※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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絶好調

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

……静か。

 

いや……厳密に言えば静かじゃないんだけど…………

 

「委員長〜!」

 

「頑張って〜!!」

 

みんなの声が聞こえる。

 

その上で心が凄く静か。なんて言うか……澄んでる?落ち着いてる?

 

 

目の前には毒島先輩。雄英ビッグ3のすごい人。

 

きっと強いんだろうな。私の想像できないくらい強い個性の使い方してきたりして……

 

 

「オイ。〜〜〜かよ。」

 

「……え?……あっごめんなさい!聞いてませんでした!」

 

「なんだぁ?体調悪いか?」

 

体調……悪い?…………全然そんなことない。むしろ……

 

 

「絶好調です。……いつになく。」

 

「ならいい。……準備運動しねぇのか?」

 

毒島先輩心配してくれたんだ……

 

 

「あぁ……準備運動ですか。」

 

よく見ると毒島先輩はぴょんぴょん跳ねたり腕を回したりしてる。ルーティンなのかな?

 

 

「大丈夫ですよ。準備運動なんかしなくても。」

 

「へぇ?」

 

「私の師匠からヒーローは常に準備万端であれって習ってるんで。」

 

「立派なことだな。」

 

なんか……なんだろう。

 

 

「…………毒島先輩。ひとつ聞いてもいいですか。」

 

「いいぜ?なんだ?」

 

「毒島先輩ってどれくらい強いですか。」

 

「……はぁ?」

 

「私が……手加減しなくても。全力で拳を奮っても……死んでくれませんか?」

 

 

少しだけ……

 

「………………お前……本当に1年か?」

 

本当に少しだけ今の私の全力を知りたくなった。

 

全力は骨が折れるからダメだと言われ、封印した。でも最近は……少しづつ身体が馴染んでる気がして。

 

今なら……

 

「実戦的な戦闘経験だけなら……もう6年になりますね。」

 

 

今なら試せる気がする。私の全力全開。

 

「……ハッ……ガキの頃から何やってんだ。」

 

この緊張感。それと高揚感。そして……

 

「……やめた。お前を1年だと思わねぇ。オイ。全力でぶち込んでこい。」

 

「いいんですか?」

 

「1年。……ビッグ3舐めんな。」

 

最高の……

 

 

「先輩……最高ですね!!」

 

相手ッ!!

 

ズドン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side反甫理対

 

 

 

 

「早ッ!!?」

 

一撃。

 

ぶーちゃんが反応できずに一撃。顔に叩き込まれた。

 

大きく仰け反るぶーちゃん。

 

 

「「…………!!」」

 

私達は目を見張る。目の前で信じ難い光景が広がっていた。

 

 

1年生の頃からズバ抜けた戦闘センスを持っていたぶーちゃん。ただそれに増長せず、自分の足りないところをいくつもピックアップしそこを重点的に鍛え上げた。

 

 

身体が足りないのであれば鍛え直した。

 

知識が足りないのであれば勉強をやり直した。

 

経験が足りないのであればインターンに足繁く通った。

 

 

メキメキと目に見えて成長していくぶーちゃんを……幼馴染の私は誇らしく思った。

 

私もぶーちゃんに置いていかれないように頑張れた。

 

 

そんな努力して結果を残してるぶーちゃんが、雄英ビッグ3に選ばれるのは当たり前だった。……私も選ばれたのは予想外だったけど。

 

だから私にとって最強はぶーちゃん。私の中の1番強い人はぶーちゃんなんだ。

 

 

 

そんなぶーちゃんが足を1歩後ろに下げ、倒れないように踏ん張る。

 

「……っってぇっ!!」

 

「「「!!」」」

 

「あれ耐えんのかよ……」

 

「普通は意識落ちてるぜ?」

 

「……1歩体を逸らすことでダメージを抑えてますね。流石はビッグ3と言った所でしょうか。」

 

「なるほどなぁ……そういう反射神経もあんだな。」

 

 

1年生。これがぶーちゃんだよ。ビッグ3のトップ。私達は雄英高校で、ぶーちゃんが膝を着いている姿を見たことがない。

 

 

「やるなぁ!槍田ァ!!」

 

「……先輩こそ。」

 

驚いてない様子の槍田日巡璃。少しだけ癪に障る。

 

「お返しだぜッ!!」

 

 

ぶーちゃんの腕が赤く光る。間髪入れずにぶーちゃんのボディブロー。

 

「ッ!!」

 

「「!」」

 

巧い……左腕と左足を瞬時に上げてぶーちゃんの拳を受け止めて、そのまま後ろに流すようにダメージを受け流した。

 

 

「…………いい目。良く見えてる。」

 

「オホホホホ…………戦い慣れしてますね。」

 

 

「……それが個性ですか?」

 

「初見で受け流されたのは初めてだぜ。」

 

「……なるほど。これは……喰らってられないね。」

 

