side槍田日巡璃
「あはははっ!!楽しいねぇ!!!」
「オーッホッホッホ!負けていませんわよ!!」
「日巡璃!ちょっとは加減しなさい!!」
戦闘開始から数分……私がガンガン突っ込んで、2人にそれを対処される形。いっぱい時間を使われてる。流石カナとミトちゃん。
「こっちの搦手をぜーんぶなぎ倒すパワー……あの頃と全く変わりませんのね!!」
「そうだよ!ミトちゃんはちょっと個性が強くなった?」
ミトちゃんとカナじゃ攻めの手段が少なすぎる。ただ攻めの手が無いわけじゃない。
未来視をしているタイミングでカナが引き後方支援。ミトちゃんが分身で攻めに転じるタイミングでカナが出てきて私を足止めする。しっかり作戦が練られたいいチーム。
突破はかなり難しい。
攻めがあるから必ず守りに入らないといけない。
ミトちゃんの未来視は確実じゃないけどかなり正確で……私の攻撃はクリーンヒットが無い。何度か掠ったくらい。
しっかりこっちの体力削られてるなぁ……
1度距離を取ってペットボトルから水を出し、被る。
「……ふーっ……仕切り直しだねぇ。」
「………」
…………攻めてこない?……そっか。
「……なるほど。そっちの狙いがわかったよ。」
「察しが良すぎるのも考えものね。」
「……確かに夏場。しっかり日光が当たっている土地。乾燥がきついからって水持ってきたけど…………持久戦する気満々だね?」
「……ふふふ。流石私のライバルです事。」
「うーん。じゃあ多少無理は必須か。」
今の私じゃ彼女達の突破に無傷とはいかない。
空のペットボトルを仕舞まってもう一度。
ペットボトルは、佳舞ちゃんに作ってもらったペットボトルホルダー……私の殻にくっつけれるタイプをいくつか付けてきた。これを使い切るまでの勝負。
突破方法は主に2つ。
分身を使って攻めてくるタイミングで、守りの薄いミトちゃんを倒す。
もしくはミトちゃんの未来視を潰す。
まぁ現実的なのは……
後者か。
「……よし。」
「!……来るわよ!!」
「わかってます!!」
岩が飛んでくるが必要経費。まっすぐ突っ込む。
狙うは……カナ。
「ッ……!!早……」
カナを抱きしめて、その勢いのままゴロゴロ。
「はい!捕まえた!!」
私の体はカタツムリ。どこでもくっつく事ができる。
カナの手と足を私の身体に吸着。ちょっとやそっとじゃ離れないよ?
「んむっ……んはっ……」
「苦しい?ごめんね?もうちょっと待ってて。」
モゾモゾしてる……顔も少し赤いかも。これは速攻で終わらせないと……
「…………ふーっ……気を抜いたら一気にこれですから……」
「私相手に気を抜いたの?……ふふん。ちょっと持て囃されたからっていい気になってた?」
「……ええ。そのようですわね。……神童と持ち上げられて。いい気になってたのかもしれません。」
少し煽ったけど守りの構えを崩さない。……偉いねぇ。攻めてくるようならもっと簡単なやりようがあったけど……
「じゃあ……速攻で終わらせるね!!!」
ミトちゃん……の周りを走る。周りの木の枝をなぎ倒しながら。
「……何を……!?」
「ほいっ!!……あちょっ!!……そーい!!」
枝の回収も忘れずにね!
「…………。」
相当警戒してるね。未来視してても意味わかんないでしょ?
「ふーっ。準備完了!今からミトちゃんの未来視を超えるね!」
「……やれるものならやってみなさい。」
胸に埋まってるカナの頭を撫でる。
「苦しいよね。あとちょっとで終わるよ。」
「…………」
大丈夫?息してる??
「いくよっ!!」
ミトちゃんに向かってぽいぽいぽーいと折った枝を投げる。
「!!!」
枝……とは言ったけど木の幹をチョップで叩き折ったやつだから相当大きい。
そんな質量をぽいぽい投げてるんだけど……躱すねぇ!
ピッチを上げようか。
「くっ!?」
ミトちゃんはちゃんと躱せてるね!まぁ……追いつかなくなってきてるけど。
そろそろかな。
枝を投げながら……私は回り込む。
狙うは死角から。
仮説だけど……ミトちゃんは実際にパラレルワールドで視界に収めた未来しか見れないんじゃないかなって。
だったら視界外から攻めたら……わかんないんじゃないかなぁ?
