side槍田日巡璃
「おはよ。ひまひま。」
朝は同じベッドで天捻ちゃんに挨拶される。
「おはようございますお嬢様。お荷物お運びします。」
部屋を出たら愛ちゃんからのお世話が待ってる。
「おはよ。むむむむ……ここっ私の席ね!」
教室に顔を出したらカノーテスちゃんが膝に座ってくる。
「おねーさん!私わかんないです!!」
「……大変ねぇほんっとうに。」
昼休みの保健室。3人の女の子から無限にアプローチを受けて、恋なんてした事ない私はもういっぱいいっぱいだった。
おねーさんにどうにかこうにか相談をと思ったが……
「私も生まれてこのかた本気で好きになった人が、1人しかいないからねぇ。」
この始末。
一途なんて……素敵すぎるよぉ!
「うわーーん!どうしましょう!誰か選べって無理ですよぉ!そもそも自分の気持ちもよくわかってないのに!」
「…………。」
おねーさんも黙っちゃった。もう無理だぁ!このまま私がふわふわしたまま友達関係も空中分解しちゃうんだ!
最悪……また虐められる……
嫌だ嫌だ!そんなの嫌だよ!!
「ねえ。日巡璃ちゃん。」
「…………はい。」
「どうして1人に選ぶ必要があるの?」
「…………………………へぇ?」
おねーさんの口から出た言葉は意外で……一瞬私の脳が理解を拒んだ。
「…………いや?いやいやいやいや!!結婚って1対1ですよね!?同性にしろ異性にしろ!」
「……私の友達……まぁ知ってると思うけど白体教の当主様。」
白体教……私達家族がお世話になった慈善団体。悩みをしっかり聞いてくれ、しっかりメンタルケアと経過確認までぜーんぶしてくれた。その当主様…………たしか白灘おねーさんだよね?またいつかお話したいなぁ〜!
「彼女お嫁さん2人いるわよ。」
「………………ぇ?」
「2人にレズビアンに堕とされたって言ってたわ。」
「堕とさ……!?」
「大丈夫よ。2人とも当主様のこと大好きだから。何度も会ってるからわかるの。」
「…………。」
私の知らない世界。お嫁さんが2人……?だったらもしかしたら私が全員選ぶなんてしちゃっていいってこと?
………………無理無理!私そんな甲斐性ないよ!!
「だからね。日巡璃ちゃん。これからいっぱい悩んで、いっぱい苦しむことがあると思うんだ。」
「…………うん。」
「でもあなたが選んだ事に関してはしっかり胸を張って欲しいな。」
「……!」
「私の選択は間違ってなかったぞー!……ってね?自分の選択にすら責任が持てない大人になって欲しくないわ。」
「…………間違ってなかった。……ですか?」
「うん。貴方は弱いわ。」
「……ぴぇ!?」
おねーさん!?いきなりどうしちゃったの!?
「心がね?……虐められてたのもあると思うけど……人の好意を素直に受け取る心の余裕が出来てないの。」
「……心の余裕……。」
「だから少しづつでもいい。皆の事信じてあげて欲しい。……あなたの身体の特徴もあって大変だと思うけど……歩み寄るのは貴方じゃないと出来ないわ。」
…………おねーさん。
やっぱりおねーさんには敵わないなぁ!すごいや!
「……うん!私頑張っておねーさんみたいなすごい大人になる!」
「…………私みたいなのは…………あんまり真似しない方が………………なんなら私もレズビアン堕ちさせられた人だし…………」
なんかおねーさんが喋ってたような気がしたけど……
よーし!頑張るぞ!!
間違えた
楽しむぞ!
「ごめんなさい。」
「「「え?」」」
「ごめんなさい!3人とも!私今はまだ貴方達の気持ちに答えられないかもしれない!」
3人を人気のないところに呼んでまずは謝罪。
頭を下げる。
「そ……そんな……お嬢様…………。」
「待ちなさいよ狂信者。今はまだって言ってたでしょ。」
「ん。……大丈夫。無理して欲しい訳じゃない。」
「……ごめんね。」
「もう。」
カノーテスちゃんに頭を抱きしめられる。
「大丈夫って言ってるじゃない。あなたが中学生の時虐められてたのも知ってるわ。きっと……私達が無茶させちゃったんでしょ?……大丈夫ずっと待ってるから。」
「カノーテスちゃん…………。」
カノーテスちゃんの心音が聞こえる。……なんか安心する。
「お嬢様。私はお嬢様に選ばれなくても……離れることは消していたしません。私が認めた御主人様ですから。…………いつまで抱きしめてるんですか。羨ましい。次は私ですよ。」
「愛ちゃん……。」
「ひまひま。…………私……ひまひまのこともっと知りたい。……きっと全部好きになるから。…………だから教えて?ひまひまのこと。私もいっぱい私のこと……教えてあげるから。」
「天捻ちゃん……。」
みんな……よし!しっかり考えて……選ばないと。……嫌だなぁ……。誰か1人……皆と仲良くしたいよ。
「なんならいっその事3人全員でもいいわ。」
「え!?」
「折衷案ですがね。」
「えっ!?えっ!?」
「ん……正妻戦争はあるけど…………皆のこと好きなら……皆選んで欲しい。」
「……ええええええええっ!!!!!??」
私の事大好きな女の子たちは……全員ハーレム可でした。
懐が深すぎない!?
