side槍田日巡璃
「失礼しまーす!」
放課後。言われた通り工房に来た。今日のヒーロー基礎学は体操服でやったから浮いてたんだよね。ちょっと恥ずかしかった。
インターンやる前とやってる時だと全然気合いの入り方が違うね。やっぱり経験値ってすごいや。これからの2年とちょっとが楽しみすぎるよ!
「む!ひ………………日巡璃!来たか!」
「佳舞ちゃん!来たよ!」
「……とお前らもいるのか。」
「居ちゃ悪い?」
「お嬢様に見せていただく約束をしておりましたので。」
「ん。」
いつもの3人も居ます。
「……ふん。まぁいい。それではすぐにでも見てもらう!」
ズカズカと奥に入っていくのでついて行くことに。
サポート科の工房って鉄の匂いとオイルの匂いと……なにか焦げてる匂いが充満してて、作業場って感じがして結構嫌いじゃない。
みんな全力で取りくんでるんだなって。見ててこっちも気持ちが入るよね!んふふ。
「これだ!」
と布で覆いかぶされてる……マネキン?が置いてある場所まで来た。
「これマネキン?私くらいのよくあったね?」
「作った。」
「作ったァ!?」
「うむ。ひ…………日巡璃のコスチュームしか作る気が無いから作っておいた。」
「うわぁ……すご……」
「日巡璃のスリーサイズわかるの?」
「当然。私の個性は見るだけで人のスリーサイズは愚か身体のありとあらゆる情報まで数値化できるからな!」
「……へぇ。」
「ふぅん?」
「……。」
3人とも目が怖いよ??どうしたの??
「ん?……見るだけ?……じゃあなんで最初触ってたの?」
確か触れないと個性が……とか言ってなかった?
「それは私の趣味だ。」
「……。」
さいですか。
「よし!それでは診てもらおう!これだ!」
佳舞ちゃんがバッと布を取る!
「「「「おぉ……」」」」
そこには、クリーム色のアラビアンドレスがあった。とは言っても顔の透明な布とか腕周りの装飾はほぼないけど。後ボトムスはズボンみたいなやつ。
「安心してくれ。全部強化繊維で作ってある。シースルー生地を入れたかったが、防御力の関係で断念。サルエルパンツ……このボトムスは、動きやすいように、それでいてサイドを大きく開けることにより、皮膚の面積も確保。防御力と機能性をできる限り重視した。トップスは前のドレスを流用したものだが……中にチェーンを編み込んであるから防御力も一弾上がった。ヘッドドレスもつけたかったが、視界の邪魔になってはいけないと思い最低限。腕周りも同様だ。一応つけようと思えばつけれる。」
と佳舞ちゃんがチェーンを取り出した。チェーンなんだ。
「そこもチェーンなんだね?」
「一応だ。ひっ……日巡璃の筋力にもある程度耐えられる素材を用意している。……高かった。」
「……じゃあつけてもらおうかな?なにかに使えるかもだし。」
「む?いいのか?デザイン的には……」
「うん。佳舞ちゃんが良いって思ってものをつけて欲しい。」
「わかった。それでは……」
バチンと手首に手錠のようなもので鎖をつけて、反対側を腰に着ける。
「……。」
「……なんかさ。」
「なんて言うか独特ですね?」
急にいかつくなったね??
それにしても……この鎖……なにかに使えないかな?
