side槍田日巡璃
「第1回。お嬢様に恋愛を教えよう〜!」
「『おー!』」
「おー?」
「?」
なにこれ??なんか始まったんだけど。
ご飯食べてお風呂上がり。私の部屋にみんな集められた。
ちなみにカナはビデオ通話で参加。佳舞ちゃんも居ます。何故か居ます。お部屋に入れたのはあの時以来だし新鮮でいいね。
「……で?なんだって??」
1度聞き直してみる。意味わかんなかったから。
「お嬢様に恋愛を教えようの会です。」
「私に……恋愛?」
聞き間違いじゃなかったらしい。
まぁ……私は……たしかに恋愛はよくわかんないしね?最近やっと好きとかどうとか分かり始めたし。
「うーん……確かに言われなくてもよくわかんないかも。」
『過去の私ホントによく好きを教えることが出来たわね。コレに。』
「コレって!言い方でしょ!」
「そこは素直にすごいです。」
「ん。尊敬。」
「あるぇ?」
皆からは賞賛の嵐。私ってそんなに朴念仁??
「……そうなのか?」
佳舞ちゃんもこの表情。そうだよね。私がカナと付き合った時はまだ知り合って無かったし。
「……まぁそうだよ。私はカナに好きって教えてもらったから。」
「ふーん?……なんでだ?」
「え?」
「人が人を恋愛的に好きになるのは至極当然の事だ…………と本には書いてあった。故に私共々恋愛感情を持っているのは当たり前だと思っていたのだが……ひ……日巡璃は違うのか?」
まだ私のことを日巡璃と呼ぶのに慣れてないみたい。ちょっと可愛いね。
「うーん……事情が事情だしなぁ。」
「……言えないことか?」
「ううん!そんなことないけど……」
「うーむむむ……すまない。私は個性で人間を数値で見る癖が出来てしまっていて……数値ができないモノにすごく興味を惹かれるんだ。人の過去や、趣味とかだな。ただ言いにくいことは人によってあると思う。そこまでデリカシーのないクズじゃない。まぁクズではあるが。」
佳舞ちゃんが申しわけ無さそうな顔をして頭を搔く。
『クズではあるわね。』
「そうですね。」
「人の彼女の身体をまさぐるなんて非常識。」
「そこまで言わなくてもいいんじゃないかなぁ!?」
「あはは……」
それは一旦置いておいて……
「まぁ……私小中とイジメられてたんだ〜。自己肯定感がすっごく低いの。だから好きも恋愛もよくわかんないんだよね。」
「……そうか。イジメか……どこの学校にもあるものだな。かくいう私も当事者な訳だが。」
「えぇ!?佳舞ちゃんも!?」
佳舞ちゃんがお茶を1口。愛ちゃんが煎れてくれたもの。
「うむ。……まぁそこまで酷くはなかったがな。私自身変人でクズでオタクだからイジメられる要素は持っていた。仕方ないといえば仕方の無いことだ。生物学的にもな。」
「……達観してるんだね?」
「せいぜい物を隠すとか影口、無視位だった。別に困るほどではない。」
うーん……強いなぁメンタル。
『……世の中狭いわね。この場に元イジメられてる子が3人もいるなんて。』
「そうだねぇ〜。佳舞ちゃんと急に親近感湧いちゃったよ。」
「嫌な親近感だな。」
「ね。」
「ん。ひまひま。もうイジメさせないから。」
「天捻ちゃんもね?」
次は絶対無傷で守ってみせるから。絶対にイジメさせないよ。
「そういえば………………3人?もう1人いるのか?」
あ、今??
「ん。私。」
「……そうか。……現代社会の闇だな。」
少ししんみりした空気が流れる。
皆それぞれイジメられてた理由があるんだなって。外見でイジメられた私。内面でイジメられた佳舞ちゃん。自分の夢でイジメられた天捻ちゃん。
全部許せないけど全部過去の話。……今更どうしようもない。
『はい!今日はこの話をするつもりで集まった訳じゃないわよ。』
「そうでした。お嬢様に恋愛を教える会です。」
「そうそれ。結局あんまり良くわかってないんだけど、何するの??」
ようやっと本題に入るみたい。結局何をどうするんだろう??
「まずはコレ!」
「……ソレって……天捻ちゃんに面白いって言われて買った小説……だよね?」
「ん。私が買ってもらった。」
確か無神さんにも貸したことがある。内容はあんまり覚えてないけど。
「これ……読んでみてどうでした?」
「……え?……うーん?……えーっと……」
「……ん。OUT。」
「え?」
「ひまひまは……恋愛に対して……興味が無さすぎる。」
「うっ……」
そう言われると……そうかも。今のままでいいやって思ってる節がある。
「なので今からお嬢様には、いくつか小説を読んでもらいます。カノーテス様。」
『もちろん私と天捻が吟味した面白いやつよ。3つ。明日日巡璃宛に届くはずだわ。』
「明日??早いねぇ。」
「それはいわば教科書。しっかり読んで恋愛の勉強をすることです。」
恋愛の勉強……?
「恋愛って好き嫌いだけじゃないの?」
『複雑な感情が入り交じってるから恋愛っていうの。』
「そういうもん?」
「はい。」
「ん。」
そういうもんか。
え?……だったら……
「なんで佳舞ちゃんは居るの??」
「ん?……寂しかったからだ!」
「……そっか!」
「「『……。』」」
そういう日もあるよね。
ということで後日3つ届いたので読んでみることに。
大きいのが2つ。小さいのが1つ。
持ち運びが楽だから小さいのにした。
物語の主人公は女性。それも名家のお嬢様。相手は庭師の若い男性。……へぇ?身分差ってやつ?言葉だけ知ってる。
……なんか難しいな?感情移入できないっていうか……どういうこと?これが恋?愛?ん〜〜??なんだろうこれ……
面白くはあったので読み進めてみることに。
「ふーん……?」
sideカノーテス・ディミトリウ
「……なんの小説を教えたのですか?」
横でうーんうーんと唸る日巡璃を尻目に、愛が話しかけてくる。
「恋愛小説よ。フツーの。」
「……本当ですか?」
「ええ。フツーの。…………まぁ今日巡璃が持ってるのは少し違うけど。」
「……え?」
「まぁ……いい方向に転がってくれると嬉しいわ。」
「ちょっと!何を見せてるんですか!?」
「内緒。」
「普通のですよね!?」
「ええ。」
「怪しい!もしかしt……」
うるさくなった愛の対処も程々に。私は天捻と計画をしていた。企てた。
私も天捻も結構重い方だ。なんなら愛も多分こっち側。
…………日巡璃からも重い感情向けられたくない?つよいつよい独占欲とかぶつけられたくない?っていう邪な考えが天捻と一致。1冊だけフツーじゃない小説を混ぜた。
……混ぜたのは意図的だけど、1冊目からそれかぁ……
「日巡璃も持ってるわね?」
「……何が??」
「こっちの話♪」
「??」
そのほわほわフェイスが……独占欲に濡れた時。……想像するだけでも劇薬ね。
……長く長ーく調理しましょうね。私好みに。
私達の満足いく形に。