「お嬢様。明日……お弁当をお作りしたいのですが……」
「え!?愛ちゃん料理できるの!?」
教室への帰る途中、愛ちゃんに相談を持ちかけられた。
「何言ってんの日巡璃。コイツが家事全般出来なかったら誰が出来るの。」
「?なんの話??」
「……まぁいいわ。コイツは実はすごーいメイドなのよ。」
「へぇ!そうなんだ!」
「……ずるい。そうやって私とカノカノを引き剥がそうとするんだ。」
「それも全部メイドの嗜みなので。」
「愛ちゃんのお弁当食べてみたいなぁ〜!」
「……良いのですか!!!」
愛ちゃんがパァッと笑顔になる。
「いいけど……重箱とかやめてね?」
「…………善処します。」
お願いね?……いや本当に。
「……うぐぐぐ……料理どころか……家事ができるのは高ポイントね……。」
「うむむむ…………私はまだ湯たんぽ能力しかない。」
「何を言ってるの??」
既に正妻戦争とやらが始まってるの??早くない??
「大丈夫です。中曲瀬様。湯たんぽも私がいたしますので。」
「ぜっっっったい譲らない。」
「…………私も寮が良かったなぁ。」
うーん……大変!
楽しめ……おねーさん!私には無理かもしれません!!
「っつーことでクラス委員長を決める。」
「「「なんか学校っぽいことキター!!」」」
今日は午後から少しだけ時間をとって委員長と副委員長を決めるらしい。先生との仲介役だね。大事だよ。
「自薦他薦問わない。好きに決めてくれ。」
イケイケなみんなだもん。自分からクラス委員長に……なり……たい………………はず……あれ?
シーーーーーンッ
なんで!?こういう時……弾野原くんや天気ちゃんは率先して手を上げると思ったんだけど!?
スッ
あっ引子ちゃんが手を上げた!やっぱ引子ちゃんしたかったんだ!
「他薦です。槍田がいいんじゃないですかね?」
……
…………
………………
「えぇ!?私ィ!?」
立ち上がっちゃった!!
「美右もそう思いまーす!」「左久も〜!」
双子ちゃん!?
「しょうがねぇけど従うしかねぇよなぁ。」
香曽我部くんも!?
「かかかっ。適任やろなぁ!」
流鏑馬くん!?
「いいんじゃなーい?槍田ちゃん皆と仲良しだし。」
天気ちゃん!!
「うむ。適任だと。」
天眼くん!!!
「「「槍田がいいと思いまーす。」」」
みんなして!!
「……槍田。みんなはこういってるが……どうだ。」
「うぎぎぎ…………はい。ヤラセテイタダキマス。」
「「「YEAHHHH!!」」」
嵌めたなぁ!!皆ァ!!
「じゃあ副委員長だが……槍田。仕切れるか。」
「ひぃーん…………やらせていただきますぅ。」
渋々教壇に立つ。
「……えー……では副委員長になりたい人……。」
「「「「「ハイ!!」」」」」
全員!!
「もう!みんな!!!」
「「「ワハハハハ」」」
「えー……どうしようかな。」
「お嬢様!わたくしめにお任せ下さい!精一杯サポートさせていただきます!!」
「あっ抜け駆け!!私だって全力で手伝うわ!日巡璃!私を選んで!」
愛ちゃんとカノーテスちゃんが2人で競う。
「…………却下で。」
「「なんで!?」」
「だって……男子なら男子同士の方が話し合いやすいでしょぉ?副委員長は男子の方がいいよ。」
「一理ありますなぁ。」
「あー……確かに。じゃあ男子から選ぼうよ。」
「「……うぐぐ」」
2人ともごめんね?
「……男子……どうする?あみだくじでもする?」
「抽選箱作れば良くない?みんなで紙引いて、その中にあたりがある〜見たいな。」
「どうやって?」
「私の個性なら似たような事できますさかい……やれんことはないどす。」
おー……さすが憂世ちゃん。
「じゃあそうしよっか。時間使いすぎる訳にはいかないし。」
憂世ちゃんが箱という文字を書いたらそれが立体化。箱の文字の箱が出来た。隙間も何も無い箱だ。
すごい個性だね。
その中に人数分の紙を入れ、中に1個だけ当たりを作る。
「じゃあ男子はじゃんじゃん引いちゃって!」
みんな我先にと引きに来る。
まぁパワー負けしてないから私は全然大丈夫なんだけどね。
「元気だねぇ。」
「どさくさに紛れて日巡璃の身体触ったら死刑だからね?」
圧。圧がすごいよ。カノーテスちゃん。
「「「ウス……。」」」
みんなに行き渡る。
「じゃあみんな広げて〜。せーの!」
「僕だ!!」
おー!日河原くん!
「砂臣か!いいんじゃないか。」
「日河原らしいよ!」
「全力で務めさせていただく所存!」
なんだかんだあったけど……委員長と副委員長が決まりました。
ふぃー……初仕事……何とかなってよかった。