side槍田日巡璃
「……。」
目の前には青空……というか夕焼け。地面に寝転がってる。
「ひまひま……大丈夫?」
「……うん。大丈夫。」
「強くなったわね?日巡璃ちゃん。インターンのおかげかしら。」
「……むぅ。……でも負けたし。」
ムクリと起き上がる。
「うふふ。まだ負けてあげないわよ?もっともーっと強くなったらあるいは……ね?」
「……うん。」
今日は放課後、珍しくおねーさんが訓練をつけてくれた。天捻ちゃんのついでだけど。
ジャージが泥だらけになっちゃった。おねーさんの白衣はほとんど汚れてないのに。
「ん〜……久しぶりにいっぱい動くと気持ちがいいわね?」
「おねーさん!もう1本!」
「んふふ……ラストね?何処からでもいらっしゃい?」
おねーさんが腕と足に血を纏う。エスコルチアの応用で、身体能力を一部だけ上げるんだって。そこまで身体に負担が無いから楽だって。
おねーさんと戦う時は、守りに入ったらダメ。私の知らない攻撃で一方的に崩されちゃう。おねーさんの対処を迫るのが吉。
でも生半可な攻撃じゃおねーさんにかすりもしない。
拳。蹴り。こちらの重心を崩しきらないように。それでいてオおねーさんを誘導する。
跳ねたり身体を逸らしたり。おねーさんの回避には無駄が無い。……無さすぎる。まるで攻撃が来る場所がわかってるかのように。
だからこそ。だからこそ誘導がしやすい。今私が出来ることを。
踏んだ!
「おや?」
私の粘液!例えおねーさんでも咄嗟に逃げることは出来ないよ!!
「スラッグ……」
「!」
躱されないように体の中心を狙う!
「ハンマーッ!!!」
「ほいっ!!」
上体逸らしッ……!膝から逸らした!!この状況で!?
「ちゃんとガードしなね!?」
「っ!!!」
腕を胸の前で十字に構える!来るッ!!
「レッド・ミサイル!!」
「むぅっぉおおっ!?」
すごい衝撃と共に……私の体が宙に浮く。
あ……寮に……憂世ちゃんが見える。
……浮世ちゃんの部屋……3階だよね??
目が合った気がした。
「ぅおわああああああっ!?!?」
浮遊感が消え、落下。地面に叩きつけられ……
「よいしょ!」
無かった。そうだった。下にはおねーさんが居たんだった。
「私の勝ちね?」
「むーーーっ!!!」
また負けた!!ていうか……
「なんであの状態から私を吹き飛ばせるの〜!?」
「うっふっふ。鍛え方だよ鍛え方。」
「……絶対それだけじゃない気がする。」
「ひまひま!無事?」
おねーさんから降ろされた。うーん……やっぱり私を抱き抱えれるのすごいなぁ?体格が違いすぎるはずなんだけど……?
「うん!大丈夫大丈夫!えへへ……かっこ悪いところ見せちゃった。」
「……ううん。……んふふ。かっこよかった。」
「え?……そう?……へへへ。」
「……ふふ。」
「はい。イチャイチャしないのー!帰ってからでも出来るでしょ〜?」
パンパン!
「「あ……」」
「よし。それじゃ今日はここまで!早く帰らないと私は旦那さんに怒られちゃうからね!」
と言うだけ言ってすたこらとおねーさんは帰って行った。
「……。」
……結婚かぁ……
「ね。ひまひま。……お風呂……入ろ?」
「うん!」
カポーン……
「疲れたあああああッ!」
「そう……だね。」
今日は2人。愛ちゃんは実家に帰ってるっぽい。
ふたりでお風呂も久しぶりな感じがする。……幸せ。
さっき帰った時憂世ちゃんにメチャクチャ心配された。目合ったもんね。びっくりしちゃった。
手加減……されてたんだろうな。なんか不甲斐ないや。武器使ってなかったしね。
でも!昔はおねーさんとの差が分かんなかったけど、今は違うよ!少しづつだけど足りないものがわかってきた気がする。今日の訓練はいつも以上に有意義だったよ!
