side槍田日巡璃
「…………。」
知らない天井だ……あっ!これって天捻ちゃんの小説で見た!
……って事は病院?……なんかそれっぽい。点滴とかあるし……
「!!!」
Mr.Jは!!!?
ガバッと起き上がる。辺りをキョロキョロ見渡すが、誰もいない。
……個室……なのかな?大きめの部屋。
繋がれてる点滴は……あと少しって感じ。結構な時間寝てたのかな。
……そういえば……胸の傷と足の傷は……
痛みは……あんまり感じない。時計を見る。
18:02
…………こんな短時間で???
もしかしたら1日経ってる!?外からの情報が何も無い!!
前開きのパジャマみたいな服からそっと胸の傷を見る。
……あれ?何も無い……???さっきのは夢??いやそんなことは……
ガラッ……
「!」
「……目ェ覚ましたかよ。」
「ひまちゃん!!!!」
「毒島先輩!で合ってます?……と壊理ちゃん!無事だったんだね!」
包帯まみれの毒島先輩と、壊理ちゃんが入ってきた。
壊理ちゃんは私を見た瞬間走って抱きついてきた。
「ひまちゃん!ひまちゃん……」
「わわ!?どうしたの??」
「……テメェ結構ギリギリだったんだぞ?」
「あっ……そうなんですか。」
壊理ちゃんを撫でながら答える。
「……コイツの個性すげぇな。怪我なんか全部すぐ治しちまった。」
「壊理ちゃんが治してくれたんだ。」
「……うん。」
「ありがとう。壊理ちゃん。」
「……うん。」
……それよりも。
「毒島先輩……なんでミイラみたいになってるんですか?」
「……ちっ……よくわかんねぇ奴と戦ったんだが……結局逃がしちまった。……クソが。」
「毒島先輩も怪我だらけだったから……私が。」
壊理ちゃんが治したんだ……でもまだ包帯は取れてないと。
「……とりあえず誰か呼んでくるから待ってろ。」
毒島先輩が部屋を出ていく。なんか不貞腐れてたね?
「……毒島先輩どうしたの?」
「面白い戦いを無理やり中断させられたから……って。ジャンキーだね。」
「……ジャンキーだね……」
壊理ちゃんはまだ抱きついたまま……
「…………ひまちゃんが死ななくて良かった。」
「えへへ。そんなヤワじゃないよ!」
「……危なかったんだよ?ひまちゃん……」
「……それは…………ごめんね?」
「流水お姉さんも……私が来た時は……ほとんど手詰まりって顔してた。」
「え!?おねーさんいるの!?」
「うん。当たり前じゃん。ひまちゃんが重体って言ったらすぐ来てくれたよ。」
「…………んへへ。」
ちょっと……ちょっと嬉しい。
「……むー。」
「ゴメンナサイ。」
「……輸血しながらの大手術。出来ることは全部したって言ってたけど……容態が安定しなかったって。……だから私が呼ばれて……」
「…………あれ?もしかして……1日経ってる??」
よく見ると壊理ちゃんの服装が違う。
「1日なんてものじゃないよ!3日経ってるよ!!」
「えぇ!?!?!?」
3日間も寝てたの!?……予想外デース。
「…………私が個性を使ってどうにかて感じ。毒島先輩は傷は多かったし骨折もしてたけど、命に別状は無さそうだったって。治してあげたんだけど。」
うーん……壊理ちゃんの個性もすごい個性だよね。触れたものを巻き戻す個性。どういう原理で戻ってるんだ。
「……壊理ちゃんは全部優しいね?個性も。壊理ちゃん自身も。」
「っ…………ありがと。」
照れてぷいっと横をむく壊理ちゃん。可愛いねぇ。
コンコン
「日巡璃ちゃん。入るわよ。」
あっこの声!
ガラッ……
「おねーさん!」
「や。」
流水おねーさんと、毒島先輩、後はナイトアイが入ってきた。
「あっ!ナイトアイさんも!」
「……体調は。」
「大丈夫です!」
「そのようだな。」
「は?」
流水おねーさんが急にナイトアイさんのネクタイを掴む。
「そのようだなじゃねぇだろナイトアイ。私はお前に日巡璃ちゃんを生死の境に持っていけっつって預けたわけじゃねぇぞ。私は今、日巡璃ちゃんの保護者役やってんだ。遠方で易々来れねぇご両親から日巡璃ちゃんの命預かってんだよ。次てめぇらの不手際で命落とすなんて事あってみろ。ぜってぇ許さねぇからな。」
「…………すまない。」
すごい剣幕でナイトアイさんに詰めるおねーさん。さ……流石に言い過ぎでは!?そんな口調聞いたことないけど!?
