side槍田日巡璃
「サポート科?」
「そうよ。そろそろコスチュームがボロボロになってきてるでしょ?」
今日も訓練日……なのだけど、おねーさんにコスチュームの新調を勧められた。この水着みたいなの結構気に入ってるんだけど……
「うーん……言われてみれば……確かに。」
「胸もよく震えるし、重心がめちゃくちゃになるからしっかりしたものの方がいいわ。」
「……そっか!相談してみよっかな…………」
「ちょうどいいし……私もパワーローダー先生に用事があるからついて行ってあげるわよ。」
「いいの!ありがとう!!」
独りじゃ心細かったんだよね!おねーさんわかってるぅ!
「ええ。いいわよ。ちょっと待ってね……被身子ちゃーん!」
「はーい!」
他の子の訓練を被身子おねーさんに任せてサポート科へ……と思ったら
「槍田!ブラッドロータス先生!」
「??」
あれは……引子ちゃんと流鏑馬くん。
「2人ともどうしたの?」
「ウチらもサポート科に用事があって……」
「ちょうどええからご一緒させてもろても?」
「いいわよ。一緒に行きましょう。」
急に大所帯だ!なんかちょっと楽しくなってきた!
「「えっ!?槍田(委員長)サポート科行ったことない(ねぇ)の!?」」
「うん……恥ずかしながら……」
サポート科までの道中、2人に聞いてみたところサポート科にお世話になるのは普通だと……
「サポート科の腕が如実に出るし……いい経験になるからWinWinなんだよ。」
「へぇ〜!…………まぁ私あんまりサポートアイテムいらないし……」
「そやなぁ……委員長はむしろ肌出てた方がええんやろ?」
「うん!色んなところくっつけるしね!……まぁ……そろそろコスチュームがボロボロになってきたのは実際そうだし……替え時かなぁ……ねねね!サポート科ってどんな雰囲気?」
「うーん……今年はなんか真面目な子が多い印象。毎年毎年変な子先生の手を焼いてるみたいなんだけど、今年は……私はあんまり感じないかなぁ?」
へぇ……いつもは……変な子いるんだ。大変だね?
「俺もや。普通にいいやつらばっかやで?……1人を除いて。」
「え?」
「あぁ…………うん。そうだね。」
なんか二人の顔が……
「……すごい子いるの??」
「いや……うーん……なんて言うんだろうな……」
「客選ぶんだよ。自分が認めたやつのしか作らねぇってよ。腕は良いらしいのにもったいねぇ。」
「えぇ……そうなんだ……不安だなぁ……」
頑固な子がいるんだ……あんまりかかわり合いになりたくないかも。
「日巡璃ちゃん。ほら。話してるうちに着いたわよ。」
サポート科……っていうか工房だよね!サポート科が入り浸ってるって言う……緊張してきた……!
コンコン……
「パワーローダー先生。ブラッドロータスです。」
ガラッ……
おねーさんに続いて工房に入る。
「……しつれいしまーす……」
ガガガ……バチッ……バチチッ……
「おぉ……」
見た事ない機械……あれ!あのバチバチするやつ!なんて言うんだっけ?皆作業着だ……すごいねぇ……かっこいいねぇ!
「パワーローダー先生。」
「おっ……ブラッドロータス先生。どうされました?」
「私の件は後でいいんですけど……この子。」
「はっ……はい!槍田日巡璃です!」
「アハハハ!知ってるよ!体育祭で凄かった子でしょ?」
体育祭で凄かった子。ヒーロー科以外でもそういう評価なんだ……なんかちょっと誇らしい。
「それでなんですけど、この子のコスチュームの相談で……ちょっと機能的のしたいんですよ。いい子いないですか?」
「コスチュームかぁ………………待ってくださいねぇ?」
パワーローダー先生がパソコンを叩く。
「槍田!じゃ、私らはここで!」
「あっうん!わかった!」
「いいコスチュームできるといいな!」
「うん!ありがとう!!」
引子ちゃんと流鏑馬くんはいつもの子が居たのか、別々の方向に向かっていった。……慣れてるなぁ……
「あ……うーん……ちょっと曲者なんですけどいいですかね?」
「「曲者?」」
「オイ!岩刄!岩刄佳舞(がんばかまえ)!」
パワーローダー先生が1人の生徒に声をかける。工房の隅っこで本を読んでる子。
「…………。」
「お前……いい経験だ。ヒーロー科の子のコスチューム作ってくれないか!」
「ヤです。」
「即答!?」
そもそも本を顔の前に開いて見てるから顔すらわかんないけど……曲者ってこういうこと?
