side槍田日巡璃
「ねーねーひまちゃん!今度あっち!」
「はいはーい!いいよ〜?」
「毒島先輩も!早く〜!」
「おうよ!ちょっと待てな?」
えーっと……
「毒島先輩ってこういうの結構ノリ気なんですね?」
「面白ぇことは好きだからな!」
「何話してるの?」
「こっちの話。」
「気にすんな!」
「そっか!」
なんで……
毒島先輩と壊理ちゃんとデートしてるのかって言うと……昨日の話に巻き戻ります……
お昼休み。
prrrr……
「!」
「日巡璃のケータイじゃない?」
「うん。多分……ちょっと席外すね!」
「ん。……いってらっしゃい。」
廊下に出る。インターンしてる事務所から連絡が来ることがあるから、一応スマホは肌身離さず持ってる。
えーっと……ナイトアイさん!?
「はい!もしもしエスネイラーです!」
『ナイトアイだ。エスネイラー。面談の予定が決まった。』
「え!壊理ちゃんとですか!?」
『ああ。君にも約束通り同席してもらう。』
早い!……いつだろ。明日かな!
「いつですか?明日ですか?インターンでちょうどいいですし……」
『今日だ。』
「……え?」
きょう?……今日!?
『今日だ。学校が終わり次第、早急に事務所に来て欲しい。制服で構わない。』
「え!?!?あっ……はい!!イエッサー!」
『それではこれで。』
ピッ……ツー……ツー……
「…………今日??放課後ってことぉ!?」
「…………というわけで……また貴方の命が狙われる可能性があるんだ。壊理ちゃん。」
「…………。」
「その顔は……本当みたいね?ナイトアイ。」
「ああ。嘘はつかない。」
マンダレイさん。壊理ちゃん。洸汰くんの3人が同席している状態での説明。壊理ちゃんは放心状態って感じ。
こっちは私とナイトアイさんの2人。ルミリオンさんも来る予定だったんだけど、急な予定が入って来れなくなったって。
「……っ!じゃっ……じゃあ壊理姉は俺が守ります!俺だって雄英高校を目指してるヒーローの卵だ!!」
洸汰くんが立ち上がる。当たり前だよ……彼女の危機だもん。私だって同じ立場だったらきっと同じことを言う。
でも……
「……洸汰……」
「また同じことが起こるなんて!黙って見てられるかよ!」
「……ダメだ。」
「っ!!なんで……!!」
「君はまだ中学生……それに仮免許すら持ち合わせてない子供だ。……君がもし個性を使って人を殺めてしまった場合、マンダレイさんに多大な迷惑がかかる。……それこそヒーローを辞めてしまわないといけないほどの。」
「ぐっ…………くそぉ……」
洸汰くんが膝から崩れ落ちる。壊理ちゃんが駆け寄るが……
「ひま姉!ひま姉からも……」
そんな目を向けられても……
私も首を横に振る。
「ごめんね。洸汰くん。……気持ちだけじゃ……ダメなの。」
「そんな…………」
重い空気が流れる。少しの沈黙の後、マンダレイさんが口火を切った。
「…………ナイトアイ。それを言いに来たってだけじゃないんでしょう?」
「……そうだ。だから壊理ちゃん。君に1週間、ヒーローのボディガードをつける。」
「「え?」」
そう。私達の提案はボディガードをつけること。これで壊理ちゃんの身柄を守るって事。
「二度と同じ事件を起こさせる訳にはいかない。我々も死力を尽くして君を守る。」
「……!」
「君の笑顔を守るのも。君の家族を守るのも。全てヒーローの仕事だ。」
「……はい!」
ヒーローの仕事。すごく重い仕事。言葉にするだけならどれだけ軽く聞こえるだろうか。
命を守れてこそのヒーロー。当たり前なんだ。出来て当然。それが世間の評価。……おねーさんが嫌ってるヒーローコンテンツ化の一端。
「……誰が守るんですか。」
「……それは今から相談し、明日にはボディガードをしっかり付ける予定だ。」
「…………。」
「洸汰……うん。……すみません。それってこっちで決める事は可能ですか?」
「壊理姉……」
「洸汰の不安もわかるよ。……私だって信頼できない人は嫌だから。」
好きな人に変な虫がつくのが嫌だってことかな……?
