※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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お待たせしました。


非常に難産でした。






ロックオン

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

「……。」

 

「うーん……まだおばけ屋敷は怖かったか……」

 

 

ラクネラちゃん。撃沈。

 

お化け屋敷に興味を持ったラクネラちゃん。私とマリアの静止を聞かず突撃。案の定私が抱っこして歩いてます。

 

 

「ごめんなさいね。」

 

「いいよ。全然苦じゃないし。」

 

「そう。優しいのね。」

 

「優し……まぁ……そうなのかな。」

 

「……ラクネラがこんな調子じゃ行きたい場所も行けないわね。」

 

「じゃあ近場のベンチ辺りに行ってみる?休憩してもいいんじゃないかな。」

 

 

「なるほど。一理あるわね。」

 

 

 

 

 

 

「キャッキャ」

 

あれだけこの世の終わりみたいな顔してたのにもう走り回ってる。…………子供ってすごい。

 

 

「やっぱり笑顔がいいわね。笑顔が。小さい子が笑顔じゃない社会に未来はないわ。」

 

「……どの口が。」

 

「あら?私が平和を望むことが嫌い?」

 

「だってあなたは敵でしょ。笑顔を奪う立場だよ。」

 

「……ふふ。」

 

「何がおかしいの。」

 

「カチカチね。固定概念よ?」

 

マリアはベンチにもたれかかる。

 

 

「……。」

 

「私たちは世間一般からしたら敵。それは間違いないわ。……でもね?私たちが居場所を作ることで救えてる命もあるの。」

 

「……それは……なんとなくわかる。」

 

 

私のいじめもそうだった。先生も。クラスのみんなも。誰も助けてくれなかった。両親には相談してた。色々掛け合ってくれてた。でも……助けて貰えなかった。

 

 

私を助けてくれたのは1人のヒーローだった。彼女のおかげで私はヒーローを目指せる。ヒーローになりたいと思える。

 

社会が助けてくれないから、外部の助けを求めてる人が一定数いる。

 

 

でも……

 

「……頭では理解できるけど理屈で理解できない。私は……まだ社会を知らないから。大人じゃないから。」

 

「……なるほど。ヒーローは正義。敵は悪。わかりやすい認識。社会の常識。」

 

「それが普通だったから。」

 

「……私もそれが普通だった時期があるわ。」

 

「え?」

 

「だいぶ前だけれどね。裏切られたから今生きている訳だけど。」

 

「裏切られた……?」

 

「あら?敵の話に興味を持ってくれるのかしら。」

 

「……誰が!」

 

「うふふ……声を荒らげちゃって。可愛い。」

 

「っ!!」

 

 

調子が狂う!敵ってみんな無法な人達じゃないの!?もっと悪辣で野蛮な人達だと思ってた!この人は違う!何!?意味がわからない!

 

「いいじゃない。敵の話に耳を傾けても。それを信じるかどうかはあなた次第でしょ?」

 

「……。」

 

 

この人と話してから……なんというか心がかき乱されてる。今まで知らない物。知らなくても生きてこれた物を無理やり押し込まれてる気分。すごく気持ちが悪い。

 

私の認識も。判断も。全部全部狂う感覚。

 

急に辺りが見えない吹雪の中。立ち尽くすような。それでも進まなきゃ行けないと刷り込まれた無謀な勇気。

 

私はこの1歩を踏み出してもいいの?

 

それは……私にとって正義なの?誰かの悪じゃないの?

 

 

「悩みなさい。貴方の全てを。やってきたこと。やれること。やれないこと。貴方はどうありたいの?」

 

 

「私は……」

 

 

 

 

 

「……ぷっ。」

 

「え?」

 

 

「アハハハハハハ!ついさっきまですっごい警戒してたのに今ぜーんぜん警戒してないじゃない。私の会話鵜呑みにしようとしたでしょ?ふふふっ……かーわい♪純粋なのね?」

 

「!!」

 

 

「知らないこと色々詰め込まれて訳わかんなくなっちゃった?うふふふっホントに可愛い♪私貴方みたいな人大好きよ?手のひらでコロコロ転がって……小動物みたい♪」

 

「っっ!!!私は嫌いッ!!!」

 

「うふふふふ♪」

 

 

マリアにスイスイと距離を詰められる。

 

「近寄ってこないで!!大嫌い!」

 

距離を取るように立ち上がる。なんかすごく嫌だ。言語化できない。すごく気味が悪い。可愛いって言われるのは嫌いじゃないのに……この人の可愛いは何か違う!

