side槍田日巡璃
「うえっ!?何何なn……ぐえっ!?」
何事かと思い、起き上がろうとした瞬間とんでもない勢いで何かがベッドに飛びかかってきた。
「日巡璃!!」「お嬢様ァ!!」「ひまひま!!」
3人が涙目も涙目。顔ぐちゃぐちゃでベッドに飛び込んできた。
「ちょっ!?3人とも一旦離れよっか!?私一応これでも入院中だし!!」
「日巡璃!!私を置いて死ぬなんでぜっだいゆるざないがらぁー!!」
「お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様ァアアアア!!2度と私めを置いて行かないでくださいませ!本気です!次お嬢様に何かあれば私……私!!」
「ひまひま……ひまひまぁ……良かったぁ……本当に……ほんとに良かったぁ……ぐすん……もう二度と目が覚めないと思ったぁ…………」
三者三葉。四面楚歌でしょこれ。いや……まぁ……私が悪いんですけど!!
「…………くぅ……ごめんなさーい!!」
私が悪いから何も言えなーーーい!!
みんなをヨシヨシすること10分。
「……落ち着いた?」
「……ぐすん。……うん。」
「はい。鼻かんで?」
「ん……ずびび……」
最後までぐすぐすしていた天捻ちゃんを慰めて、彼女のご機嫌取り終了!私の弱さが招いた結果。すごく反省です。
「……日巡璃。本当に何も無いのよね?」
「うん。傷跡もないよ!」
「……お嬢様の珠のような肌に怪我が残るなど……世界の損失です。」
「んな大袈裟な。」
「大袈裟じゃないわ。」
「大袈裟じゃない。」
「えぇ?」
私のこと好きすぎじゃん……ちょっと照れるよ。
「……そういえば……」
「?」
「ねえ。アンタは入らないの?」
カナが病室のドア……開けっ放しだけど。に声をかける。まだいるの??誰かいたっけ……?
「え?」
「…………槍田……日巡璃。」
おずおずと顔を見せたのは佳舞ちゃん。大きな紙袋を持ってる。
「あえ!?佳舞ちゃん!?!?」
「コイツも私達ほどじゃないけど日巡璃のこと心配してたから首根っこ引っ捕まえて連れてきたの。」
「!…………そうなんだ。」
だからあんなに弱気にしてるのかな?
「早くお入りになってください。お嬢様に伝えたいことがあるのでしょう?」
「??」
「う……えと……うん……」
といつもの佳舞ちゃんとは思えないほど弱々しい足取りで、ドアを後ろ手に閉めてベッドの脇へ。
なんか……弱気過ぎない??どうしたの?顔色を伺われてるというか……なんというか。
「……どうしたの?」
「…………今回の……インターンで……コスチュームが破れたって……」
「あ!そのこと!?ありがとう!!佳舞ちゃんのコスチュームじゃなかったら死んでたよ!」
「え!?…………怒ってるんじゃ……」
「あれ??なんでそんな話に??」
驚いたようで……佳舞ちゃんが固まってるので、愛ちゃんが説明してくれる。
「彼女はお嬢様が入院したのは自分が作ったコスチュームが不完全だったからだと。もっと強固な素材で作っていれば命を危険に晒すことは無かったと。……彼女なりに責任を感じていたのでしょう。」
私の怪我を自分の責任に……!?……責任感強すぎるよ!!
「えぇ…………もう。佳舞ちゃん!」
「ひっ……は……はい……」
「改めて言うけど!全然そんなことないよ!」
「……!」
「佳舞ちゃんのコスチュームじゃなかったら私絶対死んでたよ!だから私佳舞ちゃんにいっぱい感謝してるんだ!ありがとう!佳舞ちゃん!これからも私のコスチューム作って欲しいな!」
佳舞ちゃんの目を見てしっかり話す。……?目のクマ増えた??
