side鳥木福
ツカツカツカ……
「……〜〜ッ!!」
「……ぇ!」
……なんで私歩いてるの?さっきまでご飯を食べてて……
「ねえ鳥木!!」
急に肩を掴まれる。
「ッ!!」
「待ちなさいってば!!何!?急に自分のお金だけ置いて!」
振り向くと……ディミトリウが……
「あっ……ご……ごめん……」
「カノーテス様!」
「カノカノ、ふくふく……どうしたの?」
ディミトリウに呼び止められ、後ろから憎田と中曲瀬が走ってくる。
……私……なんで……
「せっかく愛が唇読んでくれてるのに……」
あ……そうか。
「ご……ごめん。……カンナちゃんが……私の事好きって言ってたのが……恥ずかしくなっちゃって……」
すごく恥ずかしくなって……出て来ちゃったんだ……
「何よ今更……あれだけ引っ付いてたのに。」
「それは!……そう……だけど……」
「んふふ……顔……真っ赤。」
「うっ……みっ見るな!」
羽で顔を隠す。クソ……調子が狂う……
「引っ付いてたのも……本能的なものだから……」
「……確か梟は独占欲が強いのでしたっけ?」
「……自分のものって決めたら……大切にするし……ずっとぺたぺた触っちゃうんだ……小さい頃からの癖。治んない。」
「……で?相手の恋を自覚した瞬間を見て恥ずかしくなっちゃったの?」
ほんとにこの女は……私の言いたくないことをズバズバと……
「……う……うん……多分そう。」
「乙女ねぇ?」
「うるさい。」
うぐぐぐ……なんか負けた気分。
「まぁ……もうそろそろいい時間ですし……お嬢様方と鉢会うのも何ですので、もう帰りましょうか。」
「そうね。私は迎え呼んでるからここで。日巡璃に何かあったらお願いね。」
「任せてください。」
「ん。」
「……。」
この3人は……槍田の事が本当に好きなんだ。…………それに比べて私は……カンナちゃんに向き合えてない。逃げてる。
「鳥木。」
「…………何。」
「さっさと言っちゃった方が身のためよ。じゃあね。」
「…………ふん。」
「素直じゃないですね。」
「カノカノも……ね。」
……私素直になれるかな。カンナちゃん……
side槍田日巡璃
「福が……誰かと?」
「うん!そうだよ!嫌じゃないの?」
「…………。」
ちなみに私だったらすごく嫌。すごく嫌って言葉で表したくないくらい嫌。
無神さんも……嫌だったら……もしかしたら……
「…………福が…………私以外と……?……そんなの……そんなの……」
「……?」
「………………」
あれ?どうしたの?何か……
「………………。」
何かおかしい。
「ねえ。槍田さん。」
「!……あ……何?」
背筋が……伸びた。違和感。それと冷や汗。なんだろう。何か……
「もしもの話よね?」
「そ……そうだよ!」
何かダメなものを目覚めさせてしまった感じ。例えるなら……大好きな人の良くないものを見てしまった時のような……
「そうよね。実際に福が付き合ってる人がいるって話じゃないわよね。」
「うん。私福ちゃんの恋人事情知らないよ。」
「そうよね。私が知らないんだもの。他の人が知ってるわけないわよね。」
「う……うん。……ねえ無神さん。何かあった?」
「うふふ。ありがとう槍田さん。私……大切なものを手に入れれた気がするの。」
私にニコリと笑みを向けてくる無神さん。……えと……なんか……なんか怖いです。すごく怖い。怒られてるとか、悪いことをした時とかじゃない……なんだろう……潜在的な怖さ?
「そ……そう?ならよかったよ!」
「……ねえ。槍田さん。早く帰りましょ。福に会いたくなっちゃった。」
「わ……わかった!うん!じゃあ会計済ませちゃお!」
「うふふ。そうね?……待っててね?福。」
「……。」
も……もしかしたら……私……目覚めさせちゃいけないものを目覚めさせてしまったのかも……!!