「ひまひま?」
「ん?どうしたの?のぼせそう?」
「んーん。……ねね。……もっと……くっついてもいい?」
「いいよ?おいで?」
「ん。……んふふ。」
天捻ちゃんは2人の時は特に甘えん坊になる。可愛い。
私の股の中に座って……体重を預けてくれて……私の両手をにぎにぎと……
コレ、天捻ちゃんの好きな座り方の一つね。あと二つある。
「今日はこのパターンなんだね?」
「ん。……その気分。」
「そっか♪」
じー……
天捻ちゃん……顔綺麗だよね。
カナとはまた違った綺麗っていうかなんて言うか。クルクルヘアーでよく見えないけど、顔のパーツは整ってるんだよねぇ……
カナといい天捻ちゃんといい愛ちゃんといい……なんで私ってこんなに顔がいい子と付き合えてるんだろ。意味がわからない。
「……ひ……ひまひま?そんなに見られると……少し照れる。」
「アッ!……ごっごめんね!?」
フイッと目を逸らす。
「ダメ。……もっと見て?」
……けど、天捻ちゃんの個性で天捻ちゃんに向かされる。
「……照れるんじゃなかったの?」
観念して天捻ちゃんを見つめる。こういう時天捻ちゃんは頑固だから……そこが可愛いんだけどね???
「……照れる……けど……私の体は……全部……ひまひまのものだから……ね?」
「うっ……そ……そうですか。」
「照れてる……んふふ……可愛い。」
「うるさい。」
よくもまぁそんな恥ずかしそうなことがスイスイ言えるね。ウチの彼女は恋愛つよつよです。もっと勉強しなきゃ。
ガラッ……
「……あら。」
「む!」
するとお風呂場に無神さんと福ちゃんが入ってきた。
「あ!ようこそ〜!」
「ん!」
「うふふっ……ようこそって……」
「……カンナちゃん。今日も洗ってあげるね?」
「んっ……そ……そうね?お願いするわ?」
福ちゃん……なんかいつもより近くない?身体をくっつけてるっていうか……擦り寄せてるっていうか……
それに……無神さん……なんか……
……おやや?
「ねね。天捻ちゃん。」
コソコソ……
「……ん。……ひまひまも……わかった?」
「う……ん。……なんとなくだけど……」
うわぁ……福ちゃんが無神さんのこと好きなのは知ってたけど……多分これ無神さんも福ちゃんのこと好きだよね?
なんかそんな感じするよ!
「……わわ……恋愛を知るって……なんかすごいね?」
「勉強の成果……だね。」
うわー!うわー!もしかして私達も周りから見たらこんな感じなの!?……ちょっと恥ずかしくなってきたかも。
……ちょっとドキドキしてきた。
「……!」
天捻ちゃんが片手を離して後ろに回す。そして……
さわ……
「えっ!?……ちょっ……天捻ちゃん!?」
「ん?……なぁに?」
この状況で!?バレちゃうよ!!
「今ッ……無っ神さんとっ……福ちゃんが……んっ……」
「なんの事?」
ニヤリと笑う天捻ちゃん。
コレ……わざとだ!
さわ……さわ……
「まっ……声……出ちゃうから……!」
「んふふ……我慢してね?」
「いじ……わるっ!」
「そういえば……槍田さん。」
「っ!!……なっ……何?」
さわわ……
「文化祭のB組の出し物決まった?」
「んっ……えっ……とぉ……まだ……決まってない……よ?」
「そうなの?まぁA組もなんだけど。」
「そうなん……だぁ……」
手つきが……激しく……!
天捻ちゃんに手を握って抗議をするけど、何処吹く風。本人は無表情。
「色々候補は決まったんだけどね。明日中に決まるか不安だわ。」
「わっ……たしの……ところもそうだよ……っ!」
「ふーん……お互い大変ね。」
「うっんっ……」
天捻ちゃんに耳打ち。
「天捻っ……ちゃん……ダメダメダメ……出ちゃうから……お願いッ!お部屋だったら……好きにしていいからぁっ……」
「やだ。」
「無理っ……無理だよぉ……」
「……んふふ。見て?」
「福ッ?変なところ触っちゃだめ!」
「えぇ〜?じゃあもっと私と喋ってよ。」
「もう!」
無神さんが福ちゃんにまさぐられてる。
「ね?……2人も2人の世界だから……」
「ダメ……ダメ……本当にダメ!」
「……みっともなく……果てちゃえ。」
「っっっっ!!」
「あら?槍田さんどうしたの?」
「ん。……のぼせそうだからって……お部屋に連れていく。」
「そう。お大事にね?」
「ん。……ひまひま……行くよ?」
「……。」
天捻ちゃんの個性で湯船を汚さずに済んだけど……
天捻ちゃん……ホント魔性の女だよ……