………………たしかに嫌かも。3人とも私のだもん。……これじゃ壊理ちゃん達のこと重いって言えなくなってるかも。
「……わかった……が、トップヒーローに依頼を通すのは少し難しいかもしれない。……もしかしたら別の人がボディガードを……」
「ん。」
「……え?」
指を……指された。壊理ちゃんに。
「私。ひまちゃんならボディガードしてもらってOKです。」
「えぇ!?私ィ!?」
予想外すぎる!?私!?よりによって!?
思わず立ち上がっちゃった。
「いやっ!?壊理ちゃん!私まだ仮免許取ったばっかりだし!まだまだ未熟で……」
「エスネイラー。まぁ座れ。」
「……はい!」
ナイトアイさんに促され、一旦座る。
「……エスネイラーはまだ学生だ。……先程自分でも言っていたようにまだ未熟。……君の命を任せられると到底思えない。」
「嫌です。私はひまちゃんじゃないと任せられません。」
「……。」
「私は本気です。」
…………なんということでしょう……壊理ちゃんすっごい強かに……っていうかなんでナイトアイと睨み合ってるんだよぉ……がんこちゃんめ!!
「……ハァ……本気なのだな?」
「はい。……そうじゃないと私も洸汰も心から信用出来ないから。」
「壊理姉……!」
「……わかった。君のボディガードにエスネイラーを付ける。」
「えぇ!?ナイトアイさん!?正気ですか!?」
「……やってみせるな?エスネイラー。」
「うっ……」
圧。圧倒的な圧。やれと言わんばかりの!
「ひまちゃん……」
「ひま姉……」
2人からも!!
マンダレイさんに助け舟を……と視線を送るが……
「ふふ。」
笑ってるだけ!!もう!!!
「えーーーい!どうとでもしますよ!!やります!不肖槍田日巡璃!初重要任務!要人警護!やります!!」
ここまで来たらヤケだ!!出来ることするって決めたもんね!!
「ひまちゃん!!ありがとう!!」
「ひま姉!最高にかっこいいぜ!」
「ありがと!!!!!!!」
調子がいいんだから!もう!!!
「……よし。だがこちらからも1つ条件をつけたい。」
「条件ですか?」
「……もう1人。ボディガードを付ける。」
「…………。」
「エスネイラー……彼女は優秀だ。だがまだ学生。2人は良くとも……マンダレイ。保護者の君は少し不安なのではないか。」
「…………まぁ……不安がないかと言えば嘘になるわ。私に取ってみれば、壊理ちゃんも日巡璃ちゃんもどちらも娘のようなものだし……どちらかが危険に晒されるなんて……」
「信乃さん……確かに。」
「ごめんね。私たちがボディガードを出来たら良かったんだけど……」
「大丈夫です!信乃さんも忙しいでしょう?」
「壊理ちゃん……ありがとう。」
……今プッシーキャッツは忙しいんだ。なんでだろ?何かあったのかな?
「……今信乃さんは、仮免試験の講習やってんだよ。」
「あぁ……そっか。なるほど。」
洸汰くんが説明してくれる。
仮免試験の講習ってことは……落ちた子達のって事か……大変だねぇ。
「だからもう1人付ける。これに同意してもらいたい。」
「……誰が付くんですか。」
「……それはこれから予定を付ける。少なくともエスネイラーと楽に連携が取れる者にする予定だ。」
……私の知り合いってことかな?……誰だろ?なんかそんなちょうどいい人居たっけ?
「……なら……いいです。」
「うむ。時間を取らせてすまない。明日の朝からエスネイラー達を派遣させる。何かあれば何でも言って欲しい。」
「はい。」
みたいな感じで相談が終わったんだけど……
朝来たのが毒島先輩だった。って話。
一応色々理由はあるんだけど……
問題は壊理ちゃん。打ち解けれるか心配だった。まぁ……
「毒島先輩!クレープたべましょ!」
「お?いいぜ!うめぇんだろうな?」
なんなら私の先輩だって話したらすぐに壊理ちゃんと打ち解けて、直ぐに仲良くなった。
毒島先輩話しやすいもんね。ユーモア◎って感じ。
「オイ!槍田ァ!このクレープってのはどれが美味いんだ?」
「毒島先輩!?クレープたべたこと無いんですか!?」
「あんまりねぇんだよな!そもそも甘いもんあんまり食わねぇ。」
えぇ……なんか意外。
「私いちごがいい!」
「壊理ちゃんいちご?じゃあ私チョコで!」
「あぁん?じゃあ被らねぇほうがいいのか?ベリーってやつでどうだ!」
……これ本当に要人警護になってるのかな???
一応周りは見渡してるけど……
ダメだよね。あと5日。しっかり気を引き締めないと。