side槍田日巡璃
「ねーねー!次は服見に行こうよ!」
「いいよ!可愛いのあるといいねぇ!」
買い物初めて1時間。靴見て帽子見てアクセサリー見て今は服。
女の子の買い物は長いのです!
「ひまちゃん身長高いからなんでも似合うよ〜。」
「えぇ〜。フリフリふわふわのカワイイ系着れなくなっちゃったからなぁ。」
昔は着てたんだけどな。
パパとママが可愛いって言ってくれるから好きだったんだけど、中学生くらいから身長がガンガン伸びちゃって。…………何も着れなくなっちゃった。
「そういえばそういう系好きだよねぇ。今も持ってるの?」
「んー……持とうとはしてるけど……私の体格に合うものがなかなか……」
「そっかぁ…………じゃあさ!見つけたら着てるの見せてよ!」
「え!恥ずかしいよ!」
「えぇ〜?いいじゃんお願ーい!」
ちなみに壊理ちゃんはちょっと前から腕を組んでくるようになった。今日はスキンシップが激しいね?そういう気分なのかな?
「やだやだ!恥ずかしいもん!」
「むー!…………私にだけ!こっそり!…………だめ?」
「…………うー…………だめ!」
「ちぇー!」
そのまま歩く。私と壊理ちゃん身長差があるからちょっと歩きにくいね。
「壊理ちゃん何着ても似合うなぁ……」
「えへへ!これも可愛いね!」
今私は壊理ちゃんのファッションショー(自称)を見ている。めぼしい服が多すぎたのでどれがいいか試しに着て吟味。…………を見てる私。
「これも…………これもいいなぁ………うわぁ……バイトの時間増やさないと。」
壊理ちゃんは今試着室の中。私は外で壊理ちゃんを待ってる。
「バイトしてるの?」
「当たり前じゃん!高校生だしね!」
「ヒーロー科は出来ないからなぁ……してる暇ないし。」
忙しいしねぇ……大変だよ。
「大変そうだよね。お疲れ様だよ!」
「まぁ楽しいからいいけどね!」
「そっか……。ねぇ!カフェ行かない?雄英でのお話聞きたいな。」
壊理ちゃんが試着室から出てくる。
「いいよ!…………と言っても……どれ話そう……。」
「行ってから話そ?ね?」
「そうだね!……それで何買うの?」
「決められなかったからまた今度!」
「…………。」
もう!今日の壊理ちゃんなんか変だよ??
side出水壊理
気付いたのは少し前。
ストーカーかなとも思った。……ちょっとだけ違った。3人組。小さい子2人と大きい人1人。
1人……小さい子。目に付いた。
よくひまちゃんの会話に出てくる仲良くなった子の特徴。
…………なんでついてきてるんだろ。他の2人は誰?同級生?
ひまちゃんが気になる?…………ひまちゃんは気付いてないっぽい。多分ひまちゃんは知らないよね。
雄英の人だとして……尚更なんでついてきてるの?……何が目的?
…………ひまちゃんに何かするなら私が許さないよ?
試しに色々やってみた。手を握ってみたり、肩に頭乗せてみたり、ハグしてみたり、腕を組んでみたりした。
あの3人の反応は大体悔しそうにしてた。
…………ん〜ってことは…………もしや?
カフェにひまちゃんを連れてくる。件の3人もついてくる。
…………近くに座った。話を聞くためかな?
「じゃあ頼んじゃお。ひまちゃんは……コレ好きだよね?コレでいい?」
「わぁ〜!オムライスあるの!?美味しそう!」
ひまちゃんオムライス好きだからね。
「私もオムライスにしようかな!……ソース変えれるって!」
「えぇ〜…………ケチャップもデミグラスも悩む!」
ひまちゃんはきのこが好きだからきのこ入りのデミグラスソースが好きだから、きのこ入ってるなら即答なんだけど……写真だと入って無さそうなんだよね。
「私ケチャップにするからひまちゃんデミグラスにしなよ。半分こしよ!」
「いいのぉ!じゃあ店員さんよぼ!」
注文が終わり、料理を待つのみになった。
「ひまちゃん。雄英どう?」
「楽しい!みんな仲良しでね!いい人たちばっかりなんだ!」
「そうなんだ。……じゃあいい人とか見つかったりして?」
「もー!そういうのわかんないって知ってるでしょ!」
「冗談冗談!……分かるといいね。」
「………………うん。」
ひまちゃんが自分の右耳を触る。これはひまちゃんが何かある時の癖。
「…………何かあった?」
「…………なんでも分かっちゃうね?」
「何年の付き合いだと思ってるの?」
「もう10年くらいになるね。」
「だからだよ。言いづらいこと?」
「……んーん。……よくわかんなくて。」
「よくわかんない?」
予想していた答えとちょっと違うね。
「…………自慢じゃないんだけど、3人から告白されて。」
早…………3人……へぇ。3人ね?
