side槍田日巡璃
次の日。誕生日の次の日。
挨拶は元気に!
ガラッ!
「おっはよー!!」
「おはよーっす。」
「おいーっす。」
「委員長〜おはよー!誕生日だったんでしょ?おめでと〜!」
「うん!ありがと〜!」
うんうん!みんな元気元気!
「はいはーい!宿題集めちゃうからみんな持ってきてね〜!」
「「「はーい!」」」
今日もしっかり委員長の仕事を全うするよ!慣れたもんだよね〜。
「ふんふふーん。」
「お嬢様。調子が良さそうですね?」
「あっ愛ちゃん!うん!今日はなんだか調子がいいんだ〜!昨日みんなにお祝いしてもらったからかな〜!」
「うふふ。皆様も宿題を出しているみたいですし……今から行っても余裕で間に合いそうですね?」
「そうだね!なんか今日は集まりがいいや!…………あれ?」
横を向く。カナがまだ来てない。
「??どうしたんだろ。」
「…………たしかに。昨日は連絡がつきませんでしたし……」
「…………少し心配かも。」
「お嬢様。1度宿題を持って行って考えれば良いのでは?もしかしたら休みの場合もありますし……」
「…………うん。」
…………カナ。……大丈夫?
1度宿題を持っていく。愛ちゃんも着いてきてくれた。
「ありがとね!愛ちゃん!」
「いえいえ。お嬢様のためです。」
「んふふ……そっか!」
2人で分けて持ったから速度も2倍だね!
デク先生に渡して……職員室を出て少し。廊下の曲がり角で……
「あっ!」
「!」
カナと鉢合った。
「カナ!おはよ!」
「おはようございます。カノーテス様。」
「…………おはよ。」
……?
「カナ。宿題出しちゃった。ごめんね?」
「…………いいのよ。後で出すわ。」
…………??
「それじゃ。先に教室行ってるわね。」
「……え?……うん。」
カナが私から遠ざかるように去っていく……
そんなの絶対普通じゃない!!!
カナの手を掴む。
「…………何。」
「……何かあった?」
「……なんでも……ない。」
おかしい。絶対に。
「ううん。絶対何かあった!昨日!」
「……なにもない……何もないの。」
「嘘!いくら鈍い私だってわかるよ!カナが嘘ついてるってことくらい!!」
「カノーテス様。私の目から見てもおかしいです。何かあったのですか。」
「…………。」
「カナ!」
「カノーテス様。」
「なにも……何もないったら何もないの!!!」
カナが声を張り上げる。やっぱり何かあったんだ。何もないことない!!
咄嗟に膝を地面につき、カナを抱きしめる。
「っ!」
「カナ……私ね。カナが苦しんでるなら話して欲しい。悲しいなら私を信じて欲しい。私さ、カナの支えになりたいよ。カナの全部を共有したい。……それでもダメかな?」
「…………。」
するとカナが私の制服を掴む。そしてぽつりぽつりと話してくれる。
「…………っ……パ……パパが……」
「……うん。」
「交通……事故に……あって……まだ…………目が覚めないの……」
カナの私を掴む手が強くなる。カナのパパが……事故に……
「…………」
「私……私!まだ……ママが……病室にいるのに……学校に……行きなさいって……」
「…………っ。」
「でも……でもっ……私……心配で……何も考えられなくって……!!」
だったら……やることは1個だよね!
「……ねぇ愛ちゃん。」
「はい。なんなりと申し付けください。」
「先生とみんなに早退するって言っておいて。」
「!!」
「かしこまりました。お気をつけて。」
「うん。ありがとう。」
カナを抱き抱える。
「行くよ!カナ!病院どこ!?」
「えっ!?ちょっ!待って!!なん……なんで日巡璃も!」
玄関に走り出す。なりふり構ってられない。だって……だって!!
「当たり前じゃん!!私は!もう既に!カナの家族になったつもりなんだけど!?」
「!」
「家族が悲しんでるのに!家族が苦しんでるのに!一緒に居てあげない理由なんて!!どこにもないでしょ!!」
「……日……日巡璃……」
「……善悪じゃないの。私は、カナに寄り添ってあげたい。カナが辛い時は特に。」
「…………」
「場所は?」
「……セントラル。」
「わかった!掴まってて!」
カナの靴を取り出し、私の靴を履いて外に出る。
サイフ忘れちゃった……電車は……いやでもスマホがあるからスマホ決済で……
校門を出て色々頭を働かせてたんだけど……
私のことを車が追い越して、目の前で止まった。見たことある車。ドアが空いて1人運転席から降りてくる。
「ヘイ彼女。乗ってくでしょ?」
「おねーさん!!」
流水おねーさん!来てくれたんだ!!
「よく気がついたね?」
「廊下で話し声聞こえちゃってねぇ〜。追いかけてきたってわけ。」
カナを抱き抱えながら後部座席に乗り込み、おねーさんと話す。
「教師なのに大丈夫なの〜?」
「教師である以上にヒーローだからね。立派だったわよ。日巡璃ちゃん。」
「えへへ〜。」
おねーさんに行き場所を教えると、すぐに車を発進してくれた。ありがたい。よく行くんだって。へぇ〜……
「……昨日セントラルから連絡があったけど……事故ったのディミトリウさんのお父さんだったなんてね。」
「「え?」」
「私正確には医療従事者では無いんだけど、医療従事者としても働けるから、その手腕を買われて色々な病院を飛び回ってるのね?昨日は輸血と手術で呼ばれたんだよね。被身子ちゃんと私が。行って手術も完璧にしたし輸血もしてもらったけど……そのまま帰っちゃったんだよね。疲れてたから。挨拶も何もなくてごめんね〜?」
「い……いえ。…………せ……先生。ありが……」
「それはお父さんの目が覚めてから聞きたいわ?」
「!…………はい。」
……キッ……
「よし。着いたわよ。」
「っ!」
「待って!カナ!」
カナが車を降りて走り出すので追いかける。
「……ふふ。行ってらっしゃい。日巡璃ちゃん。」
カナに着いて行って、カナが入った部屋には点滴に繋がれて眠ったままのカナパパと、入ってきた私たちに驚いているカナママだった。
「あなたたち……どうして……」
「心配なのは……ママだけじゃない!私も……私もパパのこと心配なの!」
「……でも……」
「すみません。お願いします。カナのわがままを許してあげてください!!お願いします!!」
1歩。まずは頭を下げる。カナのために。
「……日巡璃……」
「カナ苦しんでました!悲しんでました!だから私が連れてきました!無理を言って引っ張ってきました!怒るならカナじゃなくて私を怒ってください!」
「…………もう。……そんなこと言われたら……怒れないじゃない。」
「じゃあ!」
「…………いいわ。……私と一緒にパパを待ってくれる?」
「……うん!!」
「やったね!カナ!」
「……日巡璃。ありがとう。」
「んへへ!大丈夫だよ!」
するとカナに優しく手を握られる。
「……私。日……た。」
「およ?何か言った??」
「んーん。なんでもない。」
今日初めてのカナの笑顔。
「んふふ。」
「……何よ。」
「やっぱカナは笑顔がいちばんだなって!」
「…………そ……そう。」
「椅子持ってくるわ。少しパパのことお願い出来る?」
「わかったわ。」
「はい!」
「ふふっ。……お願いね?」
カナママが病室を後にする。
ふぅ……とりあえず何とかなったね……