side槍田日巡璃
エリ……ERI……壊理……壊理ちゃん!?
咄嗟に隠れちゃった。
壊理ちゃんって壊理ちゃん……だよね?なんで壊理ちゃんの話が?
壊理ちゃんを守る?また彼女に何かあってから……ってまたって何?
「……確かに。もし個性消失弾が作れる環境があるのであれば、彼らは壊理ちゃんを狙う可能性がある。…………そんなの許せないです。」
「ああ。……あんな実験……二度とさせてなるものか。」
「…………。」
実験?個性消失弾?……壊理ちゃんは……何をされてたの?いつの話?私と知り合ってから?それはありえない。ほぼ毎日連絡してたから。じゃあ知り合う前?9歳だったよ?
……そういえば……壊理ちゃん文字書くのが苦手だったよね。
そういえば壊理ちゃん……腕に包帯巻いてたよね。
……壊理ちゃん……学校で保護してたって……おねーさんが……
全てのピースがパチパチとハマっていく。
字を書くのが苦手なのも。腕に包帯巻いてたのも敢えて聞かなかった。子供ながらに聞かなくていいことだって理解してたんだと思う。
両親がいない理由も聞かなかった。だって何か深い理由があると思ったから。
……私は………………壊理ちゃんの事何も知らない。
「……っ!…………サーッ!!」
身を乗り出す。私だって……壊理ちゃんの友達だ!!
「!……エスネイラー……」
「……この子は?」
「私の事務所にインターンに来ている子だ。」
「あぁ……バブルガールが絶賛してましたよ!教えがいのある後輩だって。」
えっ!本当?
ちょっと嬉しいけど……今はそれじゃない。
「……今の話を聞いていたのか。」
「はい。」
「……であれば忘れて欲しい。君には本筋の件を……」
「嫌です。」
「……何故だ。」
「私も……壊理ちゃんの友達だから。親友だから!!」
「!?」
「何だと……!?」
「壊理ちゃんが9歳の頃、おねーさん経由で友達になったんです。そこからずーっと私の親友です!……壊理ちゃんが困ってるなら、苦しんでるなら助けてあげたい!もし何かあったら……私耐えられません!!」
「おねーさん……?」
「ブラッドロータスだ。」
「!……なるほど。……壊理ちゃんが友達ができたって言ってたのは……」
「きっとそういう事だな。…………ならば話しておこう。壊理ちゃんに当時起こった事件を。」
「……。」
「耳を背けたくなる話かもしれない。覚悟は良いか。」
「はい。……私だってヒーローです。」
「……良い目だ。」
私はこれから……予想だにしない現実を突きつけられることになる。
「……壊理ちゃんの……身体を使って……個性消失弾を……!?」
「ああ。先程言った通りオーバーオールは、死穢八斎會を全盛期に戻す為、資金源……そして裏社会を牛耳る為に壊理ちゃんを使って個性消失弾の作成に勤しんだ。」
オーバーオール……さっきの話に出てきた四穢異傑が崇拝している人だっけ?
「……。」
2人の表情からして……多分本当なんだろう。当事者の2人が言っているんだ。私には……分かりえない思いがあったんだと思う。
「…………どうやって……」
「オーバーオールの個性だ。破壊と再生。壊理ちゃんを何度も壊し、何度も再生した。身体に包帯を巻いていただろう。」
「……え……」
人体に……破壊と再生を繰り返して……って……壊理ちゃんは……
「血。肉。壊理ちゃんの身体の部位を摘出、それを研究、実験して耐えられなくなったら破壊と再生。それを繰り返してたんだ。」
「……そんな…………」
壊理ちゃんは何度も死んでいたってこと……!?
「あろうことか……それが出来てしまった。彼の個性と……並々ならぬ執念がそうさせたのだろう。そして完成してしまった。個性消失弾と血清が。」
「で……でもそれってオーバーオールって人が居ないからもう出来ないんじゃ……」
「……彼らは元とはいえ指定敵団体だよ。何処に情報を隠してるか分からない。もしかしたらレシピも作成方法も理解してる可能性がある。」
「……。」
常識じゃ……測れない……人達。
「……そんなことはさせない。……が、壊理ちゃんにこの事を伝えるのは非常に良くない可能性もある。」
「……でも伝えておかないと……」
「……うむ。」
……行きたい。私も行きたい。私だって……私だって!
「…………その場に私も同席することは可能ですか。」
「「!」」
「私も壊理ちゃんを守りたい……です!」
私が壊理ちゃんの親友だ。
「……サー。」
「……いいだろう。早い方がいい。明日アポを取ってみよう。日にちが決まれば……エスネイラー。君も呼ぶ。」
「はい!!」
「よろしくね!エスネイラー!」
「よろしくお願いします!ルミリオンさん!」
『ひまちゃんから通話したいって珍しいね〜?』
「ちょっとね!久しぶりに声聞きたいなって!」
その夜。壊理ちゃんに通話をかけた。声が聞きたくなった。
『えぇ〜?私の事好きすぎじゃ〜ん!』
「親友だからね!」
『あははは!そうだね!』
他愛もない話。壊理ちゃんは……初めて会った時から明るかったのに……前は……
「……ねえ。壊理ちゃん。」
『何〜?』
「今……楽しい?」
『なんの事〜??』
「私とお話できて楽しいかなって。」
『えぇ〜?どうしたの?楽しいよ?』
「……良かった!えへへ!」
『……もしかして虐められて……!!』
「それは絶対無いかも!」
『……まぁあのパワー系彼女たちがいるなら虐められることは無いか……』
「パワー系って……まぁパワー系ではあるけど。」
実際最近押し倒されたし。
『相当強かだよあの子達。……少し前にマウント取った時からしたら相当肝が据わってるっていうか……』
「え?なにそれ?知らないんだけど???」
『うっふっふ〜♪』
「いやうっふっふじゃなくて!」
『まぁまぁいいじゃんいいじゃん!』
壊理ちゃんって時々よくわかんないことしてるんだよね。まぁそれが悪いことに行くことあんまりないからいいんだけど。
「はぁ〜……相変わらずだなぁ?もう!」
『えへへ〜!ひまちゃんにだけだよ!』
「そうかなぁ?洸汰くんにはもっとすごいことしてそうだけど。」
『え?してるよ?』
即答。さいですか……
「そっ……そっか。」
『当たり前じゃん!洸汰ってば日に日にかっこよくなっていくんだもん!絶対ほかの女が目付けてるよ!』
「うーん……付けてたとしても洸汰くんなら断ると思うけどなぁ?」
『違うの!目を付けられるのが嫌なの!洸汰の良さは私だけが知ってればいい!…………ギリギリマンダレイさんとひまちゃんは許す。』
「それでもギリギリなんだね???」
『当たり前じゃん!最大限譲歩した結果だよ!』
壊理ちゃんも壊理ちゃんだけど……洸汰くんも相当重いからなぁ……心配すること何も無いと思うけどね。
よくお互いから相談を受けてるから……同じ家にいるんだし話し合えばいいのに。
「まぁいいや。壊理ちゃんの声が聞けてなんか安心したよ。」
『どういうこと〜?このこの〜!……あっ!勉強教えてよ!』
「いいよ!どこわかんないの?」
『えーっとね!……』
3人とも……ごめんね。今日は壊理ちゃんとお話したい気分かも。