side憎田愛
「……お嬢様はこちらの予想通り無神様と合流しましたね。」
「ふーん?やっぱり無神も仲間に入れる感じなの?」
「……まだ断定はできません。」
お嬢様がいそいそと準備を初め、それを見送ってから私達はお嬢様の後を着け始めました。何か敵の思惑に巻き込まれてないか心配でしたが……無神様なら一旦安心です。
一応佳舞様にも伝えておきましょう。
「ひまひま……楽しそう……だね。」
「……そうですね。」
無神様とお嬢様はなんとなくお互いをお互いの理解者だと認識してるご様子。気のせいかもしれませんが普通のご友人とは違い、距離が少し近いです。
信頼しあってるということでしょうか。文化祭の時も初めて助けを求めたのが無神様らしいですし……
無神様も無神様でお嬢様がご無事と知った時、いの一番にお嬢様の容態を確認しに来られました。
「……。」
今の状態では判断しかねますね。普通にお出かけしてるようにも見えます。
「……まぁそれは一旦日巡璃の判断に任せるからいいけど……コイツ何?」
カノーテス様が指さす先……というか隣ですが、案の定鳥木様も来られてます。
「コイツって言わないで。私はカンナちゃんが心配だっただけだから。アンタらと一緒にすんな!」
そう言われましても……だって……ねぇ?
「やってること一緒じゃない。」
あ、言った。
「うぐぐぐ……」
「ていうかそもそも彼女なんだからそういうのは信用してやりなさいよ。」
「……ん。それはそう。」
確かに。
「…………い。」
「え?」
急に鳥木様の元気が……
「まだ…………付き合ってない。」
「「「…………え?」」」
そんな馬鹿な。
side槍田日巡璃
「いい雰囲気ね?」
「うん!流水おねーさん……じゃなかった!ブラッドロータス先生に聞いたんだ〜♪」
席に案内されて料理の注文も終え、とりあえず雑談。ここでもっともっと仲良くならなきゃ!今回来た意味がないよ!
「うふふ。自分の呼び方でいいのよ。」
「そう?えへへ!」
「それにしても……槍田さんはブラッドロータス先生が大好きなのね?」
「うん!そりゃね!1番好きなヒーローだよ!」
「そう。理由を聞いても?」
水を1口。美味しいね。
「小さい頃ね〜、覚えてるかな?オールマイトがヒーローを引退した年。エンデヴァーが福岡で敵を倒したってやつ。」
「覚えてるわ。ナンバーワンになってすぐにこんな事件なんてとは思った記憶があるわ。」
「うんうん。それの余波に私巻き込まれちゃってねぇ〜……」
「え!?そういえば福岡……大丈夫……だったのよね?」
「うん!瓦礫に巻き込まれただけだから。……そこをおねーさんが颯爽と助けてくれたんだ!」
「へぇ〜……ブラッドロータス先生福岡に居たのね。」
「うん。エンデヴァーのお仕事手伝ってたって。」
「え?知らない情報だわ……」
「おねーさん当時公安所属で名前を伏せてたから、そういう情報は出回らないようにしてたって。」
「なるほど……色々大変なのね。」
「その時からおねーさん一筋!私の理想のヒーロー像なんだ!」
「うふふ。かっこいいものね。」
「うん!最強なんだ!」
「そうね……いいなぁ。私はそういう憧れのヒーローって居なかったから。」
「そうなの??」
「ええ。小学中学と習い事と塾ばかりだったから。」
そっか……そういう人達もいるよね。……無神さんの家だと露骨か。
「どんな習い事してたの?私習い事した事ないから気になる!」
「ちょっと恥ずかしいけど……合気道よ。」
「合気道!?かっこいい!!」
へぇ〜!道着とか着るのかな!絶対かっこいいよ!
「うふふ。最近また通い始めたの。暇があるときだけだけどね。」
「そうなの?いいねぇ!趣味は多い方がいいよ!」
「そうね。毎日楽しいわ。」
「ね〜♪」
「お待たせしました。こちらデミグラスソースのキノコオムライスと、ミートソースドリアでございます。」
タイミングよく店員さんが料理を運んでくれた。
「オムライス私でーす!」
「ドリアは私です。」
店員さんから料理を受け取って……
「それではごゆっくりどうぞ。」
「いただきまーす!」「いただきます。」
きのこきのこ!きのこなんてなんぼあってもいいですからね!うーん……やっぱりオムライスはデミグラスソース(きのこ多め)が正義。異論は聞くけど認めない!
あ、しかもここのお店……デミグラスソースに合わせてオムライスのライスがケチャップじゃなくてグリンピースの豆ご飯だ!そんなの美味しいに決まってるじゃん!!
「ん〜♪おいひ〜!」
「うふふ。本当に幸せそうに食べるわね。」
「そう?食べるって楽しいよ!」
「……それに気がついたのはインターンが終わってからだわ。それまではひとりぼっちだったから。」
雄英に来てから全部良いふうに変わったんだね。良かった良かった。
「……そっか。じゃあこれからいっぱい一緒にご飯食べようね!」
「うん!あ……福が居ない時だけよ?」
「当たり前じゃん!怒られちゃう!」
「「……ぷっ」」
お互い福ちゃんの認識は一緒なんだね。なんだかおかしいや♪
side憎田愛
「……みたいな会話をしてますね。」
「読唇術ってやつ?便利だね。」
「フッ……アンタ厄介者呼ばわりされてるわよ?」
「うるさい。」
私達も一応客の立場なので注文は済ませてます。
私はサンドイッチ。カノーテス様がミートスパゲティ。鳥木様はハンバーグ。そして……
「もっ……もっ……もっ……」
「すっごい食うねこの子。」
「もう慣れたわ。」
天捻様は大盛りカレー。本当に山のようになってますけど……一心不乱ですね。
「……それにしてもこのお出かけの理由がずっと不明ですね。なんとなく本題がありそうなのですが……」
「そうだよ!絶対槍田がカンナちゃんをそそのかしたに決まってる!」
「日巡璃にそんな暇あったように思えないけどね。」
「恋人のこと1~10まで知ってるわけじゃないでしょ!」
「恋人同士にすらなってない人に言われたくないわね。」
「カノーテス様に口喧嘩で勝とうと思わない方がいいですよ。」
「うぐぐ……」
「どういう意味よそれ。」
そういえばそうです。その話です。
「……鳥木様はあのスキンシップをしているのに付き合ってらっしゃらないのですか?」
「…………カンナちゃんから言って欲しくて……」
「……ハァ……」
あまりにも乙女な返答に、カノーテス様が大きなため息をひとつ。
「何さ。」
「当たり前じゃない。そもそも日巡璃もあの無神ってやつもどっちも恋愛初心者っぽいでしょ。そんなのに恋自覚して告白して欲しいって……何年かかると思ってるの?」
「……だ……だけどカンナちゃん言ってたもん。私の気持ちに気付いてって。」
「「「……え?」」」
なんと……無神様は恋を自覚してる様子。予想外すぎましたね。予想外すぎて天捻様のスプーンが止まりました。
「だから……私いつも以上にグイグイ行こうと……」
「あぁ……なんだ。あんた達なりに駆け引きしてたのね。」
「うっ……そう言われると……そう……かも。」
「乙女だね。」
「……なんとでも言え〜!」
なるほどなるほど……うーん?
「……ですがそれだと……あっちも待ってることになりません?」
「え?」
「早く気付いてってことは……あちらは貴方が恋愛的に好きな事を理解していないのでは?」
「…………あ。」
あちゃぁ……そこからですか……
なかなか大変そうですね。