sideカノーテス・ディミトリウ
『私にとってカナは女でも男でも関係の無いくらい素敵な人です。それがたまたま同性だっただけで……私はこの感情を、気持ちを恥じません。迷いません。……ご両親には辛い選択をさせてしまうかもしれません。ですが何度でも頭を下げに来ます。何度でも。何年でも。……私にとってカナは……それくらい大切です。』
ふと……思い出した。
日巡璃が私のために紡いでくれた言葉。1字1句覚えてる。
「……すー……すー……」
目の前で寝ている彼女……槍田日巡璃。
今日……いや一応昨日ね。私は彼女と共に一線を超えた。超えてしまった。
学生の内は超えるつもりはなかった。他のふたりは知らないが、少なくとも私は。
「……。」
全部一回り以上大きい彼女。
胸も。おしりも。手も。足も。身長だってそう。
傍から見たら彼女なんて思われないかもしれない。姉妹……最悪親子にだって見えてしまうかもしれない。
そんな彼女が……私を求めて……あんなに……
自然と笑みが零れる。私を。私だけを求めて。
私をいっぱい。いーっぱい愛してくれた。
今は元気の無い日巡璃のソレを触る。
「…………。」
ダメだ。コレは。
本当にダメ。今まで言葉やスキンシップ……ここに至るまでの事はあらかたしてきたつもりだが、こんな愛情表現を知ってしまえば……
「……日巡璃……うふふ。」
もっとしたい。これ以上の愛情表現なんて……存在しないのではないかと思ってしまう。
言葉でも。ハグでも。キスでも足りない。それでいて依存性のある醜悪な花。
私たちはその香りに絆されて、全てを投げ出してしまった。
後悔はしていない。こんなに満たされて居るんだから。
少し前……夏休み。日巡璃達が別荘から帰った後日。
パパとママから声をかけられた。
『カナは日巡璃ちゃんと結婚したいかい?』
『ブッ!?なっ……なに急に!?』
『……。』
『……。』
茶化してる訳じゃないのはすぐにわかった。真剣な目。
『……当たり前じゃない。日巡璃以外とって言われても絶対しないから。』
『……本気なんだね?』
『もし私達がお見合いをセッティングしたとしても……かしら?』
『当然。そんな事したら出ていってやるわ。雄英じゃなくても日巡璃と一緒に暮らす手段なんて山ほどあるし。』
『……。』
『……。』
『……。』
パパとママの目をまっすぐ見つめる。絶対に譲れない。
『……うむ。それが聞きたかった。』
『うんうん。カナちゃんはそれくらいガッツが無いとね?』
『…………何が言いたいの?』
『あれ?聞かされてないのかい?』
『?』
『君の友達……愛ちゃんがね?学生中に君達と同棲がしたいから、家を借りたいって頭を下げてきたんだよ。』
『……はぁ!?』
私の親と愛が少し席を外していた事があったが、そんな相談をしてたなんて……
『彼女達は寮生なんだろ?……そりゃカナだけ寮生活じゃないのは少し寂しいと思ってね。全然了承したよ。』
『いや!?でも……学生4人なんて……』
『そうだね。それだけじゃ僕達も認められなかった。何せ大切な一人娘だ。危険は無い方がいい。』
『だからね……』
『……え?』
これから……もっと満たされるなんて。
「……日巡璃は知らないわよね?……絶対一緒に暮らしましょ?」
つんつんと日巡璃の頬をつつく。
時計を見る。5:01……。
だいぶ早い。もう少し寝れそう。
「ふぁ……」
目の前にちょうどいい枕が2つ。顔を埋めて……日巡璃の匂いを鼻腔いっぱいに。
……幸せ。本当に幸せ。
今は……私が独り占め。誰にも渡さない。
私が……私だけが日巡璃の……初めての女だから。