ミトちゃんがこっちから顔を逸らした。今!
逃さない。一瞬。
「捕まえた!!」
「!?!?」
ミトちゃんの腕を引く。
「くっ!!」
分身を使って私を剥がしにかかるけど……吸着中です!離れませんよ!!
その調子でミトちゃんに身体を絡めて拘束完了!
私の勝ちだ!!
「……ほんとに離れないのね。」
「そうだよ〜。乾燥しきったら離れるけど。」
ミトちゃんは私の腕にくっついてる。伸ばしてみたり、つんつんしてみたりしてるけど、実際離れない。
それはそうと……
「……。」
「……カナ?いきてる?」
「ええ。極楽よ。」
「???」
微動だにしないんだけど……本当に大丈夫??
「まぁ……この結果は私達の勝ちでもありますわね。」
「え!?なんで……」
「貴方を結果足止めできてるでしょう。」
「…………確かに。」
考えてなかった。2人くっついてたら動けないよ。
「オーッホッホッホ。もう少し知恵を働かせるべきでしたわね!」
「うーむむむむ!……だって怪我させる訳にはいかなかったし……」
痛み分けかぁ……試合に勝って勝負に負けた形。ううう……もっと精進だね。
「……カノーテス・ディミトリウならまだしも、多少の怪我くらい訓練では付き物です。私は何も思いません。」
「……カナは彼女だから……怪我させたくないけど…………ミトちゃんは友達だから。」
「…………ふん。その甘さが命取りにならないといいわね。………………好きにしなさい。」
「えへへ!ありがと!」
『パンパカパーン!!勝者!Bチーム!!』
「「「!!」」」
放送が流れる。B……ってことは!
「やったーーーー!!!」
「……負けたのね。私達。」
「…………日巡璃に人数を使いすぎたわ。」
お、カナ……良かった良かった。
「ふふん!作戦勝ちってやつだね!……じゃあ一緒に集合場所行こ!」
「そうね。……カノーテス・ディミトリウはいつまでそうしてるの?」
「…………幸せ。」
会話しよう?
「みんなよく頑張った。Bチームは……光の目潰しと、最後の弾野原と清寺さんのコンビネーションが良かったな。」
聞くところによると……私とEチーム以外の皆は別の場所で衝突して同じように主要戦闘役が別れてしまった結果、目潰しが出来る光くんが視覚を潰して、軽い蚕の身体とそれを高速射出出来る弾野原くんが噛み合い……見事勝利って形らしい。
「ありがとう皆〜!皆のおかげで勝てたよ!」
「いやぁ!……Eチームに追いつくのが大変だったけどネ!」
「僕の目潰しが機能して良かった!やっぱり筋肉!!筋肉は全てを解決するゥ!!」
「ウツヒマも〜」「2人の足止めありがと〜!」
双子ちゃんとハイタッチ。
「いえーい!」
あとは……
「ありがとう。愛留真子ちゃん。」
「……別に……出来ることをしたまでですわ。」
「へへ!そっか!」
「あるまん凄かったよ〜」「ヒマリンが居なくなってからの作戦立案全部やってくれたの〜」
そうなんだ!!
「ああそうサ!彼女のおかげで勝てたと言っても過言じゃないネ!」
愛留真子ちゃんの白い顔が少し赤く染まる。
「そ……そんな事はありません。あのタイミングで別処さんが足止めを貰ってなければ……最後はアドリブになってしまいました。」
「そのアドリブを完遂させるのも、あなたの実力だよ。」
「…………。」
実際勝ててる訳だしね。このメンバーだと……アドリブでも全部出来るって信じてくれたんだもんね!
「清寺さん。」
「はっ!……はい!今昔鏡様!!」
後ろからミトちゃん。速攻で振り返る愛留真子ちゃん。どうしたんだろ。
「……なぜ貴方を連れてきたかお分かりになって?」
「……はい。身に染みました。」
「貴方だけではありません。皆様も……しっかり学べましたか?」
「「「はい!!」」」
よく見ると皆ボロボロだ。……いっぱい頑張ったんだろうな。
「よろしい。連れてきた甲斐があったと言うものです。」
……もしかしてミトちゃん……皆を矯正しようと……?
「…………んふふ。」
「どうしたの?」
「いや?ミトちゃんらしいなって。」
「……ふーん?」
ライバルとして……友達として誇らしいや。