side槍田日巡璃
そういうわけで次の日の昼休み、ちょうど教室にいた能面くんに愛ちゃんと一緒に進捗を聞いてみることに。
「ん?順調だよ。みんな頑張ってくれてるよん。」
「そうなの?間に合いそう?」
「ん〜……どうだろう。」
「何か困ったことでもある?人員とか衣装とか色々まだ取り返し効くよ?」
ちょうど衣装班が全員暇になってるしね!
「んにゃ。そういうことじゃねんだけど……んー……」
「??」
ちなみにカナはちょっと演出班に呼ばれて何処かに行った。すごーーーーく離れたくなさそうだったけどしょうがないよねぇ。
「まいいや。……ウチってさ、日本舞踊っていうか……和楽器とかも含めそういう系の大御所っつーかまぁ所謂超名門一家なのよ。」
「……あ!そういえば門下生みたいな人もいるんだっけ?」
誰かが言ってた気がする。誰だっけ……?一撃くんだっけ?
「一撃様が仰ってましたね。」
やっぱ一撃くんだった。ナイス愛ちゃん。
「そうそう。んでんで、大先生……まぁじーちゃんだわな?じーちゃんがすっげぇカタブツでよ。俺は古き良き日本の美しさってのもいいと思うんだけど、それ以上に伝統芸能の楽しさを皆に知って欲しいわけ!」
「おじーちゃん凄いんだね?」
「ああ。すげぇ人だよ。じーちゃんは。1代で能面家を伝統芸能の日本最高峰の1つにしちまったわけだから……まぁ相当な人じゃねぇとじーちゃんに意見なんて出来ねぇんだ。」
おじーちゃん天下なんだね。能面くんの家は。
「でもよ!ずーっと古き良きを続けていってもどんどん廃れるだけだと思うんだよ!俺は!停滞は後退だぜ?」
「うーん……言いたいことはわかるけど……伝統芸能ってそういうものじゃない?」
「そうだよ。そういうもんだよ。だからこそ俺はその枠組みを壊してぇ!」
枠組みを……壊す……か。
「まぁ俺はそれで1回じーちゃんと喧嘩して……反発してヒーローになろうって思って雄英に来たけどよ……それでもやっぱおもれぇもんはおもれぇわな?」
「うーん?それで雄英来ようって思って入学できたのすごいね?」
行動力と実現力の鬼だよね。
「これでも中学だとテストは学年一位だったぜ?」
やっぱみんなそんな感じだよね!?それでもここの授業ついて行くの大変だもん……いやぁ……超名門に相応しいというか……手心が欲しいというか。
「まぁ……そんでよ。ほんとは雄英に来てからそーいうのはやる気なかったんだ。」
「……確か言ってたよね?やらないって。」
「おう。やらねぇつもりだった。」
すると、能面くんが窓の外に目をやる。
私達も一緒に覗き込む。
「「あ。」」
「あいつら……なんて言うかさ?あいつらに初めて舞を見せた時……すっげぇ目ェ輝かせてよ。ガキみてぇに褒めてきやがったんだよ。」
中庭……少し見えにくい場所で一撃くんと弾野原くんが踊ってる……というかあれが日本舞踊?よくわかんないけど大変そうだ……
「……まぁ……やるしかねぇよな。アイツらに頼まれたら。」
「嫌そうに言ってるけど……嬉しそうだね?」
「あったりまえよ!日本舞踊はおもれぇ。和楽器もおもれぇ。伝統芸能は最高に楽しい!……だから文化祭でじーちゃんを見返すんだよ。」
「「!」」
「俺達の舞を見せて、伝統芸能の可能性を無理やり広げさせてやる。見てるやつの脳みそを刺激するような!全身を叩くような!!俺はそんな出し物にしてぇ!」
「かっこいいね。できるの?」
「やるんだよ。全力で。どれだけ下手でも荒削りでも。全力が伝わればココは動くんだよ。」
能面くんが自らの胸を叩く。
どんなに下手でも荒削りでも。全力が伝われば……
いい言葉じゃん!
「うん!絶対成功させようね!」
「おうよ!」
「それで?何を悩んでいらしたのですか?」
「あ、それだけどよ。色々考えた結果、少し衣装にアレンジ加えてぇんだ。お願いできるか?」
「いいよ!どうアレンジしようか?」
「実はな……」
「「え?」」
ダダダダダ……
「天気ちゃん!ごめんね無茶言って!」
「ううん!大丈夫大丈夫!そんなアツイ話聞かされたらやらなきゃいけないよ!」
「香曽我部くんもごめんね!」
「何言ってんだ水くせぇぞ槍田ァ!やるならとことんやんだよ!」
「お嬢様!こちら準備できました!」
「愛ちゃんもありがとう!!」
衣装班。再集合。
ここから衣装合わせとその他もろもろを考えると、本当のギリギリ。やれる限りをやるしかないよね!