「お互い様すぎるな。一撃貰い方が悪かったら終わる。」

 

「……うん。毒島先輩!私今からもっと全力で行きますね!」

 

「ハッ……しょうがねぇ!捌き切ってやるよ!」

 

 

槍田日巡璃の動きがもう一段階ギアが上がる。

 

一撃一撃に……しっかり体重が乗ってる。

 

 

「…………さっきのは……手を抜いてたって訳じゃなさそうね。」

 

「オホホ……毒島さんが躱さなかったので本能的にストップがかかったのでしょう。だとしても普通なら気絶しててもおかしくないパンチでしたが。」

 

「……ふーん…………それにしたって良く見えてるわね。本当にいい目。」

 

「ワタクシが行けば多少変わったのでしょうか?」

 

「ぶーちゃんほど真っ向勝負強くないんだからやめときなさい。」

 

「オホホホ……」

 

 

対するぶーちゃんは……攻撃を掠らせる方向のシフトしてる。

 

ぶーちゃんの個性は、無傷で貰えるダメージの上限が決まってるのと同時に、貯めておけるエネルギーの上限も別で決まってる。

 

 

簡単に言えば、一撃で受けれるダメージを貯めれるコップと、それによって発生したエネルギーを貯めるコップがあるって感じ。

 

ダメージを喰らいすぎるとダメージを貯めれるコップがオーバーフローして最悪死んじゃうし、かと言って放出せずに貯め続けるとエネルギーを貯めるコップがオーバーフローして気絶しちゃう。

 

 

ピーキーな個性っていえばそれまでなんだけど……

 

ぶーちゃんはそれをしっかりモノにしてる。自分だけの力にしてる。

 

 

「……なのに。」

 

1年生がぶーちゃんの努力を……

 

 

「やれー!!委員長!」

 

「いけるぞ!!」

 

お互い決定打にかける殴り合いが続く。

 

ぶーちゃんの攻撃は基本単発。1発1発受け流される。

 

槍田日巡璃の攻撃は重いが単調。ぶーちゃんなら躱しきれる。

 

ただね……槍田日巡璃。

 

「ぶーちゃんがそれだけだと思わないで。」

 

 

 

 

 

 

「遅れちゃいました。お疲れ様です。」

 

「ブラッドロータス先生。お疲れ様です。急遽無理言ってすみません。」

 

 

ブラッドロータス先生……雄英高校の保健室の先生。

 

正直あんまり戦ってるところを見たことないけど、先生方が1目置いてるので相当な実力者なのは確か。

 

「いえいえ。日巡璃ちゃん止めれるの私だけなので。」

 

「はい。助かります。」

 

じゃないとこんな事言わないし、先生も呼ばない。

 

 

ドゴッ……

 

「クリーンヒット!!」

 

ぶーちゃんの攻撃が槍田日巡璃の腹を捉える。

 

しっかり個性を入れて……体重を乗せた一撃。さらに追い打ちをかけるぶーちゃん。

 

「アタシの個性は……連発出来んだよ!!」

 

 

ぶーちゃんは個性の出力を抑えることで、攻撃を連打出来るようになった。単発で終わってた頃とは違う。個性の多様化。インターンで揉まれた結果。

 

やっぱりぶーちゃんは強い!これで…………

 

「……悪手ですね。」

 

 

 

 

 

「……え?」

 

「あの一撃で沈めるべきだった。……日巡璃ちゃんは学習するよ。相当な速度で。」

 

 

ぶーちゃんの拳が空を切る。完全に当たったと思った。腹部へのダメージで上体が折れ、確実にフリーになった顔面への一撃。

 

「「「!!」」」

 

 

それが空を切った。

 

空を切らされた。躱したのが良くわからなかった。

 

それくらい早くてコンパクト。最小限の動きだった。

 

 

パパァン!!

 

「うぐぉっ!?」

 

ヒット!ぶーちゃんに!1度までなんてことはなく、2回目。しかも2発。

 

ワンツー。コンパクトに。それでいて鋭く、急所を狙う2発。

 

さっきまでとは違う。確実に相手にダメージを与える動き。

 

 

「やるじゃねぇか!!」

 

「…………フーッ。」

 

 

既に腕は守りへ。動きを変えた。一撃に命を込めるんじゃなくて、確実にダメージを通す方にシフトしたような……

 

「……ふふふ。そうだよ日巡璃ちゃん。貴方のできること全部ぶつけるの。毒島さんは全部答えてくれるはずだから。」

 

「…………先生。槍田日巡璃は……彼女はなんなんですか?」

 

 

 

ブラッドロータス先生は少し目を見開いたあと、ニィと口角を上げる。

 

「反甫さん。ふふっ……私の愛弟子にして……最高傑作。」

 

 

その笑みは……どこか恐ろしく。それでいて全てを見据えたような……底知れぬ不安感を煽るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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