side槍田日巡璃
「ねえ。」
「何?」
「あの人だかり。何かしら。」
「え?人だかり??」
次に行く場所も決まっておらず、3人で歩いている時……マリアに呼び止められた。
……なんか……生徒が数人客引きしてる……ステージ?
「……あれ……って……」
『紙……?これ……ミスコン?』
『うん。まぁミスコン(男子参加可)だから誰でも参加していいよ〜ってやつなんだけどね。』
『『『へぇ〜……』』』
『一応チラシを全クラスに配ることになってるの。だから一応黒板に貼っておくわね。』
『まぁ出るにしろ出ないにしろオープニングセレモニーは見ておいた方がいいかもね?』
『オープニングセレモニー?』
『まぁ簡単に言ったら客引きよ。なんか凄いパフォーマンスがあるらしいわよ?』
「ミスコン……だね。」
「……低俗。」
「みすこん?」
まぁ……ラクネラちゃんは知らないよね。
「あのね、この学校で1番可愛い人を決めようって大会。」
「?……だったらマリアおねーちゃんが一番可愛いよ!」
「あら。お上手ね♪」
嬉しさが隠せれてないねこの人。敵の理解度かぁ……そう考えたら敵も人間なんだよね。
人間ってことは何かしらの要因があって敵って呼ばれてるわけで……その要因も汲み上げてあげないといけないってこと?でも……その人の事なんてわかんないよ。
今までずっと敵は敵だったから。
……おねーさんならわかるのかな。
「ねー。みすこん見てみたい!」
「いいわよ。行きましょ♪」
「それじゃ私が肩車してあげるよ!見えやすいよ!」
「いいの!やったー!!」
ちょうど始まるまでもう少しみたいだし……ちょうど良かったかも。おねーさんがあれほど言ってるオープニングセレモニーは見てみたかったし。……ワクワク。
パンパカパーン!
お、ファンファーレ!始まるかな。
すると幕の中から、1人の男子生徒がマイクを持って顔を出す。
『Ladies and gentlemen!今年もやって来ました雄英高校ミスコンテスト!さぁ〜今年は誰が1位を取るのか!!……の前に!皆様お待ちかね!毎年恒例のブラッドロータス先生のオープニングセレモニーだ!!ぜひ見ていってくれぇ!!』
「「「いえーーーい!!」」」
「え?」
今なんて言った!?
ブラッドロータス先生の……オープニングセレモニー???
すると幕の奥からドレス姿で仮面……ファントムマスクだね、を被った流水おねーさんと……あれは……
「……えぇ!?!?」
「「?」」
ブラッドヘリアンサス……被身子おねーさん!仮面でよくわかんないけど!!ドレス姿手を繋いで入場!ふたりで何するの!?
ふたりで中央に立ち一礼。その後一瞬見つめ合い、手を取り合う。
軽快なリズムと共におねーさん達が踊り出す。踊りなんてよくわかんないからどうとかこうとか言えないけど……
「綺麗……!」
ふたりとも満面の笑みでステージを踊りながらクルクルと……社交ダンスってやつだよね!
流水おねーさんの青いドレスと、被身子おねーさんの赤いドレスが回転と共に混ざり合うように……すごーい……よくあれで足踏まないね……って靴ヒールなんだけど!?よく踊れるね!?
「うわぁ!!かっこいい!!」
私の肩の上でラクネラちゃんもご満悦みたいで、ひょこひょこ跳ねてる。
「……へぇ。やるじゃない。」
マリアも満足してるみたいです。
そのままステージは最高潮に。リズムもステップも、そしてパフォーマンスも相まって観客席は大盛り上がり。
そのまま最後は流水おねーさんが空を見上げるように反り返り、その腰を手で支えながら優しく流水おねーさんを見つめるようにポーズを決めた被身子おねーさん。
「「「うおおおおおお!!!!!」」」
拍手喝采。
「ブラボー!ブラボー!!」
「ピーッ!ピーッ!」
「かっこよかった〜!!」
2人は観客席に一礼して、幕の中に帰って行った。
『最高のダンスをありがとうございまーす!!それではどしどしやっていこう!エントリーナンバーワン!!……』
「みすこん面白かった〜!」
「そうね。皆のパフォーマンスでなかなか楽しめたわ。」
なんだかんだ結構楽しめていただいたようで。
「……そういえば貴方。ああいうドレスが好みなの?」
急に話を振られた。びっくりした。
「え?なんの話?」
「ヒーローブラッドロータスが着てたドレスよ。綺麗って言ってたじゃない。」
……さっきの!
「あぁ〜……まぁ……あれはあの人だから似合うものだよ。好みではあるし着てみたい。」
「ふぅん?」
「何さ。」
「もったいないと思ってね。」
予想外の返答が返ってきた。……え?もったいない?
「……もったいない?」
「ええ。貴方ほどの素材ならあのドレスも着こなせるでしょうに。」
「…………え??何言ってるの???」
本気で理解できないんだけど?
「……貴方もしかして自分の事何も分かってないの?そのプロポーション。高身長。顔のパーツも悪くない。前髪をもう少し整えてあげるともっといいかもね。あら……指も綺麗じゃない。世の男性が放っておかないんじゃなくて?」
急に手に触れられて……え?これ褒められてる??全然理解が追いつかないんだけど!?
「????」
「うふふ。私の手にかかれば貴方を美しい淑女に変えることだって可能ですのよ?……この子のように。ね?」
ラクネラちゃんの頭を撫でるマリア。
……その笑みは……本心なの?相手の距離の詰め方が分からない。だって相手は敵で……私はヒーローで……
「……私はね。人でありたいの。」
「……え??」
人で……ありたい?急に何??
「綺麗なものには綺麗と言いたい。美味しいものは美味しいと言いたい。死んでしまうようでも生きたいと言いたい。……それは凄く人間らしいことじゃなくて?」
「……なんの話?」
「私の置かれてた環境の話よ。私が敵になった理由でもあるの。」
「……。」
人間らしいことが……敵になった理由?置かれてた環境?やっぱりよくわかんないよ。
「だから私は美しいあなたに美しいと言ったの。他に疑問は?」
「……!」
「バレてないとでも思った?貴方すぐ顔に出るわよ。注意した方がいいわ。」
「え!」
敵の人にも言われた!!……ポーカーフェイス……練習しよ。おねーさんなら教えてくれるかな。愛ちゃんでも良さそう。
「私は私の感性を信じる。私が感じてきたことは、見てきたことは全部間違ってないんだと……私は復讐するのよ。世界に。」
そう言い残して少し歩く速度を早めるマリア。
「……!」
一瞬すぎてあまり見えなかったけど、マリアが笑った。その表情はなんとも名状しがたく……まるで悪魔そのものだった。
苦しみ。悲しみ。怒り。笑い。喜び……
全ての感情が渦巻いて、まるで何も無いような。それなのに何かがあるような。
私が今見合ってる相手は……本当に人間なの……?