side槍田日巡璃
「はい。今日のヒーロー基礎学は、プロヒーローにお話を聞いてみようのコーナーです!」
「「「プロヒーローにお話を聞いてみよう?」」」
ヒーロー基礎学……座学はデク先生が受け持ってるんだけど、今日は何か特殊な授業らしい。
「誰が来るのかな!」
「ルミリオンとか?」
「デクだよ!?大・爆・殺・神・ダイナマイト!でしょ!」
「えー……でも怖くない?」
ワイワイガヤガヤ。
おー…………盛り上がってる。
「……日巡璃は興味無さそうね。」
カノーテスちゃんが横から声をかけてくる。
「うーん……あんまり熱量が違うっていうか……頑張って勉強してるんだけどね?」
あんまり覚えれてないのも事実……なんですねぇ。
「……まぁ…………小学校とか中学校からヒーロー見てないと、今のチャートのヒーローの良さは実感湧きづらいわよね。」
ん〜?そういう割には……
「カノーテスちゃんも興味無さそうだね?」
「!…………よくわかったわね。……私中学2年までギリシャ居たから。」
ちょっと嬉しそうだね?
「え?日本人なんでしょ??」
「日本人なんだけど……10年前オールマイトが引退したタイミングで両親がギリシャに引っ越したのよね。私も一緒に。」
「あー…………安全的な?」
「そうね。オールマイトの居ない日本に……敵犯罪が増える日本が少し不安だったのかもね。」
そういう人もいるかぁ……難しいね?
「はい!じゃあ入ってきてもらうよ!どうぞ!!」
「はーい。こんにちは。」
入ってきたのは…………見慣れた彼女。
コートを羽織り、相澤先生みたいな白いマフラーと、腰に大きなアタッチメント。それと薙刀。
「あっ!!被身子おねーさん!!」
「「「被身子?」」」
被身子おねーさん……流水おねーさんの旦那さん。ブラッドヘリアンサスっていう名前でヒーロー活動してる。
こっちに手を振ってくれた。嬉しい!
「被身子…………ってことはブラッドヘリアンサス!?」
「そうですよ〜。ご存知の方はご存知かもしれません。ブラッドヘリアンサスです。」
「はい。来てもらったのは僕の雄英高校時代の同級生……ブラッドヘリアンサスさんです!」
ぱちぱちぱち……
「まぁまだ精力的に活動はしてないですけどね。」
「そうだよね。師匠のサイドキックだから……上位のチャートには乗りにくいんだよね。」
「師匠!?」
「デク先生師匠居たの!?」
皆の興味は一気にデク先生の師匠に。
あれぇ〜?記憶が間違ってなければ……確か流水おねーさんだったような……
「ははは!僕の話は後でね?……じゃあまずは自己紹介からしてもらおうかな。」
被身子おねーさんが教壇に立つ。
「……こうやって教壇に立つのも久しぶりですね。……えーっと。」
サラサラとホワイトボードに書いていく被身子おねーさん。
「はい。私ブラッドヘリアンサス……本名を傷原被身子と言います。」
「傷…………原?」
「保健室のせんせも苗字そうだったよな?」
「はい。保健室の傷原先生とは結婚してます。」
「「「ええええええええっ!?!?!?」」」
「余談になりますが、日巡璃ちゃんは結婚式にも来てくれたんだよね?」
「そうだよ!綺麗だったなぁ〜2人とも!」
「「「ええええええっ!?!?」」」
数年前……おねーさん達に東京に呼ばれた。
規模は小さいながらもレストランを貸し切って、結婚パーティーみたいなのを開いたんだよね!すっごく楽しかったしすっごく幸せそうだった!!
「う…………槍田!そん時の写真ないの!?激レア写真じゃん!!!」
「確か……ママが写真撮ってたはずだから……貰えば……」
「ちょうだい!!!」
食い気味!ヒーローオタクすぎるよ!!引子ちゃん!!
「離さん、今は授業中だから後でね?」
「…………はい。」
助かったよ!デク先生!!
「うふふ。それじゃ続けますね。」
おねーさんはホワイトボードに向かいながら自己紹介を続ける。
「私の個性は、他人の血を摂取して、その人に変身ができるって個性です。特訓して一部だけ変身も可能になりました。」
「それって……めっちゃ強い個性じゃん!」
「まぁ雄英高校にいたおかげですけどね?」
「個性で思い出したけど凄かったよね。3年生の雄英体育祭。最後のトーナメントでかっちゃんとの決勝戦!すっごい見後えあったよ!前の試合の拳藤さんとの格闘勝負も面白かったしかっちゃんと轟くんの勝負もすごく良かったけど、やっぱり僕は決勝戦が……」
デク先生!?止まらなくなってますよ!
「緑谷くん。話逸らすのやめてもらっていいですか?流水さんに言いますよ?」
「うっ…………ごめん。」
「はい。それじゃ続けますね。」
「「「…………。」」」
被身子おねーさん……まだデク先生嫌いなんだね〜。やっぱり合わないのかなぁ?
