side槍田日巡璃
「……え……っと……あの……」
「何。」
「ん。」
「どうかなさいましたか?」
「…………ナンデモナイデス。」
はい。ご想像通りです。
校長室に呼び出されたあと、待ってたかのように3人に捕まりました。……これから保健室に行かなきゃいけないのに……
「日巡璃ちゃん。早く行くわよ。怪我が無いかだけ確認しないといけないから。」
「槍田。先に言ってるぞ。」
流水おねーさんとスナイプ先生が歩いていく。
「まっ!!待ってください!行きます行きます!」
物理的にくっついてる2人と、後ろで私の服の裾を引っ張ってる愛ちゃんを何とか引きずって保健室へ。
何とか3人をひっぺがして触診へ。
「ん〜……怪我は無さそうだね。何かされたって訳じゃないし……ま。確認だけだから安心していいよ。」
「よかった……」
「ん……ほっとした……」
「……。」
私じゃなくて後ろの3人に伝えるおねーさん。……おねーさんが言わないと信じてくれないんだよね。
……私が無茶しすぎです。ごめんなさい。
「みんな……本当にごめんね?」
「ホントにアンタは!!頼ってくれたのは嬉しいわ!……嬉しいけど…………ごめんで済ませないで……」
「ん……ひまひま……心臓がいくつあっても……足りない。」
「……。」
「B組だけではなく、A組の方々にも協力を仰ぎお嬢様の場所を探してたのです。……天捻様もクラスの出し物を周りの方に頼んでこちらに協力してくださいました。……お嬢様がそうするしか無かったのはある程度把握しておりますが……私からは一言……生きていてくださりありがとうございますとだけ。」
「…………ありがと。みんな。」
皆の心配……痛み居るな……
「日巡璃ちゃん。貴方を擁護するつもりはないけど、今回の判断はあなたが出来るヒーロー活動としては最善だったわ。私だってそうする。」
「「「!」」」
「……うん。」
「でもね。それは私だから出来ることなの。私という確固たる土台があって出来ること。あなたにはある?自分がどれだけ不利な状況に陥っても全てをひっくり返せるような自力が。」
「…………自信ない。」
「まずはそこであるって言えるようにならないとね。」
「はい。」
「保護者の私から言いたいことはそれだけ。あとはスナイプ先生に任せるわ。」
「……え?」
「え?とはなんだ槍田。俺だって心配したんだ。」
「あっ…………ごめんなさい。」
「そうよ?スナイプ先生は私が最初に連絡入れたらすっ飛んできたんだから。フル装備で。」
「…………そこまで……」
ただの生徒なのに。ただの1人の生徒なのに。
「そこまでだ。君はまだ半年だけとはいえ俺の生徒だ。だったら俺が卒業させてやらなくちゃならん。……だから生徒だけじゃない、先生も頼ってやってくれ。私たちは頼りない大人か?」
「……!!」
「傷原先生から聞いてる。君が今までいじめを受けていたこと。学校の先生は対処をしなかったこと。見て見ぬふりをしたこと……全て知っている。」
ハッと流水おねーさんを見つめると……静かに頷かれた。おねーさん……そこまで……
「君が担任の私を信用しきれないこともわかっているつもりだ。だからといって君を見捨てることは絶対にしない。」
「先生……」
「私はヒーローの前に雄英高校ヒーロー科1年B組の担任だ。それに……君を心配に思ってるのは何も私達だけではない。雄英に在籍している先生全員の共通認識だ。」
先生の……共通認識……すごいや。雄英高校。私の常識をすぐに超えてくる。……Plus ultra……普通の子は感じないところかもしれないけど……凄く嬉しい。
「それに……君はまだ学生だ。何か危機があればすぐに言って欲しい。死力を尽くして君を助けよう。」
「…………はいッ!!」
私の返事を聞いて、力強く頷いたスナイプ先生はカナ達に向き直る。
「槍田だけじゃない。君たちもだ。ディミトリウ、憎田。……最初に先生を頼ってくれなくて少し悲しかったぞ?」
「そ……それは……ごめんなさい。取り乱してて頭が回りませんでした。」
「申し訳ありません。スナイプ先生。」
「いい。今回の事を糧にして成長してくれ。次は無いぞ!」
「「はい!」」
「それとB組の生徒だけじゃなく、A組の生徒にもしっかり感謝すること。いいな!」
「「「はい!」」」
私……ほんとのほんとに雄英高校でよかった!
