side槍田日巡璃
「えぇ!愛ちゃん寮にするの!?」
「はい。お父様とお母様に相談をした結果……寮暮らしをさせていただく運びとなりました。」
対人戦闘訓練の翌日、皆に挨拶してたら愛ちゃんにそう告げられた。
「へぇ〜!どうして??」
「お嬢様の身の回りのお世話をさせていただく為です。」
「おじょ……私ィ!?」
何も恥ずかしげもなく堂々と言われてびっくり。
「はぁ!?なにそれ!!聞いてないんだけど!!!」
カノーテスちゃんが大声をあげてさらにびっくり。
「修羅場だ!修羅場!!」
「動画撮っとこうぜ!」
「やめて!見世物じゃないよ!!」
みんなを手で制する。最近皆のノリが私いじりになってきてる!!これはまずい!良くない気がする!!
「それよりも!身の回りのお世話って何!?頼んでないんだけど!!」
「私の家系は代々従者……執事とメイドの家です。多くの有能な従者を輩出した反面……私のように理想の御主人様に出会い、一生を添い遂げることを夢見ている者が増えています。」
「へぇ〜。ロマンチックだね。………………私のように?私のようにって言った!?」
なんか聞き捨てならない言葉聞こえたんだけどォ!?
「「「ヒュ〜!」」」
「男子!茶化さないで!!」
「はい。私も常々夢見ておりました。私を守り導き、それでいて私が守り導ける。まさに太陽と月のような関係になれる御主人様を!それが貴方様なのです。私の愛しい貴方様。」
愛ちゃんが片膝を着いて手を差し出してくる。
「ひ……ひぇ……」
顔熱い!!超熱い!!私今絶対顔真っ赤だよ!!
私よりも身長は低いとはいえ、女子の中では高身長。それでいて前髪を片目が隠れるくらい斜めにカット。金色のインナーカラーを入れてるつり目のイケメンフェイス。
ひぇぇ……こんな人が私を愛しい!?嘘でしょぉ!?
「……何勝手に日巡璃の都合も考えずにくっつこうとしてんのよ!!!」
カノーテスちゃんが間に割り込む。
「おや。自分の気持ちも素直に伝えれないような軟弱者など敵ではありません。」
「なっ……なななななっ!!??」
……え?カノーテスちゃん??
「私はお嬢様を愛しております。お慕いしております。従者としても。女性としても。」
真っ直ぐな言葉に胸が高鳴る。もっと顔が赤くなる。ひえぇぇえ……私の許容量が……
愛ちゃんが立ち上がる。
「私のこの今まで感じたことの無い胸の高鳴り。これは愛。恋です。きっとお嬢様は私めの想いに応えていただけます。応えさせます。私の全てを使って堕とします。」
「待って待って!だって入学してからまだ1週間も経ってないよ!?そんなの時期尚早!早すぎるって!!」
精一杯の反撃。両手を前にして後ずさる。
「女性同士は否定されないのですね。お嬢様……私恐悦至極に存じます。」
思わず手を引っこめる。
だっておねーさんたち女の子同士で結婚したし!!普通だと思ったんだけど!!
「お嬢様……。」
手を伸ばされる。ひ……ひえぇぇ…………
「…………うがーーー!!」
カノーテスちゃん!?急に吠えてどうしたの!?
「好きよ!大好き!」
「…………え?」
カノーテスちゃんは私に振り向く。
「槍田日巡璃。私はあなたの事が好き!入試で会った時から!ビデオ通話してる時も!していない時も!入学式で会っても!家に帰っても!ずっとずっと胸がうるさいくらいドキドキしてる!これって恋でしょ!?」
私に負けないくらい顔が赤いカノーテスちゃん。
「ひ…………ひぇぇぇぇ。」
「「「ヒュー!!!」」」
これって……こっ……こここっ……告は……く……
「だから負けない!負けたくない!!憎田愛!!私絶対負けないから!」
「その宣戦布告受け取りました。良いでしょう。これからは正式なライバルとして認めます。」
「……なんか大変なことになってきたね。」
「そうどすなぁ……。」
「槍田ちゃーん。がんばー!」
「槍田〜。」「だいじょぶそ〜?」
無理です!だから助けて!!
