※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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今。出来ることを。

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

「……。」

 

私は気付いた。そして……

 

 

 

 

「あなた……」

 

気付かれてる。絶対に。

 

 

 

 

 

一旦ラクネラちゃんを下ろす。

 

ピリッ……

 

「「……。」」

 

重い空気が流れる。

 

 

「マリアおねーちゃん!この人が私を助けてくれたんだよ?」

 

ラクネラちゃんがあの女……マリアと呼ばれた人に抱きつく。ラクネラちゃんは笑顔。それも満面の。

 

「……!」

 

 

「そう……。じゃあこのおねーさんにありがとうを言わないといけないわ?感謝したかしら?」

 

「あっ!」

 

猛烈な違和感。

 

膝を曲げて、ラクネラちゃんの視線に合わせて。この人……本当にあの時の人……?

 

 

「日巡璃おねーさん!ありがとう!」

 

「ううん!いいよいいよ!大丈夫!」

 

 

「ふふ。それじゃあラクネラ。次はどこに行きたい?」

 

「えへへ!じゃーねー……ラクネラホットドッグっていうの食べたい!」

 

「いいわよ♪それじゃあ……」

 

ラクネラちゃんとマリアが手を繋いでここを去ろうとする。

 

 

 

 

……ダメ。絶対にダメ。

 

このまま放置したら何するかわかったものじゃない!

 

でも……周りになんて絶対言えない。察知された瞬間……最悪周りに被害が出る。人命の被害。雄英高校の中に敵が潜入して事件が起きたなんて笑えない!!

 

どうすれば……

 

 

……こういう時……おねーさんなら……

 

 

「……まって。」

 

 

「どーしたの?」

 

「……何かしら。」

 

「私が案内する。全部。」

 

「!」

 

「いいの!?やったやった!日巡璃おねーさんも一緒だ!」

 

 

私が人質になる。これで……迂闊に周りに手を出せないはず。その上私が目の届く範囲に居るっていうだけで、ふたりは自身の安全が確保される。奴らの監視下に私を置く。

 

 

彼らを……何もさせずに。一般の人に悟らせずに。学校の外に出す。……それから……

 

「……へぇ?」

 

 

「うん!ラクネラちゃん!私も一緒していいの?」

 

「いいよいいよ!ね!マリアおねーちゃん?」

 

「ええ。人は多い方がいいわ。」

 

「わーい!」

 

「よーし!じゃあ……ホットドッグはね……」

 

先生達にこの情報を伝えることができたのなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃーい……ってあれ?槍田?」

 

「やっほ!」

 

 

1-A組がやってるホットドッグ屋さん。ここなら……

 

「どしたの?今出し物してるんじゃなかったっけ?」

 

「んーとね、今道案内してて……色々初めてみたいで。手伝ってるんだ!」

 

「へぇ〜そうなんだ?」

 

今の店番は変乂ちゃん。今は……居ないのかな。

 

 

「うん!みんなも私がいなくてもやれるって言ってくれたし!余計なお節介はヒーローのなんとやらって言うからね!」

 

「そうだね!それで?冷やかしに来たわけじゃないんでしょ?」

 

「そうだよ!ホットドッグふたつくれない?」

 

「ふたつ?」

 

「うん!」

 

後ろに待機してる2人を指さす。

 

 

「あぁ……あの2人分だね?どっちも可愛いねぇ。」

 

「片方マスタード無しとかできる?」

 

「あったりまえ!任せておいて?」

 

「ありがとう!変乂ちゃん!」

 

 

うーん……一旦望み薄か……

 

「誰か手伝ってくれなーい?」

 

「いいわよ……あら?槍田さん?」

 

「!……無神さん!」

 

 

居た!!!奥から無神さんが出てきた。

 

「今は出し物の……」

 

「あのな。槍田今人の道案内してるって。だから皆に言って抜けてきたって。」

 

「へぇ。槍田さんらしいわね。」

 

「うん!びっくりさせちゃった?」

 

「うふふ。大丈夫。じゃあ私が詰めちゃうわね?」

 

無神さんが包装紙を準備する。料理係は変乂ちゃんなのかな?

 

「ありがと!」

 

「……あれ?ウインナーちょっと無いわ。裏行って取ってくる!」

 

変乂ちゃんが後ろに行った。……今なら!

 

 

「ねえ無神さん。そういえばさ、こんな面白いの見たんだけど……」

 

「ん?何かしら。……!」

 

 

『後ろ。2人。インターン。敵。』

 

 

即興だけど無神さんならこれで気がついてくれるはず……!!あのことを……知ってくれてるはず!

 

 

「どう?」

 

「……うふふ。面白いわね?よくこんなの見つけてくるわね?」

 

「えへへ!そうでしょ?」

 

 

……どうだ?……無神さんの表情変化が薄くてよくわかんない……

 

 

「ふぃ〜お待たせ〜!」

 

変乂ちゃんが来たからスマホを閉じる。

 

 

あっちからは私の体が大きくて死角になってるはず……

 

「よっしゃ!じゃあ焼いちゃうよ〜ん!」

 

「お願いね!」

 

 

あれよあれよという間にふたり分のホットドッグが出来上がる。

 

 

紙に包まれたアツアツホットドッグ。ソーセージは大ぶり。レタスとパン。すっごく美味しそう!