「……!そうだ!だったらさ!!」
「?」
「なるほど!わかった。明日までに完成させよう。」
「だめ。今日は寝ること!」
「む!そのようなもの夜までかからん。すぐに終わらせる。」
「あれ?そうなの??」
「私を誰だと思ってる。」
「佳舞ちゃん。」
「っ……そっそうだが!……まぁいい。すぐにでも終わらせる。明日にはコスチュームを届ける。」
「うん!わかった!ちゃんと寝ること!いいね?」
「……わかった。」
「それはそれとして今日突撃するから。」
「うっ……」
「問答無用です。」
「ん。」
「…………うぅ……」
「………………日巡璃とお風呂に入れるのに嬉しくないの?」
「ち……ちがうんだ……実は……」
チラチラとこちらを見る佳舞ちゃん。
「?」
「あー……何となく察したわ。日巡璃。少しだけ離れてもらえる?」
「?……まぁいいよ!」
少しだけ距離を置く。何話してるんだろ……
sideカノーテス・ディミトリウ
「……何となく察したけど……なんなの?」
「……う……最近……ひ……日巡璃の……身体を見るとドキドキして……胸が痛いんだ……」
はぁ……そんなことだろうと思った。
「……。」
愛と天捻に目配せをする。
「まぁ……そうでしょうね。」
「ん。確定。」
「???」
当の本人は自覚してないみたいだけど、多分コイツ日巡璃のことが好きになってる。恋に落ちてる。
「よ……よく分からないが……私は……どうしてしまったんだろうか。会いたくないのに会ったら嬉しいんだ。……自分の気持ちが言語化できない!」
「「「……。」」」
涙目でキョロキョロしながらオドオドと落ち着かなくて……
なんか可愛いわねコイツ。
私は日巡璃の事を堕としたと思ってたけど、日巡璃にもしっかり女好きに堕とされてたのかもね。
まぁいいわ。とりあえず言えることは……
「それは恋よ。」
「こい……?」
「お嬢様の事が好きなのです。恋愛的に。」
「れんあいてき……?」
「ん。恋する乙女。」
「…………!!」
ボッ
一瞬で顔が赤くなる岩刄。すぐに両手で顔を隠してしまった。
「なななななっ!?なーーっ!?」
この反応……多分恋は知ってるけど自覚症状がなかったタイプね。ご愁傷さま。もう日巡璃の事しか考えられないわよ。
「…………お疲れ様。」
天捻が岩刄の背中をポンポンと叩く。
「ううう……これが……恋……煩わしいものだな……。」
普通なら嬉しいとか充実感があるものだけど……煩わしい……ね。
「煩わしい?」
「だって……そうではないか!……私は……ひ……日巡璃に普通に接したいのに……出来なくなったではないかぁ……」
「「「あぁ……」」」
なるほど……そっちの悩みか……
「……私は自覚してもガツガツ行ったからあんまり気にならなかったかも。」
「私もですね。」
「ん。」
「……う……恋愛強者め……」
そんなこと言われても……
「……お嬢様はおニブさんなのでタジタジしてても大丈夫ですよ。」
「それはっ…………それはそれで……ちょっと寂しいというか……なんというか……」
「「「……」」」
可愛いわねコイツ?
「ねえ。愛。天捻。」
「……わかりました。」
「任せて欲しい。」
「ありがとう。」
「?」
こういう時助かるのは察してくれる友達よね。
「私達がお嬢様に恋愛を教えます。」
「!」
「かまかまが……可哀想だよね。……ひまひまに……意識してもらおう。」
「いい……のか!?」
「日巡璃の彼女3人がいいっつってんの。素直に受け取りなさい。」
「!!…………え……えへへ……ありがとう!」
なんだろう……モルモット?ハムスター?そっち系の小動物を見てる感じよね。
「ん!大船に乗っていい!」
「えへへ!うん!……んふふ!ありがとう!ありがとう!」
「…………。」
「カノーテス様。分かりますよ。なにか頬張って欲しいですよね。」
「うん。癒しってやつ?」
「……もしかしたらお嬢様も私達をこういう目線で見てるのかもしれませんね。」
「それはないわ。」
「それもそうですね。」
あ。忘れてた。
「そういえば岩刄。……佳舞!日巡璃のスリーサイズ教えなさいよ。」
「?いいぞ!何に使うんだ?」
「ナニに使うのよ。」
「???」