「そうなんだ。それで?」
「……待っててくれてるみたいだけど……私って……虐められてたし…………それに……ね?コレもあるじゃない?」
ひまちゃんはカタツムリの個性故に両性具有。だから一緒のお風呂入るのも、着替えるのも嫌う。多分ひまちゃんが唯一どうしても許せない場所だから。
「…………まだトラウマ?」
「……うん。あんまり…………払拭出来てないかも。」
昔クラスの男子に両性具有を虐められてからずっと胸に抱えてる。女子でも男子でもない自分が嫌で泣いちゃった日もあった。相談も乗った。…………でもこれは……私じゃ救えない。
「そっか…………見つかるといいね。ひまちゃんの全部を好きになってくれる人。」
「あはは…………そうだね。居たらいいね。」
きっとひまちゃんは……自分をさらけ出すのが怖いんだろう。そうに決まってる。また虐められるのを本能的に嫌がってる。
胸を張って頑張ってたけど……見てて痛々しかった。流水おねーさんみたいになるって言ってたから……何も言えなかったけど。
理想をバカになんてできないよ。
「お待たせしました。オムライスです。」
「わー!ありがとうございます!」
「おいしそ〜!ありがとうございます!」
あったかホカホカ。とろとろ卵のオムライス。
「じゃあ半分こしようね!」
「うん!」
「「いただきます!」」
オムライスはすごく美味しかった。
「あ……ちょっとトイレ行ってくるね!」
「うん。行ってらっしゃい。」
ひまちゃんが席を立つ。
…………さて。
私も席を立つ。そして向かう場所は……
「ねえ。」
「「「!!」」」
「なんでついてきてるの?」
件の3人の場所。
言っておかなきゃいけないことがあるから。
ひまちゃんの親友として。大切に思ってるからこそ。
side槍田日巡璃
「おまたせ。ちょっと混んでて……」
「大丈夫だよ。こっちもやりたいことできたし。」
なんか少しだけスッキリした顔してる壊理ちゃん。何したんだろ?
「?」
「気にしないで〜。」
「そうなんだ。じゃあ良かったかも?」
「そうそう。」
そのまま会計を済ませて、少しだけブラブラしてから電車に。
「今日は楽しかったね〜。」
「そうだね!また遊ぼ!」
「いいよ!約束ね?」
「うん!」
私はあんまり買わなかったけど、壊理ちゃんはいっぱい買ったね?マンダレイさんに怒られないのかな??
「…………帰ったら勉強だよ?」
「うっ…………シッテマス。」
本当かなぁ???
先に最寄り駅に着いたのは私。そのまま電車をおりる。
壊理ちゃんは乗り換えなので少しだけ一緒に歩く。
改札が見えた。
「あっ!じゃあお先に…………」
「ひまちゃん。」
「……どうしたの?」
少しの間。壊理ちゃんが意を決したように口を開く。
「…………あの3人のこと信じてあげてもいいんじゃないかな?」
「…………え?」
何を……
『○○方面行きの電車が参ります……』
「あっ。もう行かなきゃ。じゃあね!」
壊理ちゃんが走り出す。
「えっ!!ちょっと……あの3人て……!?」
そのまま人混みに消えていった。
…………あの3人…………。
愛ちゃん。天捻ちゃん。
…………カノーテスちゃん。
私の頭には……何故か3人の顔が浮かんだ。
信じる……?…………3人を。