side????
カロ……
「…………。」
カタタタ……カタカタ……
カッ……カッ……
コンコン……
「……フーッ……はーい?」
「ブラッドロータス。私だ。」
「……珍しいですね。どうぞ。」
「すまない。」
ガラッ……
「なんですか?オタク活動が再熱してオールマイトにでも会いに来ました?」
「オタク活動は常だ。それよりも……どうした。お前らしくもない。机が荒れてるぞ。……それに……一体いくつ飴を食べたんだ。」
「……チッ。ほっといてくださいよ。私は今忙しいんですー。」
「忙しい……?雄英高校の保健室は暇だと聞いたが。」
「ハァーッ…………私はね。日巡璃ちゃんをあんな傷だらけにした男を許すわけにはいかないんですよ。師匠とか親以前に。」
「…………なるほど。今は足取りを追っている……と。」
「フン。当然です。生き残ったことを後悔させてあげます。…………と言いたいとこですが、現状手詰まりと言わざるを得ません。」
「…………何?」
「とりあえず座ってくださいよ。来客を立ちっぱなしにする趣味はありません。お茶でも淹れます。」
「すまない。」
……ギシ……
コポポポ…………
「それで……手詰まりと言うのは。」
「痕跡が消えてるんですよ。忽然と。」
「……ほう。」
「彼らが逃げた方向……黒人とあの女。あちらの方面の監視カメラをあらかた探したんですが、とある場所で忽然と姿を消しました。」
「とある場所?」
「はい。何の変哲もない路地裏です。行き止まり……というかそもそも入れる扉もマンホールもない。行ける場所が何もない場所で姿を消しました。」
「……飛んだ。とかではないのか。重力を操る個性だと聞いているが。」
「それだったら非常に楽ですね。監視カメラに写ってるはずなので。」
「…………なるほど。場所的に不可能……と。」
「何度も見返して現地にも足を踏み入れて。そのうえで痕跡が途絶えたと判断しました。…………まるでどこかにワープしたかのようです。」
「しかし……敵連合の黒霧は……」
「はい。居るはずがありません。タルタロスにも確認を取りました。」
「…………。」
「黒霧のようなワープ個性が他にいるのであれば、説明はつきますが……1年。1年です。見返してみても、この位置から足取りが掴めなくなった人物はこの2人ともう1人。回数は4回。彼らが定期的に使用している可能性が浮上しました。」
「…………なるほど。何かがある……というわけだな?」
「そういうことになりますね。……頭が痛いです。お茶どうぞ。」
カチャ……
「いただこう。……ふむ。となると……なるほど。手詰まり……と。」
「はい。警察の方にはご協力いただいてるんですが、正直望み薄です。」
「……であれば。コレは……少し君にとっていい情報かもしれない。」
「……と言うと?」
「コレを見てくれ。」
スッ……
「……失礼しますね?……えーっと手袋手袋…………ヨシ。……コレは?布……というかコレ……は……」
「ああ。君ならわかると思って持ってきた。」
「異能解放軍のロゴ…………コレはどこで?」
「雄英ビッグ3の1人……毒島傷子が掴んでいた証拠。女の衣服を破ったと言っていた。」
「…………なるほど。彼らは異能解放軍と関わりがある……と。」
「ああ。そう見ていいだろう。」
「………………それだけじゃないんでしょう?」
「鋭いな。次はコレだ。」
「……写真……?コレは…………コレは!」
「先日……セ・アンティシ・ラチャニカの社長が交通事故に巻き込まれた件を知っているか。」
「……ディミトリウさんのお父さん。私が執刀補佐したので知ってます。」
「なるほど。であれば話が早い。事件は10:0で自動車の方が悪くなったのだが……」
「コレが……異能解放戦線があった……と?」
「ああ。しかも事故を起こした彼はそのまま雲隠れ。どこに行ったか分からない。」
「…………なるほど。追う相手が増えたわけですね。……長丁場になりそうですね。非常に。」
「ああ。……負担を強いるが申し訳ない。」
「いいですよ。何かあればすぐに手を借りますので。」
「うむ。」
「…………フゥーッ……ホントにビルボードチャートに乗ったのが厄介すぎます。」
「……まだ言うか。」
「まだ言いますよ。無茶できないんでね。」
「…………。ブラッドヘリアンサスに言っておくべきだな。」
「やめてくださいよ。無茶するとは言ってないです。」
「フ……彼女に弱いな。お前は。」
「言われなくても。」
side槍田日巡璃
カナのパパが入院して5日経った。まだ目が覚めないみたいだけど、カナもカナママも少しづつ元気になってるみたい。
私も毎日病院に行ってるよ。なんとなくだけど……カナだけにしておけないからね。
みんなも一緒なのか、愛ちゃんも天捻ちゃんも佳舞ちゃんだって時間が合えば来てくれる。んふふ。みんな優しいね?
そんなこんなで帰り道。今日は私とカナだけ。他の人は用事があるって。しょうがないよね。
車で雄英まで送って貰ってる最中、カナとの何気ない会話を楽しむ。
カナはあの日から、私に対する接し方が変わった。悪いほうじゃないんだけど……見方によっては悪い方かも。
私の手を両手で包むように……すごく優しい笑みを向けてくれるようになった。
それこそ……彼女なんて関係じゃなくて。それ以上になったみたいな……
その上で私が別の人と喋り始めると露骨に不機嫌になるようになった。うーん独占欲。……嬉しいけどね?
「ね。……日巡璃。今日もありがとうね?」
「うん。いいよ。カナの為だもん。」
「うん。嬉しい。日巡璃。大好きよ?」
「んへへ……照れるね?」
「……日巡璃は言ってくれないの?」
「何度でも。……カナ。大好き。」
「……うふふ。……幸せ。」
カナが私の肩に頭を乗せる。
なんだろう……甘え方が変わったというかなんというか。他の人に見せつけるようになったというか。うーん……可愛いからいいや。
「……日巡璃。今日……泊まりに来ない?」
「嬉しい誘いだけど……明日も学校があるから……ね?」
「……むぅ。……いつもそうよね。私も学校も大事なのはわかるけど……私のことももっと大切にして欲しいわね?」
「だって……カナと一緒に寝ると寝られないんだもん。」
「クスクス……私が悪いの?」
「うん。……魅力的すぎるよ。」
「あらあら……だったら私が悪いわね?」
カナが私の手をにぎにぎ……少し力が強くなった。
可愛いカナ。愛おしいカナ。愛情表現が分かりやすくなって……それ以上に大きくなって。私もそれに応えてあげたいから。
「ね……日巡璃……」
prrr……
カナのスマホが鳴る。
「もう……何よ……今いいと……ころ……え!?……もしもし!?」
カナが画面を見て驚いた。そのまま勢いで電話に出る。
どうしたんだろ……
「はい!……はい……はい!……荒谷!今すぐUターンしなさい!パパが目を覚ましたって!」
「え!?」
「!!……承知しました!」
カナが電話を切って私に抱きつく。
「日巡璃!」
「カナ!!やったね!!」
「ええ!ええ!……私達の想いが通じたのよ!」
「うん!うん!私も良かったよ!!」
「はぁ……日巡璃……私……本当に貴方に会えてよかったわ。全部貴方のおかげよ?」
「大袈裟だよ……でも……ありがと。」
「ええ。……私の愛おしい日巡璃。」
カナに顔を抱きしめられる。視界がカナで埋まる。
よかったねぇカナ。早くパパに会いに行こ?