「お前なぁ……腕はいいんだから人を選ぶな……まだ学生だろ?」
「ヤです。インスピレーションがわかないとやる気が出ません。」
「……岩刄!コスチュームだ。お前が好きなコスチューム案だ!どうだ?やる気出ないか?」
「無理です。私のお眼鏡にかなう人なんていないです。」
「あのなぁ……」
頑固!……あっ頑固ってこの子かぁ……
「岩刄!1回目を見て話せ!顔見せて話せ!見ないとお眼鏡にかなうかどうかすら分からないだろ……」
「大丈夫です。もう期待しても無駄だってわかりました。私がコスチュームを作りたいって思うほどの人が居ないんですよ!この学校には!」
本を持ったままなのに少し怒ってるのがわかる。……うーん……強敵だね……
「……はぁ……すみませんね。頑なで……」
「理由を聞いても?」
「……この子は私が見た中でもトップクラスの実力を持った子です。サポートアイテムの発想、それを形にする技術力、精密性。どれをとってもトップクラスなんですが……本人はコスチュームが作りたいらしく…………ただコスチュームを作るにしてもインスピレーションが〜とかで依頼人を見ても芳しい反応をしないんですよ。…………このままだと単位が……」
「……なるほどねぇ……職人気質なんですね。」
「よくいえば……ですけどね……」
パワーローダー先生も大変なんだね。……よし!私が一肌脱ごう!!
「…………よし。」
「……日巡璃ちゃん?」
「私に任せて!」
私はその子に向かって歩き始める。
「ねえ!」
「…………。」
「私のコスチューム作ってよ!」
「…………なんで?私以外でもいいじゃん。」
「そうだけどね〜……でも何となく私あなたに作ってもらいたいなって。」
「何となく……?そんな変な理由で私の読書の邪魔しないで。」
「読書って……それファッション誌じゃん。……作りたいんじゃないの?コスチューム。」
「…………なんなのよあなた。」
「まず目線を合わせようよ。」
「…………ふん。私のお眼鏡にかなわなかったらどうな……る……か……」
本を下げて顔を見せてくれる。
黒い長い直髪。おでこだけヘアゴムで止めてる。触覚みたいになってる。ジト目で頬と鼻にはソバカス。ギザギザ歯。
汚れた作業着と白衣。……何でその服装……?
「可愛いね?」
「………………」
「……?」
なんかすっごい見つめられてる……っていうか全身ジロジロ見られてる。
「…………パワーローダー先生。私この子のコスチューム作りたい!」
「え!?本当か!?」
「うん!すごくいい身体!いい筋肉……なにこれ……なにこれ……こんな質のいい筋肉初めて見た!!私が想像してる以上だもん!!それでいてスタイルもいい!必要なところに必要以上に付いてるのに不要な所はしっかり削ぎ落ちてる!綺麗!美しい!!ねぇ!触っていい!?触っていいよね!?」
「うわっ!?急にグイグイ来るじゃん!?」
「岩刄!セクハラだぞ!」
「はぁ!?こんな美術品とも言える肉体が目の前にあるのに触れないの!?お預けじゃん!許せないって!!」
パワーローダー先生と口喧嘩はじめちゃった……
「……もう。……私のコスチュームは?」
「作る!絶対作る!私以外に頼むの禁止!!」
そこまで!?!?
「じゃあ作ってくれる?」
「喜んで!!……身体触ってもいい?」
「……くすぐったくなければいいけど。」
その手ワキワキするのやめて??
「……ほぉ……へぇ……いい……うん……」
ふにふに……さわさわ……
「……筋肉好きなの?」
「大好き。」
「そうなんだ。」
押したり……触ったり……撫でたり……かれこれ1時間経ってる。
この子の身長が小さめ……カナと同じくらいなので、私は今椅子に座って全身まさぐられてる。なんか慣れちゃったもんだね。私も。
今おねーさんはパワーローダー先生に色々頼んでるみたいで……もうちょっと時間がかかりそう。
「……コスチューム案聞いてもいい?」
「胸が大きすぎて……しっかり固定したいって言うか……あ!でも肌も出したくて……伸縮性もほしいかも!殻に籠るし……」
「ふむふむ……確かにこんな筋肉見せないと美術品隠蔽罪よね。許されない罪だわ。」
「……何を言ってるの??」
すっごく変な子。別ベクトルに変なミトちゃんみたい。
「んんんん〜〜〜!!インスピレーションが止まらない!!こんなの初めて!!早くペンと紙を……なんで持ってこなかったのかしら!私のバカ!!ねぇ!2日待って?最高傑作をデザインしてみせるわ!」
「2日?いいよ!また来るね!」
「お願いね!……えーっと……?」
私の名前かな?
「私?槍田日巡璃!よろしくね?1-Bだよ!」
「1-B槍田日巡璃……1-B槍田日巡璃……1-B槍田日巡璃……よし覚えた!私は1-Hの岩刄佳舞!よろしくね!」
「うん!佳舞ちゃんだね!よろしく!」
なんか癖強いけど……いい人と出会えた気がする!
2日後が楽しみだなぁ!!