす。

 

ドガッシャァアアアン……

 

 

 

 

 

轟音、そして飛び散るコンクリートの欠片。

 

大きな砂煙とともに、真っ赤なおねーさんが出てきた。

 

 

「ま……こんな物ね。」

 

「きゃー!!きゃー!!エスコルチアかっこいい!!うわぁ!!かっこいいかっこいい!写真撮っていいですか!?」

 

「だーめ。ブラッドヘリアンサスに許可とってね。」

 

「……ヴッ……関係性……尊い……」

 

引子ちゃんどうしたの???

 

 

「全ッ然参考にならねぇ……」

 

「まぁ瓦とビルは全然違うけど……多分私でもビルくらいなら壊せるわ。」

 

「……あれ見たら出来るだろうなとは思いますが……」

 

「私が言いたいのは力の使い方。……見て?」

 

おねーさんが私達に手を見せる……糸?赤い糸が……

 

「私はこれを引っ張って速度と破壊力を上げてたの。」

 

 

地面にくっついてた。いつの間に……

 

「これを引っ張りながら体の回転と、速度が充分に乗った攻撃を少ない面積で対象に当てた事で……こういう結果になったってわけ。対人戦闘訓練の時は、乗ってた力が少なかったのとインパクトの瞬間が面積が広かった。だから突き刺すダメージじゃなくて破裂させるダメージだってわけ。」

 

おねーさんが手で実践しながら見せてくれる。ダメージを奥まで届けるなら接触面積は少ない方がいい……ってこと?

 

「「「……なるほど……」」」

 

「それと……」

 

「身体強化のエスコルチアで破壊力を増した訳ですね!」

 

「………………そう。」

 

割って入るヒーローオタク。

 

「引子ちゃん……」

 

「本当にかっこいい!……幻だよこれ皆!槍田は一旦置いておいて皆知らないでしょこれ!?ブラッドロータスといえばこれ!エスコルチアといえばブラッドロータスだよ!!」

 

あっ変なスイッチ入っちゃった!

 

「そ……そうなのか??」

 

「すまない……僕もあまり存じ上げなくて……」

 

「えぇ!?知らないの!?じゃあ教えてあげる!これは映像記録に残ってるの自体少なくてレアなんだけど、初めて映像に残ったのが9年前の福岡の事け……」

 

「引子はん?」

 

「何……ヘブッ!?!?」

 

引子ちゃんの鳩尾に拳が……

 

「……引子はん?頑張ってらっしゃる皆さんの邪魔しちゃあきまへんよ??」

 

憂世ちゃん!!

 

「頑張り屋さんフェチの憂世ちゃんだ!助かった!!」

 

「なっ!?そんなフェチズムありまへん!!」

 

憂世ちゃんが顔真っ赤にして否定する。

 

 

「ありがとな!頑張り屋さんフェチの圖書!」

 

「ちょ!?香曽我部はんまで!!」

 

「うむ。恩に着るぞ!頑張り屋さんフェチの圖書くん!」

 

「副委員長はん!!…………槍田はん……後で覚えておきなはれ。」

 

ズモモモモモ…………

 

「え!?なんか悪いこと言った!?」

 

 

 

 

 

「日巡璃こういうところあるのよね〜……」

 

「まぁそれがお嬢様のいいところではあるんですが……もう少しデリカシーを……」

 

「だったら注意してやれよ。」

 

「「倍返しされてる日巡璃(お嬢様)は捗るから。」」

 

「…………一体何がだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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