「おねーさん!……私大丈夫だから!」
「ふーっ……大丈夫なのは貴方だけの力じゃないよ。壊理ちゃんの個性が無いと、そもそも今日にすら起き上がれるか分からなかったの。貴方が今大丈夫でも、この話はなんの意味もないの。……分かる?」
「…………ごめんなさい。」
うっ……何も言えなくなっちゃった……
「……ナイトアイ。話は終わってねぇぞ。日巡璃ちゃんがボディガードやるのはいいよ。そういう約束しちまったのならしゃーねぇ。しかしボディガードが2人だぁ?プロを雇えって言ってんだよ。毒島さんもまだ学生だぞ。私でもいい。一声かけろや。忙しくても人時くらい確保するわ。ボゲ!」
「……それは同じ学生の方が壊理ちゃんのプライバシーを守れると判断したのだ。無理に注目を集めさせる必要も無いだろう。」
「……そういう考えもわかるが……プライバシーを守れて命守れなかったら洒落にならねぇよ。」
「……。」
「……。」
うわわ……険悪なムード……
「「……ふぅ。」」
「……え?」
おねーさんがナイトアイさんのネクタイを離す。
「気は済んだか。ブラッドロータス。」
「多少は。……でも次やったら本当に許さないから。」
「肝に銘じよう。」
「え?え?あれれ??喧嘩してたんじゃ……」
「するわけないじゃん。無駄な体力よ。」
「喧嘩などしない。今回はこちらが全面的に悪いからな。罵詈雑言を受け止めるのも当たり前だ。」
……二人の関係性がよくわかんないよ???
「いや……そんな……私が弱いから……」
「だとしたらそれも踏まえてボディガードを増やすべきだった。それが責任者の役割だ。」
「……!」
「責任者の役割を放棄して……君を命の危険に晒してしまった。本当に申し訳ない。」
ナイトアイさんに頭を下げられる。
「だ……大丈夫です!」
「……であればよろしい。」
ナイトアイさんがネクタイを元に戻す。
「……今回の事件の結果は、もう少し人を交えて話したい。明日……時間は取れるか。」
「……面会の予定は無いわよ。」
「うむ。それでは朝……朝食の後に顔を見せる。その時によろしく頼む。」
「あっ……はい!わかりました!」
ナイトアイさんが病室を後にする。
「……ナイトアイ……あれでも貴方の事人一倍心配してたのよ。次から絶対に無理しちゃダメ。誰かに頼りなさい。わかった?」
「…………はい。」
「……私もほんっっっっっとうに心配したんだから。」
「おねーさん……」
私の弱さが……油断が……色んな人に迷惑をかける。ひとつの判断の重さ。もっと考えて判断が出来ていれば、結果は変わったのかもしれない。
強さの象徴。誰にも負けず、誰にも屈しない。最強最高のヒーロー。
「……おねーさん。私もっと強くなりたい。」
「…………。」
「おねーさんよりも。誰よりも強くなりたい。もっともっと……誰からも頼られるくらいのスーパーヒーローになりたい。昔のオールマイトみたいに……」
「……ダメよ。」
「え?」
「誰からも心配されないスーパーヒーローなんて絶対にダメ。そんな孤独……絶対に許さないから。……心配くらいさせなさい。親不孝者め。」
「……!」
おねーさんの顔が……少し寂しそうだった。おねーさん……教頭先生と仲良しなんだけど……他の人となにか違うんだよね。
「……ごめんなさい。」
「いいのよ。……私は貴方を孤独にしない。だから今のうちに精一杯力をつけなさい。何度も言うけど、無理だけはダメよ。」
「……はい!」
「それと学校には連絡しておくから。……何人か毎日貴方の病室に来てたから。お昼から覚悟しておくように。」
「…………はい。」
なんか察しがつく人がちらほら……明日私大丈夫かな????