「わ…………私中学まで虐められてたんだよ??そんな人好きになる人なんていないって……!」
「「ここにいます。」いるけど?」
2人は胸を張る。
「アンタとはたしかに私の一目惚れだったけど、このクラスでビデオ通話もしたしアンタと1番長く付き合ってる自信あるわ。その私がアンタの内面も込でさらに好きになったのよ。分かる!?」
「ぴぇ!」
「たしかに歴に関してはこの女に負けますが……たかが数日。私が追い求めた主様。私の目に狂いは無いです。私めは免許皆伝としまして、昨日当主様より既に家名を継がさせておりますゆえ。私めの目が間違っているのであれば我がサーヴァント一族の恥。そのような事は消していたしません。」
「ぴっ……」
も……もう無理……
「はぁ!?サーヴァントメイドなのアンタ!?」
「サーヴァントメイド?」
「……日本どころか世界に名前を轟かす由緒正しきメイド、執事協会よ。…………憎田って何処かで聞いたことあると思ったら……。」
「おや。やはりディミトリウ様は知っておられましたか。」
「僕の家にもいるよ。お世話になってます。ありがとね。」
「氷叢様も……。」
みんながなにか話してるようだけど……頭に入ってこない。
「……人は両親ギリシャ人で元々顔面偏差値高ぇお嬢様。方や世界有数のメイド輩出してるすげぇとこ。……うーん!槍田さん入学早々とんでもないね!」
「満〜。んな事ほっておいてゲームしようぜゲーム。」
「うおおお!これは青春ッスね!!」
「あれれ?」「槍田ちゃんどした?」
なんか……フラフラして……
バタン
「槍田!?」
「槍田はんが倒れた!!」
「おい!男子!手ェ貸せ!槍田倒れた!保健室連れていくぞ!」
「ねぇ!日……璃!……だ……」
「お……様……!」
意識が……ががが…………
「……過度なストレスによるショックね。1回寝てなさい。」
「……はぁーい。」
気がついたら保健室。おねーさんに頭を撫でられてる。
「1限目はもう終わっちゃうから……クラスの子にノート写してもらいなさいね。」
「…………はい。」
おねーさんが優しい目でこちらを見下ろす。
「…………日巡璃ちゃんは苦労する星に生まれてるのね。」
「苦労する……星?」
「うん。嫌われてても。好かれてても大変な人生ってこと。」
「……えぇ……ヤダよぉ。」
そんなぁ……せっかく高校では虐められないって思ったのに。
「大丈夫よ。自分の選択に胸を張りなさい。おねーさんだって……」
おねーさんが左手を見せてくれる。おねーさんの誓いの指輪が光る。
「いっぱい選んできたから。間違えなんて選択してからじゃないと分からない。人生なんていくらでも失敗できるんだから。それを支えてくれるパートナーだってきっと居てくれる。……ね?」
「おねーさん…………。」
おねーさんの人生に何があったかわかんないし、おねーさんの旦那さんとどんな付き合いがあったのかもわかんないけど、おねーさんが今幸せなのはすごく伝わる。
よし!
「うん。私もう少し頑張ってみる!」
「頑張るじゃないよ?」
おでこをピンと弾かれる。
「あて!」
「楽しみなさい。あなただけの人生よ。……ちょっとおねーさん保健室出るわね。何かあったらすぐ呼んで?」
近くのボタンを指さされる。ナースコールみたいなのかな?
「はーい!」
おねーさんが保健室を後にする。
なんだか……ちょっとだけ眠いから。
もう少しだけ寝ようかな。
うーん……2人のこと……どうしよ…………
「ん……」
ん?……なんか布団の中に……違和感……
むに……
「あん。……ひまひま…………えっち。」
「!!」
ガバッ!
「…………。」
横を見る。
「えへ……ひまひま。おはよ。」
同じベットで寝てるのは天捻ちゃん。…………なんで一緒に寝てるの!?
「えっ……えっ!?……何?なんで??」
「ひまひま……あいあいとカナカナから好きって言われたんでしょ?」
急にど真ん中ストレート。まだ!インターバルが!!
「ぴぇっ!……なっななななっ……なんでそれを……」
天捻ちゃんから手を握られる。
「私も……ひまひまのこと……好き。もちろん…………恋愛的に。」
「…………へぇぁ!?」
3人目!?
「……本気。」
本気……本気??
「……私……一目惚れ。…………顔が好き。目も。鼻も。口も。みんな好き。でも…………笑顔が一番好き。心から笑うあなたが好き。…………少ないけど過ごした時間で……確信出来た。…………私……あなたの顔だけじゃない。……心だって全部大好き。」
「ぴ…………ぴぇ…………。」
ま……また…………天捻ちゃんも…………
「…………好きだよ。ひまひま。」
天捻ちゃんの顔が……近……近く……
「ぴ……ぴ…………」
ガララッ!
「ちょっと!何抜け駆けしてんの!天捻!!」
「お嬢様の貞操は奪わせません!」
「チッ……。」
カノーテスちゃんと愛ちゃんが入ってくる。
助か……
「天捻!私達一応共同戦線よね!?」
「なっ!?私に勝てないからと数で勝負するおつもりですか!!」
「……胸は……私がいちばん大きい。」
「「黙らっしゃい!!」」
お父さん。お母さん。
……私耐えれそうにありません。