そこから1時間くらい使って色んな人に頭を下げに行った。
「いいっていいって!無事でよかった!」
「槍田!ホンマウチ心配したで!?」
「委員長〜!」「無事で何より〜!!」
「何事もなくてよかったね。……アンタが何かあるとカンナちゃんが露骨に悲しむから。」
「槍田!何も出来なくてごめんね〜!!」
……申し訳ない気持ちと、それ以上に嬉しい気持ち。
なんだか自然と背筋が伸びる。
「〜♪」
「なんだか嬉しそうね?」
「えへへ♪そう?」
「お嬢様が周りの方々から愛されてるのが非常に良く伝わりましたね。」
「うん!みんなありがとうって感じ!」
るんるーん♪
本当は喜んでちゃ良くないんだけどね?
あ!能面くん達!
「あ!おーい!能面く……ん?」
あれ?誰かと話してる??
「ん?あ!委員長!無事だったかよ!!」
「委員長サン!ご無事で何よりッス!」
「本当なら僕らも助けに行きたかったんだけどネ!!」
「大丈夫大丈夫!みんなありがと〜♪」
と心配してくれる人も……
「委員長はん?あんまり無茶しちゃあきまへんよ?」
「そうだよ。めっちゃ心配したんだから!」
「ごめん!心配かけちゃった……本当にごめんなさい!」
怒ってくれる人も。全部嬉しい。全部ありがたい。私には頼れる人がこんなにもいる。
それを感じられる。目で。肌で。心で。
私はこんなにも好かれてる。みんなから。
「健二。」
「……んだよ。今頑張ってた同級生と感動の再開だってのによ。」
「まだ話は終わっておらん。」
能面くんたちがさっきまで話してた人……怖いおじいさんだ…………あれ?この人ってもしかして……
「……能面くんのおじいさん?」
「そ。うちのじいちゃん。」
「わっ!ごごっごめんなさい!割って入っちゃって!」
すごい失礼なことしちゃってるじゃん!!すっごく良くない!!
「……良い。元気なお嬢さんだな。」
「あぇ?はい!ありがとうございます!」
「…………彼女は最後の舞台に居なかったようだが。」
「……それは……」
「じいちゃん。それとこれとは関係ねぇ。槍田は立派にヒーロー活動してたんだよ。」
「そうッス!そもそも槍田サンは衣装を頑張って作ってくれたッス!」
「槍田さん達が居ないと僕たちのステージは成り立たなかったんだよね!」
「!…………♪」
えへへ……ここまで庇われるとなんかムズムズするね?
「……ふむ。そうか。なら良い。」
「……なんだよ。俺たちはやりたいことをやったぞ!じいちゃん!」
「……ふむ。」
「やりてぇことを全力でやったぞ!!じいちゃんの舞台に負けねぇくらいのでけぇ拍手だっただろ!まだ何か文句があるってのかよ!」
「……ふ。そうだな。」
能面くんのおじいさんはひとつ息を吐く。
「まだお粗末な舞台にしては頑張った。」
「何を!!!」
「健二!」
「やめるッス!!」
飛び出そうとする能面くんをふたりが止める。
「じいちゃん!!俺がお粗末なのは認めるが!!俺らの仲間の努力の結晶を!全力を馬鹿にするのだけは絶対許さねぇ!!」
能面くんのおじいちゃんは顔色を1つ変えずに……
「まだ拙い舞いと、ダンスも甘い。…………が、日本舞踊を盛り上げようという気概は感じた。」
「「「!」」」
「精進しろ。何かあれば言え。……お前の好きなようにするがいい。」
と、伝えるだけ伝えてその場を後にした。
「……ウス!!」
「……認めて……」
「……も……貰えたッスか??」
「…………くぅ〜!!見返してやったぜ!!!!」
「「イエーーイ!!」」
「よかったねぇ!!」
「ああ!みんなのおかげだぜ!!」
B組の文化祭も良いように終わったみたいで……ほっとしたよ……来年はちゃんとやるからね!!約束!!