 

 

「かわいい〜♪あぁ〜……ほんとにいいわ貴方。何にも染まってない純粋な白。社会の闇も、膿も……なーにも知らないか弱い子♪私ラクネラみたいな闇から育った子も好きだけど……あなたみたいな真っ白な子もすっごく大好き♪」

 

背筋が凍る。き……き……

 

「……気持ち悪い!!」

 

 

「あぁ〜♪その顔もいいわ!本当に唆る!!ねぇ!ねぇ!今からでもいいから私たちの仲間にならない!?一生可愛がってあげるわよ?」

 

「無理!!やだ!!絶対やだ!!!」

 

 

「首輪つけて鎖で繋いで、可愛い服も着せてあげる♪一生養ってあげる♪私という存在がないと生きていけないようにしてあげる♪可愛い♪可愛い♪あぁ〜……貴方を見てるだけで本当に元気になるわ♪」

 

「無理無理無理!!やだっ!!それ以上絶対近寄らないで!!」

 

「頑なね?そんな所も可愛い♪ドロドロにとかしてあげたい♪」

 

「近寄ったら殴るからね!!わかってる!?」

 

「うふふふ♪嫌われたくないから辞めておきましょうか?」

 

「もう嫌ってるから!!!」

 

「いやーん♪ほんとに可愛い♪食べちゃいたいくらい♪」

 

私に見せつけるような舌なめずり。

 

ゾゾゾ……

 

「ほんとにやめて!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで押し問答をすること数分……

 

 

「うふふ♪満足♪」

 

「……ふーっ……ふーっ……」

 

この人はダメだ!危険!近寄っても半径2mが限度!それ以上は耐えられない!

 

 

「さぁーて。そろそろ帰りましょうか。ラクネラ。」

 

「え?」

 

「はーい!」

 

帰る?やっと!

 

 

「寂しい?」

 

「早く帰って。」

 

「あら手厳しいわね?うふふ。嫌われちゃったかしら?」

 

「近寄ってこないで!」

 

「もう。恥ずかしがり屋ね?」

 

 

マリアは……アイツはベンチから立ち上がり、ラクネラちゃんを抱き上げた。

 

「……どうやって帰るの。」

 

「あら?気になる?」

 

「……気にならないって言ったら嘘になる。」

 

「うふふ♪そうね……でもこれは機密情報だからねぇ〜……そうだ!」

 

 

…………なんか嫌な予感がする。凄く!

 

「私と友達になって?だったr……」

 

「絶対無理!!」

 

「あら?残念。」

 

「なんでできると思ったの!!」

 

「うふふふ♪そうよね。……じゃあ……特別。最後に見せてあげちゃうわね?少し厄介な人たちもこっちに来てるみたいだし……」

 

「……?」

 

 

なんの事?……もしかして……カナ!気付いてくれたの!!?

 

「嬉しそうな顔しちゃって……嫉妬しちゃう。」

 

「勝手にしてて。」

 

ほんと嫌い!

 

「うふふ……まぁいいわ。いずれあなたは私のモノにするんだから。」

 

「……怒るよ。」

 

「きゃ♪怖い怖い。とっとと帰りましょうね。ラクネラ。挨拶は?」

 

「はい!おねーちゃんばいばーい!」

 

 

ラクネラちゃんが笑顔で手を振ってくる。…………ラクネラちゃんは可愛いんだけどなぁ。

 

手を振り返すと、アイツまで振ってきた。

 

 

「あんたじゃない!!」

 

「そうだったかしら?うふふふふ♪」

 

するとアイツの足元にピンクに光る魔法陣が展開された。

 

 

「!!」

 

「じゃあね?日巡璃ちゃん♪」

 

「名前で呼んでいいとは言ってない!!!」

 

「もう!イケズ♪」

 

ボフンと煙を立てて魔法陣ごとアイツらが消えていった。

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 

足の力が抜け、地面に座り込んだ。

 

「…………はぁーーー……」

 

終わった……何事もなく……

 

……厄介な人に目つけられた気がする……

 

 

動けない私は、遠くから聞こえる私を呼ぶ愛しい声に少しだけ安堵しながら、皆の到着を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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