side槍田日巡璃
今日は学校。みんなと珍しく食堂でお昼……だけど。
昨日の事が少し忘れられない。個性消失弾。死穢八斎會。四穢異傑。ヒーロー社会の産んだ負の遺産。
私の知らない情報が、普通に生活していれば知るはずのない情報をいくつも詰め込まれて、少し整理の時間がいるかも。
私に今できることは?ナイトアイさんは頼りにするって言ってたけど、本当に私にできるの?指定敵団体。きっと人を殺す事になんの躊躇いもない。
殺す……殺人だよね。見たことないし経験も無い。そんな怖い人と戦わないといけないなんて。
私は……少しだけ不安。授業も身が入らないよ。
「……。」
「……ひまひま?」
「あっ……なんの話しだっけ?」
「……お嬢様。」
「どうしたの日巡璃。元気ないわね?」
「……だ……大丈夫だよ!うん!大丈夫。」
『ちなみにこの情報は他言無用だ。情報が漏れるのを防ぐ為と、確定情報ではない可能性がある。混乱を招く訳にはいかないんだ。分かってくれるな。』
『サーイエッサー!』
『よし。それでは業務に戻ろう。』
『…………。』
ダメ。みんなにも話せない。
「…………。」
「……日巡璃。」
「……どうしたの?」
カナが自分のお弁当箱から、ウインナーを私のお弁当箱へ。
「…………え?」
「何かあったら言いなさい。ヒーロー活動で言えないこともあると思うけど、それとこれとは話が別。元気じゃない日巡璃を助けてあげるのも彼女の仕事よ?」
「!」
天捻ちゃんも自分のハンバーグからポテトを1個入れてくれる。
愛ちゃんもプチトマトを入れてくれる。
「当然私達も同じ気持ちです。」
「ひまひま……私は何も出来ない……けど……一緒に頑張ろ?」
「カナ……天捻ちゃん……愛ちゃん。」
あれ?……なんか楽になった気が……
「ありがとう!みんな!」
なんでか分からないけど、前におねーさんに言われたセリフが頭をよぎった。
『間違えなんて選択してからじゃないと分からない。人生なんていくらでも失敗できるんだから。それを支えてくれるパートナーだってきっと居てくれる。……ね?』
支えてくれるパートナー……うん。なんか少しだけわかった気がする!
「お返し……したいけどお弁当いる?」
「「「!!!!」」」
ガタタッ!
「えっ何何!?」
「……日巡璃の……。」
「……箸で?」
「お嬢様。あまりにも刺激が強すぎます。」
「……何が??」
…………時々彼女が分かりません。
「あっ佳舞ちゃん!」
「むっ!槍田日巡璃か!寂しかったぞ!どこに行っていたんだ!!」
ご飯を食べ終えて、教室に戻る最中久しぶりに岩刄佳舞ちゃんに会った。
佳舞ちゃんは隣で喋っていた同級生に目もくれず、私に突撃。ジャンプしてくっついてくる。
「「「は??」」」
もちろんキャッチしたよ!落とす訳にはいかないからね!
流れでまさぐられる。もう慣れたもんだね。
「む……うむむ?……槍田日巡璃!少し筋肉量が増えたか?」
「え?そうかな??……それよりも降りた方がいいかもよ?」
後ろからとんでもない殺気感じるんだよね。
「いいではないか減るものではないし。この程度で怒るなどみみっちいぞ!」
「ちょ!?」
喧嘩売ったよこの子!!!
「ちょっと!岩刄さん!恋人いる子に変なことしないの!!」
無慈悲な後頭部チョップが佳舞ちゃんを襲う。
「いたっ!?委員長!いいではないか!槍田日巡璃も了承している!」
「してないよ?」
「ごめんなさい。槍田さん。うちの岩刄がいつもいつも……」
この子はサポート科の佐藤魚町(さとう ととまち)ちゃん。個性は呼吸。肺呼吸とエラ呼吸と皮膚呼吸ができる個性。
エラがあるなんてわかんないくらい綺麗な子だけど……これもこれで少し特殊な個性だよね。個性ってすごいや。
青くて長い髪でつり目で……それでいて物腰柔らかでってなんでもできるね??すごいや。
「ううん。魚町ちゃんも大変だね?」
「……岩刄さんも懲りてくれればいいんだけどねぇ?」
「無理だ。槍田日巡璃の身体が魅力的すぎるのが悪い。」
「私のせいにしないで??」
佳舞ちゃん最近遠慮がまた一段階なくなった気がするんだよねぇ〜……
まぁ仲良くなったって事ならそれはそれで嬉しいんだけど。
何とか佳舞ちゃんに離れてもらい……魚町ちゃんが教室に連れていくみたいだ。
「なぜ顧客の身体を撫で回してはいけないのだ!コスチュームを作る上で……」
「ブツブツ言わないの!恋人いる人の身体まさぐっていいわけないでしょ!」
チョップ!
「あいた!?」
……いいチョップだ。力加減も出来てる。佳舞ちゃんを躾けるためのムチだね。愛のムチ。
「いたた…………じゃあ私も恋人になれば良いのだな!?」
「「「「はぁ!?」」」」
「何言ってんの佳舞ちゃん!?」
この子やっぱり突拍子が無さすぎる!!
「恋人状態になれば槍田日巡璃の身体を合法的にまさぐれる訳だな!?」
合法的ってなに!?そんなものに合法も何も無いよ!!
「ちょっといってる意味がわかんないよ佳舞ちゃん!!」
「だいたいそういうのはお互いの理解があってのものでしょ!?一方的なのは私良くないと思うなぁ!?」
魚町ちゃんも一緒に反論してくれる。お願い!身体もたないって!!
「であれば!!槍田日巡璃を惚れさせればいいわけだな!?」
「本当に何言ってんの!?!?!?」
この子全然引かねぇ!!忘れてた!頑固なんだったこの子!!
「任せろ!私の潜在的な魅力で槍田日巡璃をメロメロにしてみせる!!」
「ちょっと表現が古いね?」
「ふははは!待っていろ槍田日巡璃!待っていろ私の美しい肉体よ!」
「絶対後者が主目的でしょ!!!」
そのまま魚町ちゃんを置いてどこかに走っていってしまった。
「本当にごめん!私からも言っとくから!!」
魚町ちゃんも佳舞ちゃんを追って走っていった。
「……。」
大変だなぁ。魚町ちゃん。それに……
「日巡璃の惚れさせる?ふぅん日巡璃の気持ちも考えずにねぇ?一方的すぎるわ。そんなの絶対許せないんだから。私が日巡璃を守らなきゃ……そうだわ。私の家に住まわせて……」
「……ひまひまの全部は私のだよ?あんな自分勝手な人になんて絶対渡さない。一緒のベッドで寝るだけじゃダメかなぁ……もっと匂い付けないといけないかなぁ?どうしよう。食べ物とか着るものとかに……」
「自己中心的な……無理です。あげません。私のです。お嬢様お嬢様お嬢様……絶対に渡しません。やっぱり今すぐ一分一秒でも早く!私だけのお嬢様に……」
私も。
3人をどうにかしないと……私の昼休み終わらないよ……。
佳舞ちゃんとの関係少し見直そっかな……