「……さっきデク先生も言っていたんですが、私は個性を扱うよりも格闘戦する方が得意です。個性が扱えないって程じゃないんですけど、個性が使えなくても戦えるように……が流水さんの教えなので。」
「個性が……使えなくても?」
「そう。……ちょうどいいので言っちゃいますね。」
「「「?」」」
「皆さん。最後に信じられるのは貴方の身体です。個性じゃない。武器じゃない。もし何らかの影響で個性が扱えなくなった時。それでも強大な敵に立ち向かわなくてはいけない時。ヒーローは逃げてはいけません。」
「「「…………。」」」
皆……真剣に耳を傾けるてる。
私は……嫌という程流水おねーさんに言われたから。だから身体をめちゃくちゃ鍛えたんだ。
「だからこそ身体作りを怠ってはいけません。個性が強力であっても。個性が最強であっても。いざと言う時に頼れるのは貴方の身体だけです。」
「貴方の……」「身体だけ……」
「でもそれって……今からでも出来るの?」
「難しそうだよな。」
皆から不安の声が漏れる。
「……それを今実践しているのが多分日巡璃ちゃんなんじゃないですか?」
その一声で私に注目が集まる。
「はいはーい!おねーさんたちに言われて鍛えてました!…………7年くらいかな?」
「「「7年!?」」」
「…………なるほどな。そりゃ強ぇ訳だ。」
「俺たちが遊んでる時も……鍛えてたんか。」
「お嬢様……!流石です!」
「確かに。…………槍田が体力測定凄かったのも…………頷ける。」
「我々も負けてられませんな!」
おっ!皆も筋トレする?気持ちいいよ!
「ふふっ。日巡璃ちゃんはいい見本になってるみたいですね?私達の事務所に来るって選択肢もありますが………………私達の事務所は、強制的に筋肉付けさせられるので……身体が出来てないのに興味本位で来ない方がいいですよ?」
「「「……はい。」」」
「そういえば日巡璃ちゃん。ランニング続けてますか?」
「はい!夕方ですけど……1時間くらい!雄英高校の外周がちょうどいい広さなんだ!」
「まぁこんなもんですよ。」
「「「……。」」」
皆からすごい目で見られてる気がする!そんなに変かな?
「……日巡璃…………この広さ走ってるの?」
「そうだよ?楽しいよ!みんなも走る?」
「「「…………ちょっとすぐには無理かも。」」」
そうかなぁ?おねーさん達の方がすごいよ?
「日巡璃ちゃんはこれくらい出来るようになってますが、体力が多い……ってことはつまり活動時間が長いとも言えます。ヒーローにとってはパフォーマンスが落ちない時間が長いということです。敵退治でも避難誘導でも。これは明確な強みになります。基礎体力をつける。身体を鍛える。今後絶対に必要になるので、みなさんも無理ない範囲で鍛えましょうね。」
「「「はい!」」」
「困ったら日巡璃ちゃんにでも相談すればいいんじゃないですかね?」
「え!?…………わかった!」
「流水さんも教えますし……デク先生も教えれるので困ったら聞きましょうね。」
「「「はい!」」」
「いい返事ですね。まぁツカミはこんな感じでいいですかね。ということです色々話していきますね。質問があればその都度答えます。じゃあまず私がヒーローを目指したきっかけなんですが……」
「ブラッドヘリアンサスさん!そろそろ時間かも。」
「……あれ?結構早いですね。」
さっきまでとは打って変わって皆ノートに必死に書いてる。
「おねーさん!板書早いよ!!」
「ふふふっ。慣れてくださいね?」
悪魔!鬼!!おねーさん!!!
「無理無理!!天眼!後で写させて!!」
「無理だ!俺も追いつけてねぇ!」
「うおおおお!!光れ俺の左腕ぇええ!!」
「光くん!!物理的に光らないで!!眩しい!!」
阿鼻叫喚。私だって追いついてない。
「あはは…………じゃあ明日にまたノート回収するね?…………皆頑張ってね?」
デク先生の顔も引きつってる。質問答えながらどんどん書き込んでいく姿は圧巻でしたね。
「……デク先生。私流水さんと相澤先生のところ寄ってから帰ります。」
「うん!ありがとうね!渡我さん!」
「………………。」
渡我…………?
そのままおねーさんは教室を後にする。
「…………板書消さない方がいい?」
「「「お願いしますッ!!!」」」
「デク先生〜。私が消しときますよ!」
「じゃあ槍田さん。お願いね。」
デク先生も教室を後にする。
今日は色んな話を聞けた。被身子おねーさんの知らないことまで知れたのはちょっと嬉しい。
「……カノーテスちゃんは写せたの?」
「当たり前じゃない。速写は得意よ。」
「…………手伝って?」
「………………しょうがないわね日巡璃!手伝ってあげるわ!」
すごく嬉しそうなカノーテスちゃん。
…………それだけで終われば良かったんだけど
すると鬼の形相で愛ちゃんがこっちに来る。
「なっ……!!お嬢様!私めがお手伝いします!!」
「私の特等席なんだから入ってくるな!」
「うるさい!私だって終わってるんだ!お嬢様の隣はお前だけの特権じゃないぞ!」
ギャーギャー!
ワーワー!
「2人とも。」
「「?」」
「煩い。」
「「……はい。」」
よし。静かになったね!
「……槍田なんだかんだ怖ぇよな。」
「あれ鬼嫁になるぜ?」
「怒ったら怖いよなぁ。怒らせんとこ。」
「…………なにか言った?」
「「「何もないです!!」」」
失礼しちゃうなぁ!