 

「ありがと!お金置いとくね!」

 

「まいど〜♪」

 

 

そのままふたりの元へ。警戒は……絶対されてるね。

 

「はい!これふたりのホットドッグだよ!」

 

ふたりに渡すと、きちんと受け取ってくれる。

 

「うわぁ……これがホットドッグ……美味しそぉ〜!」

 

「ラクネラ。食べるなら何処かに座りましょうね?」

 

「はーい!」

 

 

……躾……マナー……一般常識……見れば見るほど敵に見えない。これが……Mr.Jが恐れてたあのママなの?

 

 

「槍田さ〜ん!」

 

「あれ?無神さん?」

 

無神さんが手を振って私を呼んでるみたい。

 

 

「いってらっしゃいな。友達なんでしょう?あなたの意図はわかってます。ここから離れません。」

 

「……わかった。」

 

やっぱり……この人相当頭が回る。目的も察せられてる。……迂闊に行動は出来ないね。

 

こんな敵を放置するのは怖い 。でも……敵だけど……今は彼女を信じよう。

 

 

「どうしたの?」

 

「委員長がサービスだってよ!」

 

変乂ちゃんがホットドッグを1個おまけでつけてくれた。

 

 

「えぇ!?いいのぉ!?」

 

「ええ。日頃の感謝よ。」

 

「えぇ〜?それ福ちゃんの前で言ったらアウトだよ?」

 

「大丈夫。福は今日私と離れてるから。」

 

「え!?あの福ちゃんが!?」

 

「コンコン!くじ引きで負けたからな!クソおもろい!」

 

 

横の変乂ちゃんが腹を抱えて笑ってる。……コンコンって笑うんだね???

 

「そんなに笑うことかな!?」

 

「この世の終わりみたいな顔してたからなぁ福!本当におもろい!」

 

「もう。九積さん?あまり笑うものではないですよ?」

 

「委員長も寂しいもんな?ごめんね?」

 

変乂ちゃんが無神さんの肩を組む。

 

「もう!!」

 

 

仲良しだなぁ……っていうかここまで仲良くなれたんだね。体育祭の時の雰囲気とは思えないよ。

 

「うふふ……じゃあありがたく貰っちゃうね?」

 

「はい!包み紙捨てる場所困ったらまた来てくださいね。横にゴミ箱あるので。」

 

 

無神さんが指さす先にゴミ箱が。見る限り結構捨てられてるので……繁盛してるのかな?よかったね!

 

「はーい!」

 

 

 

二人の元に戻る。

 

「おまたせ。」

 

「じゃあ……あの椅子にでも座りましょうか。」

 

マリアが中庭の椅子を指さす。

 

 

「そうだね〜。」

 

「行こ行こ!温かい方が美味しいよ!」

 

3人で椅子に座って1口。

 

 

「「……おいしい〜〜!!」」

 

「美味しい……学生の文化祭にしてはやるわね。」

 

こういうホットドッグが下品にかぶりつくのがいいよね。本当に美味しい。ソーセージの肉汁ジュワジュワ〜……レタスシャキシャキで美味しい!

 

 

「美味しいね!マリアおねーちゃん!日巡璃おねーさん!」

 

「うん!よかったねぇラクネラちゃん!」

 

「……なるほど。このクオリティが続くのであれば結構満足できそうね?」

 

 

ふたりとも相当気に入ったらしく、ぺろりとひとつ食べてしまった。

 

「……美味しかった〜!」

 

「ゴミ捨ててこようか?」

 

「いいの?お願いするわ。」

 

 

2人から包み紙を受け取りぐしゃぐしゃに。私の包み紙も……あれ?何か書いてある……

 

 

 

『了解。1-Bの人たちと先生には伝えておくわ。』

 

 

「……!!」

 

無神さん!やっぱり!気付いてくれてたんだ!!

 

 

ゴミを捨てるタイミングで無神さんと目が合う。

 

「……お願い。」

 

「任せてください。A組のみんなにもフォローできるよう伝えます。」

 

 

本当に……本当にありがとう。無神さん。

 

…………私も……何かしら皆に痕跡を残さなきゃ。

 

 

……そうだ!

 

パシャリ。後ろ手にA組の出店を撮る。

 

私の手は大きいから……スマホを隠すことは容易。

 

 

この写真を……カナに。

 

カナなら……気がついてくれるはず。絶対に察してくれる。

 

 

ふたりにバレないように。皆に居場所を教える。

 

……これは……私一人の戦いだ。

 

 

「おまたせ!次どこ行こっか?」

 

「めいどきっさ?ってのに行ってみたい!」

 

「いいよ!着いてきて!」

 

「わーい!」

 

「あまり走ってはダメよ。周りの迷惑になってしまうわ?」

 

「はーい!」

 

 

たとえ結果的に彼女らを捕まえられなくても。

 

私は……今私の出来ることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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