side槍田日巡璃
ジョキジョキ……
「委員長!切れた?」
「任せて!多分もう終わるよ!」
ちくちく……
「「「……。」」」
「んーと……これって男子組のだよね?もうちょっと大きめの方がいいんじゃない?」
「採寸は〜?」
「ちゃんと採寸通りだけど、少し大きめに作った方が調整しやすくない?」
「たしかに。委員長の匙加減で切ってもらっていいよ!」
「わかった!」
「「「……。」」」
「はい!1着できた!とりあえず仮縫いだけどね!」
「早いね!じゃあ週末辺りを目安にもう1回集まってもらおうか!」
「うん!どんどん作っちゃお〜!」
「おー!」
「「「……。」」」
「3人ともどうしたの?」
「いや……なんでもない。ねぇ愛。こんな感じなの?」
「はい。お二人の手際が良すぎて正直私の出番が必要なのか疑問です。」
愛ちゃんにはまち針刺してもらってるからね!バケツリレーしてるからやることは山積みだよ!
「ん……ひまひま……てんてんもすごい!」
今日は休日。香曽我部くんはバイトなので、天気ちゃんと愛ちゃんと寮に集まって作業。
手縫いは少し難しいので2人にぶん投げて、私がカットだけ。こういうのはほんの少し大きめに切るのがコツ。
見たいと言うのでカナと天捻ちゃんを部屋に招いて作業中。
カナは演出担当なので基本的に打ち合わせはチャットらしく、作業っぽい作業はあまりないらしい。演出担当は能面くんきっての推薦で無頭くんが仕切っているので、後で情報共有だけしておいてもらお。
「……そういえば天捻ちゃんのクラスは何するの?」
「……メイド喫茶。」
「「「「メイド喫茶!?」」」」
「ん。」
天捻ちゃんが……メイド姿……?
「…………。」
想像しただけで……ちょっとイイかも。絶対かわいい。
「へぇー……それって女子だけ?」
「ん。男子も。」
「……え??男子もメイド服着るの?」
「ん。」
「それは……まぁ……」
「あははは!!なにそれ面白いね!」
「ん。……阿鼻叫喚。」
「だろうね??」
男子のメイド服……いやぁ……うちのクラスは小廻くん以外無理でしょ。…………氷叢くんならもしかしたらいける?需要はありそう。顔綺麗だし。
「…………にしても日巡璃にこんな特技があったなんてね。」
「見た事無い服着てると思いましたが……サイズが大きめのお店には行かないので、そういうものだと思っておりました。」
「えぇ〜?私の普段着基本手作りだよ?」
「…………実家にもミシン無かったじゃない。」
「え!?カノーテスちゃん委員長の実家に行ったの!?」
「ええ。夏休みに。」
「うわー!うわー!それってもう!もうじゃん!」
「愛と天捻も居たわよ。」
「えー!!うわぁ……それ……進んでるね!!」
キャーキャーとテンションが高くなった天気ちゃん。どうしたんだろ。
「??」
「……まだ日巡璃には難しいわね。もう少し勉強しましょうね。」
「?……うん!」
「ん。それで?ミシン無かったけど……」
「あー……あれはね、皆が来るからママに言って片付けて貰ってたの。本当なら私の部屋にあるよ。」
「「「へぇ〜……」」」
「委員長凄い服の事知ってるもんね。オシャレさんだと思ってたんだけど違ったんだ〜。」
「うん。色々そういうファッション雑誌は見るんだけど、全部サイズが合わなかったり異形個性には難しいものだったりするから……調べるのと一緒に作れるようにもなっちゃった。」
ファッション雑誌は大好きだよ!かわいい服見るとインスピレーションが湧くよね。…………佳舞ちゃんもこんな気持ちだったんだろうなぁ……多分。
「……すごいわね。本当に。」
すると愛ちゃんが意を決したかのように切り出す。
「…………お嬢様。文化祭の後、もしよろしければ私のメイド服を作っていただけませんか?」
「「!!!!!」」
「愛ちゃんの服?いいよいいよ〜!…………って言いたいところだけど、ミシンがないからなぁ……」
ミシン置いてきちゃったからなぁ……実家に。私のサイズに合わせてるから大きいんだもん。
「そうだねぇ……大きい服作るとなるとミシン欲しいよね。」
「ね〜。」
「……ミシンがあればお作りいただけますか?」
「え??……いやそりゃ……作れるけど……買うにしても高いよ??何するつもり??」
いいやつとかだと8万とかするよ?
「こちらに考えがあります。お嬢様は何も気にしないでいただけると幸いです。」
「????」
「愛だねぇ……」
「え?え?何するの??」
side憎田愛
『ということで、お嬢様の誕生日プレゼントを私たちで折半しませんか?』
『なるほどね。考えたわね。』
『ん。ん。いい案。』
現在夜。愛しのお嬢様の彼女達で作ったチャットグループで私はひとつ提案をしました。それはお嬢様の誕生日プレゼント。
『……何となく何プレゼントするかはわかったけど、どれのするの?』
『ミシン……だよね?……いい値段するよ。』
『はい。ですので我々3人で色々意見を出し合おうかなと。』
『了解。』
『ん。』
このグループにはお嬢様が居られないので、こういう相談をする時に非常に役に立ちます。
『んで?どうすんのよ。日巡璃の部屋に置けるサイズってなると相当限られるわよ?』
『ん。ひまひまは……スペースはあるけど……ミシンもってなると……難しい。』
『そうね。ミシンを置くことになると裁縫箱も置くことになりそうだし。あまり嵩張らないのがいいわ。』
『しかし小さすぎるとお嬢様が扱いにくいです。』
『……確かに。』
『難しい……ね。』
悩ましいです。
『でも……良いものをプレゼントしたいです。』
『当たり前じゃない。ていうか愛!貴方だけズルいわよ!私も日巡璃になにか作ってもらいたい!』
『ん!私も!』
『それは早い者勝ちです。ご自身でお頼みください。私の後にね?』
『きぃいいっ!やるようになったわね愛!』
『ん!協力関係!』
『それとこれとは話が別です。アピールしたもの勝ちです。』
お嬢様が作ったメイド服……着れるか分かりません。飾っておきたい衝動に駆られます。
お嬢様が私のことを考えて私の為だけに作っていただいたメイド服なんて……幸せなんて陳腐な言葉で表せないほど極上の気持ちです。
『それではお二方が別の場所で頑張ってる間、私がお嬢様との時間を密に過ごしておきますので。』
『……ふん。今回だけよ。』
『ん!ん!来年からは……負けない!』
『なんて言ったって私が日巡璃の初めてなんだからね?』
『それ強すぎ。』
『それに関してはこっちが負けるしかないです。禁止ですそれ。』
『どうとでも言いなさい。』
『ん。私は毎日寝てる。』
『羨ましい!日巡璃今からでも私の家に住まないかしら。』
『それは……ちょっと……』
『なーんでこのポンコツメイドはこういう時グイグイいけないのかしらね。』
『いいじゃないですか!……恥ずかしいんです。』
『乙女。』
『ウブね。』
『おっ……お嬢様と触れ合ったまま寝るなど!……寝れませんよ……』
『愛はブレーキ無くなるとグイグイ行けるんだけどねぇ。』
『理性が……ブレーキを全力でかけるから……ね。』
大体お嬢様の相談を始めると最後は自慢話になるんですよね。マウントの取り合いです。
お嬢様は罪なお方です。まだまだ増えそうな気配がありますからね。
お嬢様の誕生日まであと数日。いいプレゼントを用意したいです。