ごめんなさい福ちゃん!!先に謝っておきます!!!
side鳥木福
「……。」
寮に帰ってきてから……ソファに座って……ぼーっと。何も考えられない。
カンナちゃんは私のことが好き。あんなにまっすぐ好き。……嬉しい以上に……どうすればいいのかわからない。
初めてだもん。私の好きに答えてくれた人。家族以外で。
「……着替えないのですか?」
「あんたたちだって。」
目の前の憎田と中曲瀬も着替えてない。
「そろそろお嬢様がお帰りになる時間なので。着替えていたらお迎えが出来ません。」
「私は……そろそろお風呂だから。どうせなら。」
「ふーん。そっか。」
…………とりあえず着替えよう。そこから考えよう。何するか、何したいか。
カンナちゃんとどんな関係になりたいか。しっかり精査しよう。……まずはここからだね。
「……よし。とりあえずお風呂行ってくる。」
「ん。行ってらっしゃい。」
ソファから立ち上がろうとすると……
ガタガタ……バタバタ……
なんか……入口がうるさい?
と思ったら、すごい勢いで槍田が部屋に入ってくる。
入ってくるなり私を見つけたのかすぐ近くに来て、目の前に座り込む。
「福ちゃん!!ごめんなさい!!」
「え!?槍田?何が?なんの話!?」
「私……もしかしたらすごい子を目覚めさせちゃったかもしれない!!」
「……はぁ?話が見えてこない……ん……だ……けど……」
槍田が謝ったと同時に……視線が……前を向いた。
カンナちゃんが帰ってきてる。嬉しい……以上に……背中に悪寒が走る。
…………カンナちゃん??
「福♪」
「え……ぁ……か……カンナ……ちゃん?おかえり……」
お腹の底が冷える。なんだろう……何が……何かがおかしい。
いつものカンナちゃんだけど……いつものカンナちゃんじゃない!!
「ね。福……私の部屋に行かない?」
カンナちゃんが私に近寄って……私の腕(羽)を取る。
カンナちゃんのいつもの甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「え?……うん……いいけど……」
「嬉しい。……じゃあ行きましょ?」
カンナちゃんに引っ張られるようにカンナちゃんの部屋に足を運ぶ。後ろを振り返ったら、槍田が頭を下げてた。……なんで??あの後何かあったの?
バタン。
カンナちゃんが後ろ手にドアを閉める。
「カンナちゃん。私今日外でててさ……汗かいてるんだよね。一緒にお風呂入らない?」
「外?……どうして?」
あれ……?なんか……寒さが……
「え?」
「どうして外に?福……今日予定無いはずだよね?」
「カンナちゃん……?どうしたの?」
ガチャン
「……え?」
「ねえ福。私の質問に答えてよ。……なんで外に出てたの?」
ジリジリとカンナちゃんが詰め寄ってくる。
後退りをしようにも、ぽすんとカンナちゃんのベットに腰を落とす形に。
「ねぇ。……福。」
「あの……えと……なんで鍵……」
「福。質問に答えて……?もしかして……恋人ができたの?」
「そんなことない!……そんなことないけど……絶対言えないの!」
「……ふぅん?隠し事……するんだ。」
ギシ……
カンナちゃんが私の足を跨ぐように私の足に座る。
カンナちゃんとの顔が近い。
心臓が高鳴る。……どうしたの……カンナちゃん……
「カンナちゃん……?」
「ねえ福……私の事好き?」
「……!」
「私ね?福のこと好き。大好き。……誰にも渡したくない。」
「私も……!私もカンナちゃんのことが大好き!私だって誰にも渡したくない!!」
「……嬉しい。相思相愛だね?…………ねぇ……福……」
カンナちゃんに抱きしめられ、そのままベットに押し倒される。
「か……カンナちゃん!?私汗かいてて……!」
「だめ。私もう我慢しないって決めたの。」
「……え?」
「今日ね。槍田さんと話してて……福にもし好きな人が出来た時……それが私じゃなかったらって想像しちゃって……絶対に許せないの。」
「…………カンナ……ちゃん?」
「……全部私がいい。全部。全部全部。ぜーんぶ。福の全部が私がいい。」
「…………」
「だから……ね?」
カンナちゃんが私の服に手をかける。
「……ちょ……待って……」
「明日休みで良かったわね。福。……初めてだから……下手くそだったらごめんね?」
「カンナちゃ……むぐ……」
カンナちゃんの顔が……目が……鼻が……唇が……
「愛してる。福。全部私のだから。」
……カンナちゃん♡
槍田日巡璃
【パッシブ獲得】『病み化』
周りの人間を病ませる。罪深い女。