side槍田日巡璃
「今日はバブルガールとパトロールをやってもらう。」
昨日の今日でインターン初日!コスチュームに着替えていざ仕事!
「エリアはここからここまで。何かおかしなこと、気になることがあればすぐバブルガールに言うこと。」
「はい!」
「それではバブルガール。任せたぞ。」
「サーイエッサー!」
「……!……サーイエッサー!」
真似してみた。敬礼!
「……元気とユーモア無のない社会は」
「未来がない!ですよね!」
「よし。行ってこい。」
よし!行くぞー!!
「私達は今日パトロールだから、周りを見ながら異変を感じたら言ってね!もちろん!事件が起こりそうだったら一緒にやろうね!」
「はい!」
バブルガールさんとパトロール。コスチュームに身を包んで……気合とやる気が満ちるというもの。バブルガールさんに習ってしっかりモノにするぞ!
「ふふふっ。やる気満々だね?」
「はい!皆も頑張ってるので!」
皆に負けないように!皆きっとメキメキ実力をつけてるはずだから!
「じゃあ色々説明しながらやろっか。」
「はい!あっ……サーイエッサー!」
「あっ……うふふ。じゃあ行こ〜!」
「えーっとね。まず、なんでパトロールすると思う?」
パトロールをしながらバブルガールさんが色々話してくれる。
「……事件をいち早く見つけるため?」
「うん!それもあるね!他には?」
「え?他?……うーん……」
「まぁそうだよね!最近の学校はヒーロー基礎学って実戦的な物が増えてるって聞くし……あんまりそういう話はしないのかも。」
「……確かに。毎日身体を動かしてる気がします!」
「よし。じゃあ説明するね!パトロールは、それ以上に犯罪抑止、そして地域の人との関係性向上も兼ねてるよ。」
「関係性向上は分かりますけど……犯罪抑止?」
「うん。ヒーローがパトロールしながら……敵に対して見てるよ〜!居るよ〜ってアピールするんだよ!それが大事。それだけで敵は活動しにくくなるからね!」
「なるほど……」
だからコスチュームも結構派手な人が多いのかな?
「…………私ももうちょっと派手にしてみようかな?」
佳舞ちゃんなら出来るかなぁ?
「…………それ以上派手にしたら色々大変だからあんまりしない方がいいかもよ?」
「そうですか?」
「あそこのお店は……コロッケが美味しいんだよ!それとあそこはね!よくサーが買い物に行ってるお店。それとそれと……」
「……。」
色々歩いていると……バブルガールは良くこの地域に馴染んでいる……というか地域を知っているというか。しっかり仕事をしているんだと思った。
「あっ!こんにちは!お元気ですか?」
色んな人とお話してるし……
「おばあちゃん!一緒に行きましょうか!」
気が利くというか……色んな人に気付くし。
これが今のヒーローの在り方。犯罪件数が減ってきたからこそ、地域とより密着して存在感を示す。
犯罪の抑止。そして地域と馴染む。
昔の戦闘力だけを望まれるヒーローじゃない。皆のシンボルとして……オールマイトが作り上げたエンターテイメントとして。
「……うん。」
今のわたしにできることをしよう。精一杯。
きっとこの経験は、限りなく未来の私の力になってくれるはず。
「あっ荷物持ちましょうか?」
「!」
「あら!いいの?」
「はい!私力持ちなんで!」
「助かるわ〜……ナイトアイさんの所の子?見ない顔ね〜。」
「インターンシップでお世話になってるんです!」
「あらあら。頑張ってね?」
「はい!」
「…………ふふ。」
「ただいま帰りました!」
「帰りました!」
事務所に戻ると、ナイトアイさんともう1人男の人が話してるみたいだった。
「お疲れ様。」
「うむ。」
あっ……この人!
「センチピーダーさんですか!?エスネイラーです!」
「ああ。聞いているよ。……良い顔だ。」
センチピーダーさんはムカデの個性の人。ずーっとナイトアイさんのサイドキックをしてるって聞いた。
「じゃあ報告を。」
「はい!今日は特に目立った犯罪も無く、パトロールもスムーズに完了しました!」
「はい!」
「……良い事だ。…………が。」
「?」
なんか浮かない顔ですね?
「……なにか進展があったんですか?」
「え?何かあるんですか??」
「……そうだな。一応伝えておこう。実は私達は今、少し厄介な敵を追っていてな。」
「厄介な敵?」
「死穢八斎會……まぁ今は既に解体させられた指定敵団体だが、それの残党が少々危ない活動をしているみたいでな。」
「残党が……」
死穢八斎會……指定敵団体って俗に言う暴力団ってやつだよね?まだ機能してたんだ……
「センチピーダーにはそれを探ってもらっていた。」
「ええ。少しきな臭い連中と交流をしているという噂もあり……危険視しておりました。」
「なるほど……きな臭い?」
「ああ。こちらは確定事項ではないので……あまり公に口に出せないが、ブラッドロータスが持ってきた情報だ。筋は確かだろう。」
「え?おねーさんが??」
「……アイツは……どこでこんな情報を捕まえてくるのか。それでいてなんでウチに依頼してくるのか。」
「まぁいいじゃないですか。信用してくれてるってことですよ。」
「ふふっ。賄賂も貰ってしまいましたしね?」
「…………ふん。」
「え……賄賂?」
おねーさん??お金包んだの???
「高くて美味しいご飯奢ってもらったんだよね!」
「ええ。あれは美味でした。」
ズコーッ……
「びっくりした……お金包んだのかと……」
「ふん。ヤツはそんな汚い依頼の仕方はしない。汚い依頼は自分でこなす。」
……信頼だぁ……
「なんだその目は。」
「なんだかんだ信頼してるんだなって……」
「貴様は少しユーモアが足りないみたいだな?」
「そんなことありません!イエッサー!!」
「…………ふん。」
あまりこういうのは口に出すものじゃないね!理解しました!
「……それで、死穢八斎會の残党とやらは……?」
「話を本題に戻そう。死穢八斎會の残党……四穢異傑(しえいけつ)と呼ばれているみたいだが、その名の通り4人。厄介な敵がいる。元々死穢八斎會を率いていた組長とは別に、若頭……オーバーホールこと治崎廻。彼が数年前起こした事件により死穢八斎會は解体したのだが……それに伴って治崎を慕っていた4人の残党が今活動をしているということだ。」
「……四穢異傑……でも4人ならほかのヒーローの力を借りれば早めに対処できるのでは?」
「ふむ。それは相手が普通の一般人であればの話だ。四穢異傑は全員、死穢八斎會にてオーバーホールを支持していた。実力は確か。それに違法薬物で個性をブーストしてる可能性もある。対処は厄介。その上彼らが……あろうことか個性消失弾を研究しているとの情報が入ったんだ。」
「個性……消失弾?」
「ああ。文字通り打ち込まれると個性因子を停止させ、個性が使えなくなる弾だ。あってはならない……ヒーロー社会が産んだ負の遺産だ。」
「…………」
そんなものが……存在してたなんて。
「我々は二度と同じ事件を起こさせる訳には行かない。慎重に。それでいて綿密に計画を立てて対処をしていこう。……もしかしたらエスネイラー。君の力を借りるかもしれない。その時はよろしく頼む。」
「イエッサー。」
今。私にできることをしよう。
個性消失弾……絶対にそんなものを流出させちゃいけないよ!