sideカノーテス・ディミトリウ
呆れた。ふたりで駆け引きしてるのかと思ったら……どっちも受け身だったとはね。
「はぁ……」
「……なによ。」
「なによも何も……どっちも受け身なのに恋が進むわけないじゃないとだけ。」
「うぐぐ……」
恨めしそうな顔を向けてくる鳥木。勝手にしなさい。
「なにか言いたいことがあるなら無神と付き合ってからにしなさい。」
「……あんたたちが早すぎるのよ。まだ1年よ?」
「もうその1年も半分終わってるの。」
「……。」
「一瞬よ。高校生は。私たちが思ってる以上に。私は時間で後悔したくなかった。それだけ。」
「「……。」」
他の2人もきっと同じ気持ちのはず。ヒーロー科に所属する以上何があってもおかしくない。だからこそヒーロー活動も全力でする。自分達のしたいことも全力でする。
その結果の速さ。私は別に早いと思ったことは無い。私の気持ちに素直になっただけ。
「ま。なるだけ早く悩むがいいわ。困ったら自分の気持ちと欲望を天秤にかけなさい。1番手っ取り早いから。」
「……わかった。」
「…………なんだかんだ面倒見がいいですよね。カノーテス様。」
「……ふん。なんとでも言いなさい。」
「カノカノは……基本……いい子だから……ひまひまの事になると……暴走するけど。」
「……まぁ……それはそうね。」
言い返せないわ。実際そうだし。
「はぁ……私ってヘタレだったのかなぁ……」
「悩んでる証拠でしょ。素直に好きって言えないならまだタイミングじゃ無いだけよ。」
「…………。」
「……!……ちょっと待ってください。少し話が進展しそうですよ。」
「「「!」」」
side槍田日巡璃
「それでね……メッセージで言ってたように槍田さんに相談なんだけど……」
「そうだよね。どうしたの?」
今回は、無神さんが私に相談があると言われてやってるお出かけ。
無神さんが相談ってだけでちょっと聞きなれないけど……何かあったのかな?大丈夫?無神さんでも解決できないことって私で解決できるかな?
「槍田さんにしか相談できないの。」
「うん。……ハードルあげるね??」
「そんなつもりはないんだけど……相談できる人がいなくて。」
……相談できる人がいない?そんなわけないと思うけど……特殊なこと??
「え?福ちゃんは?」
「…………福のことなの。」
「ん??福ちゃんのこと??」
「私…………ふ……福のことが好きなの。」
「……うん。知ってる。」
「……やっぱりバレてたのね。やっぱり槍田さんはすごいわ。」
なんかすっごく頑張って言ってたみたいだけど……知ってるかも。
「いやいや!気付いたのは最近だけどね!?なんとなくだし!」
「……それで……私……福への気持ちがよくわからなくなっちゃって。」
……ちょっと待って???
「……え??どういうこと?好きなんじゃないの?」
「好きなの。好き……なんだと思う。……でも……最近ずっと一緒にいるからかもとか考えちゃって……」
「……あぁ……」
「福は私の事好きは好きだけど、恋とかそういうものじゃないのかもとか……」
「…………」
「そもそも私は福の事本当に心の底から好きなのかとか……色々考えてたら……よくわからなくなっちゃったの。」
「……そっか。」
難しい年頃なんだね。
…………無理だよぉ!!!無理無理!!恋愛の勉強中なんです私!ビギナーです!
「彼女がいっぱいいる槍田さんならわかるかなって……」
「うーん……。」
ぜーんぶ全部彼女にグイグイこられた結果です!佳舞ちゃんはちょっとだけ違うけど!だとしても!私まだまだ恋愛ビギナー!初心者マーク!
自分のことでいっぱいいっぱいなんだよねぇ……
「……。」
「……どう……かしら。」
……でもこんな顔してる無神さん……放っておけないよねぇ……
無理だよ。助けたくなっちゃう。
…………よし!腹を括ろう!私の知ってること、分かったことを頑張って口に出そう!
女槍田日巡璃!行きます!
「ねね。無神さんって今自分の気持ちがわからないんだよね?だったらさ、1回書き出してみれば?」
「……書き出す?」
「うん。多分私と同じで、あんまり経験してこなかった事だから言葉に出来てないだけなんだとおもう。」
「……そう……かしら。」
「相手の気持ちよりもまず自分の気持ちだよ!明確にしなきゃ!」
「…………。」
「自分があやふやなのに、相手のことばっかり考えてるのすっごく相手に失礼かもって思っちゃったな。私。」
「失礼……?」
「うん!だって自分の事わかってないのに、相手のことばっかり考えてるんだよ?もし相手からアプローチされた時どうするの?」
「……確かに。何も……言えない。」
「うん。1回初心に帰ろうよ!福ちゃんのどんなところ好きになったの?」
「…………福の……好きなところ……」
「そうそう。」
「……えっと……」
「うんうん。」
「ずっと私のことを思ってくれてたところ。私の為に毎日毎日羽毛の手入れを欠かさないところ。私を傷つけない為に爪とくちばしの手入れを欠かさないところ。私のわがままを聞いてくれるところ。私を甘やかしてくれるところ。私の好きなものを把握してプレゼントしてくれるところ。私のことを誰よりもサポートしてくれるところ。ああ見えてすっごくスタイルがいいところ。私が嫌なことされたら誰よりも怒ってくれるところ。私の好きな物に興味を持ってくれるところ。私が寂しくないように毎日一緒に寝てくれるところ。色んな美味しいものを教えてくれるところ。お出かけで毎回別の場所に連れていってくれるところ。綺麗な目をしてるところ。すっっごくいい匂いがするところ。毎日身体を隅々まで洗ってくれるところ。一緒に走り込みや自主トレーニングに付き合ってくれるところ。私の料理を美味しい美味しいと言いながら食べてくれるところ。福に料理を教えてる時にありがとうを毎回毎回言ってくれるところ。ああ見えすっごくお世話しいなところ。私の事だけじゃなくて、A組みんなのことが好きなところ。それとは別で私に毎日好き好き言ってくれるところ。私の事を離さないって言ってくれたところ。毎朝私にキスしてk……」
「ちょちょちょっと!?黙ってたけど多分それは聞いちゃいけないかも!」
「あら?そうかしら。まだあるけど……」
まだあるの!?!?いやもう……
「それは好きじゃん。福ちゃんのこと大好きじゃん!」
「……え?」
「え?じゃなくて!私ニブいけど!さすがの私でもわかるよ!恋だって!!」
「そう……かしら。」
「そうだよ!胸張っていいよ!」
それに多分ちょっと重い気がする!私の彼女たちと微かに同じ匂いがした!!
「……そう……なのかしら。」
まだ信用しきってないみたいなので、次のアプローチだ!
「……だったら!福ちゃんがあなた以外の人と付き合ったらどう!?想像してみて?」
私は、今後この言葉を絶対使わないようにと心に決めた。
これは言っちゃダメな言葉。忘れないように。
あんな怖い無神さんもう見たくは無いかも。