「……うん!うん!そうかそうか!私のコスチュームがいいか!」
「……ふん。言ったじゃない。日巡璃はそんなこと思わないって。」
「うっ…………でも……心配だったんだ……私でも!」
「お嬢様の解像度が低すぎます。」
「うるさい!」
「ん。そんなんじゃ彼女になるのは認められない。」
「うるさいうるさーい!槍田日巡璃が私のことを好きになればいいんだろう!!」
「えぇ〜?だったら私のことフルネームで呼ぶのちょっと距離感じるなぁ?」
「えっ!?……いや……あの……これは癖で……」
「距離〜……感じちゃうなぁ〜?」
「う……槍田……」
「下がいいなぁ?」
「う……うううっ……ひ……日巡……日巡璃。」
「んふふ。佳舞ちゃん。好きにさせてね?」
ちゃんと目を見て話す。これでも仲良しだね!!
「っっっ!?……う…………うん。」
「「「……。」」」
3人が黙っちゃった。
「……どうしたの?」
「罪な女。」
「自覚させちゃいましたか。」
「妖怪沼落し。」
「3人してなにそれ!?」
「?……??……???」
なんか佳舞ちゃんは胸抑えてキョロキョロしてるし……何事?病気??
「そういえばその紙袋何?」
「あっ!これか!?……えーっとな……コスチュームが敗れたと聞いて……お詫びにと改良版を持ってきたのだが……」
「えぇ!?私が寝てる3日の間に!?」
「う……うむ。」
あぁ〜……なんか察したぞ?
「……それで目の下。クマが濃くなってるんだ。」
「……うっ。」
「ちゃんと寝てるの?」
「もっ……黙秘だ!」
「ふぅーん?そんなこと言うんだ?」
へぇ〜……寮に帰ってから楽しみだねぇ?
「憎田愛!中曲瀬天捻!助けろ!!」
「嫌です。」
「いうこと効かない子は嫌い。」
言うこと聞かなかったんだ?へぇ〜?
「……。」
「ぴ……ぴえ……」
「……言うことあるでしょ。」
「だ……だって……」
「 言 う こ と あ る で し ょ ? 」
「……う……ご……ごめんなさい。」
「よろしい。」
おぉ……
「「「カナママ。」」」
「黙りなさい。」
「だっ……だが!私のコスチュームが色々足りなかったのも事実!こっ……これは新しいコスチュームだ!」
「……見ていい?」
「もちろん。……自信作だ。」
そこまで言うなら……と紙袋から取り出す。
「今回は……水着の形では防御力に欠けると思い、アシンメトリースカートのドレスで、背中を大きく開いた形のものを用意した。」
「……おぉ……すごく綺麗!」
「素材にもこだわって……斬撃耐性の高い素材と、熱、冷気に強い強化繊維を2層に分けて形にした。スカートは、そのふたつの2層構造……つまるところレイヤードアシンメトリースカートというやつだ。」
白と黒を基調としたドレス。私用に肌を多く見せることは当たり前で、防御力も追求したデザイン。2層構造で上が白、下が黒になっていて見栄えもいい。
花柄の刺繍があるけどこれもワンポイントでいいね!可愛い!
「……ど……どうだろうか。」
「……うん。いい!すごくいいじゃん!」
「!そうか!そうかそうか!」
「……へぇ。センスあるじゃない。日巡璃に似合ってる。」
「お嬢様。お元気になられたらぜひとも見せていただきたく……」
「ひまひま!私にも見せてね?」
「うん!いいよ!」
……あれ?
「…………チェーンメイルは?」
「……あ……あれは……シルエットを損なうと思って……泣く泣く断念を……」
あぁ……あれだけ力説してたチェーンメイルが無いから気になったけど……なるほど。デザイン的にって事か。
「……つけてくれていいのに。」
「!……良いのか!!」
「いいよ。……佳舞ちゃんの満足いくコスチュームが着たいな?さっき自信作って言ってたけど……最高傑作じゃないんでしょ?」
「!!」
佳舞ちゃんなら本当に満足いく物が出来たら多分そういうと思うから。
「……わかった!もう一度デザインを練り直す!しっかりと私も満足いくものを作るぞ!」
「うん!お願いね!」
「ああ!任せてくれ!!」
テンションが上がったのか、ぶんぶんと両手を振る佳舞ちゃん。うんうん。佳舞ちゃんは遠慮してない方が佳舞ちゃんらしいよ!
「……日巡璃って都合のいい女すぎるわよね。」
「はい。いつか利用されないか不安です。」
「ん……そのために私達がいる。」
「なんの話してるのかなぁ??」