でもパフォーマーが全力を出すにはこっちも全力出さないと失礼だよ!全力が伝われば……ってね!
「そういえば香曽我部様は今日バイトでは?」
「あ?んな事してる暇ねぇのはわかってんだよ。無理言って休みにしてもらった。」
「……急に予定入れてごめんね?」
「別にいい。本来俺が別に入らなくてもいいくらいの時間入れてもらってたんだ。急遽休みになっても変わんねぇよ。」
「そっか!」
「ふーん?香曽我部やるじゃん!」
「あ?てめぇは無駄口吐く暇あったら手ェ動かしやがれ!」
「こっちはもう終わってるよ?」
「「「早!?」」」
「元手芸部舐めないでよね!」
天気ちゃん……本当に恐ろしい子……
「……お風呂サイコー!!!」
「ん。ひさびさのひまひま……さいこー。」
「今朝も会ってたでしょう。」
「3時間おきに……ヒマヒマニウムは……摂取しないと……いけない。」
「そうなの?」
「ん。」
ということで湯船の中で天捻ちゃんにまとわりつかれながら今日の疲れを癒す。お風呂は……いいよねぇ……
「そういえば!佳舞ちゃんところは何するの?」
「私か?文化祭中のサポート科は基本的に展示会だな。自分の技術をアピールするいい場になってる。その分力が入ったものになるがな。」
風呂キャンしようとしてた佳舞ちゃんは捕まえてお風呂にぶち込みました。もちろん全身くまなく洗浄済みです。
「何展示するの?」
「ヒーロースーツだ。分かりやすい上に技量も出やすい。」
「佳舞ちゃんお得意だね!」
「任せろ。将来どこに行くことになっても日巡璃のヒーロースーツは私が手がけてやる。」
「ありがとう!」
「ふふん!」
そう言ってくれるとすごく心強い!佳舞ちゃんのヒーロースーツはなんて言うかすっごく馴染むんだよね!
ガラッ……
「おいすー!」
「やっぱ狭いって!」
「槍田〜。邪魔するよ〜。」
「よよよ?A組のみんな!」
お風呂にA組の子達が入ってきた。珍しい……よく福ちゃんが無神さん以外と入るの許した……ね……?
「…………。」
ズモモモ……
あ、許してないっぽい。
「まぁまぁそんな怖い顔せんでええやん鳥木!」
「……安毛嫌い。」
「えぇ!?」
「そりゃそうだよ。お前が悪い。」
「あんたらだって乗ってるやん!」
「まぁまぁ……ね。福。許してくれない?」
「…………むむむ。」
福ちゃんはご機嫌斜めです。
そんなこんなで結局キャッキャいいながら体を洗う無神さん達。
「そういえばB組はどないなったん?」
「文化祭?出し物することになった!」
「へー!出し物!体育館借りるんか?」
「うん!A組は?」
「出店!焼きそばと……ホットドッグと……ポップコーン。3箇所出店してローテーションで自由時間って感じや。」
「王道だねぇ……」
「みんなも来てな?」
「うん!絶対いくよ!ね?」
「はい。お嬢様がそう仰られるのでしたら。」
「ん!……食べ歩き。」
「う…………うむ……うむ……」
佳舞ちゃんは人見知りを発病してるみたいです。まだ慣れないかぁ……
「そういえば……普通科とサポート科は何するのかしら。」
身体を洗い終わった無神さんが、福ちゃんを連れて湯船に入ってきた。連れてというか福ちゃんがくっついてというか。
「ん。……メイド喫茶……ありきたり。」
「わっ……わた……私は……えと……えと……」
「えーっとね。サポート科は展示会なんだって。作ったものを見てもらう場だって。」
「ひ……日巡璃……ありがと……」
「いいよ〜。」
「そうなんだ。どれも個性的で楽しそうね。」
「無神さんはどの出店にいるの?」
「ホットドッグよ。」
「じゃあ当日行くね!」
「!……うん!待ってるわね?」
「むむむむ!」
「福ちゃん!?無神さんまで取らないよ!!」
「アハハハハ!信用ならんな?鳥木!」
「なんでぇ!?」
「「「……。」」」
3人からも冷たい目を向けられる私なのでした。おかしいよ!!