side槍田日巡璃
「よいしょぉ!」
ボゴォ!
「ナイス日巡璃!」
私達は今USJ……嘘の災害や事故ルームにいる。ヒーロー13号先生が作った訓練ルームだ。色んな施設があって、それぞれヒーローの災害訓練に必要な場所となっている。
今日の授業は人命救助……というか捜索というか。みんなが班に別れて隠されているポインターを見つけるという訓練。ポインターは全部で5つ。発光してて音も出てるからわかりやすい……らしい。
予めチームは組まれていて、災害をものともせずに進めるパワー系個性持ちと、捜索用のサポート向きの個性持ちでバランス良く……それでいて施設ごとに適したチームになっている。
ちなみに私の班は、私とカナ……カノーテスちゃんと、天眼くんと流鏑馬くん。場所は山岳ゾーン。山岳事故を想定した場所だ。
……大雨ゾーンが良かったなぁ……水難ゾーンじゃないだけマシだけど。
私カタツムリだから水難ゾーン……っていうか海水が無理なんだよね。水分無くなっちゃう。
おかげで生まれてこのかた海に行ったことないです。死んじゃうからね!
「……そこだな。翼!先導頼む!」
「まかせろや!」
天眼くんがポインターを探して、流鏑馬くんが空を飛んでルートを案内。その間の安全管理は私とカノーテスちゃんの仕事。
「いやー!2人がいると楽だね!道が分かりやすくて。」
「日巡璃。ダメよ慢心は。……本当の山はここまで甘くないわ。」
「……うん。そうだね。」
「本当の山…………いずれやることもあるだろう。訓練だけど全力でやろう。」
「天眼!ちょっと迂回した方がよさそうや!」
「おう!わかった!もっかい見てみる!」
流鏑馬くんは訓練始まってからずっと飛んでるんだよね。……羽が4つもあると空中浮遊が楽なんだろうか。
「……なんで迂回するの〜?」
「でけぇ岩がある!さすがの槍田でも無理やろ!時間取られるわ!」
時間取られる……どかすことは出来るのかな?その下にポインターがあったら大変だね。
「1回見てみましょうよ!日巡璃は無理でも私がいけるかも!」
「わかった!天眼!一応迂回ルートも見ておいてくれや!」
「まかせろ。もうやってる!」
「じゃあ行こっか。」
「そうね。」
「おぉ……。でけぇな。」
「おっきいね〜!たしかに少し骨が折れるかも!」
見つけたのは本当に大きな岩。本当に私以上に大きい。
「ディミトリウ!どうや!」
「……なんだ。これならいけるわ。」
「流石カナ!頼りになる!」
「もう。……やめてよね。」
カノーテスちゃんが岩に触れる。
カノーテスちゃんの個性。ルール……厳密に言えばルールブレイカー。触れたもの、触れ続けてるものにルールを付与する。手を離しても継続する。時間は1分。
「……この岩石は……私から見て前方に向かって弾け飛ぶ。」
そのルールは物理法則を無視できる。
ぼごぉっ……
言われた通りに岩石が吹き飛び、あとかたもなく消える。本当にすごい個性だね……かっこいい。
岩石が消えて少し凹んだ地面にポインターが見える。
「あったわよ。ポインター。」
「本当にあるなんてな…………見落とすところだった。すまない。」
「意地が悪いのね。先生も。」
カノーテスちゃんが岩の跡地……少し窪んだ場所に足を踏み入れる。
すると轟音と共に岩が転がってくる。
「「「はぁ!?」」」
まずい!このままだとカノーテスちゃんが潰される!
「カナ!危ないッ!!」
「えっ!?」
カノーテスちゃんを抱き寄せる。
「んん!?」
「スラッグハンマーッ!!」
カノーテスちゃんに向かって転がってきた岩を壊す。
「…む……むも………日……日巡璃……。」
「怪我はない?」
カノーテスちゃんが私の胸から顔を出す。
「え…………えぇ。」
「すまんディミトリウ!見落としてた!この高度じゃ見えん場所にあったわ!!」
「色々罠があるんだね。……くそ。前方の安全確認を翼に全部任せてた。俺の責任だ 。」
「だ…………大丈夫。日巡璃に助けて……もらったから。」
顔赤いよ?大丈夫??
「大丈夫?カナ。辛いなら言ってね?」
「……うん。大丈夫。……大丈夫。」
なんか上の空の気がするけど…………
「…………イイニオイシタ…ヤワラカカッタ……」
「あかんこれ放心状態や。」
「ダメージが大きすぎたか……」
「?」
そのままもう1個ポインターを見つけてフィニッシュ!
私達は2位だった。くやしい!
ちなみに1位は、火災ルームで、双子ちゃん、天気ちゃん、日河原くん、光くんのチーム。私たちより5分くらい早かったって。完全に負けだよ。
「おつつ〜」「お疲れ様。」
「いやぁ……早いねぇ?」
「手分けしたんだ。双子が美右さんと左久さんで意識も感情も共有できるって聞いたから、天気さんと美右さんと雨降らせながら火災の強いところを担当して、他は左久さんと一緒に暗めの場所を光の個性で照らしながら探した。運が良かっただけだ。」
日河原くんが説明してくれる。…………なるほど。そりゃ早いね。いい作戦だね。
「天気ィ!!」
「わっ!天眼が怒った!!」
……何してるかって言うと、天気ちゃんが天眼くんをいじっただけです。自分よりも遅かったからってそこまで言うことじゃないと思うんだけどなぁ?
もう見慣れちゃったよ。
「幼なじみだから遠慮がないのね。」
……少しものありげな顔で眺めるカノーテスちゃん。
「……カナも遠慮しなくていいんだよ?」
「はっ!?何を……」
「ちょっとだけ羨ましそうだったから……さ。」
「…………ふーん。よく見てるのね。」
「当たり前じゃん。お友達だしね?」
「そっか。……もっと意識させてあげるんだから。」
「…………手加減してね?」
「嫌よ。」
何その顔。……いたずらっ子め!
「槍田さん!暇な今こそ僕と一緒に筋肉トレーニングを!!」
「カナ。GO!」
「うわああああああああっ!?!?」
「かかかかっ!懲りんのう満!」
セクハラ発言は許しません!
「おいひー!」
今日は放課後に女の子達でハンバーガー。双子ちゃんが新作バーガーが出来たから食べに行くらしいので、行ける人で着いてきた。
私と、双子ちゃんと、カノーテスちゃんと、愛ちゃんと、天捻ちゃんと髑髏ちゃん。他の子は予定があるって。残念。
「美味しいね!」「これは未知の味。」
「……髑髏ちゃんはこういう場所来るの?」
「時々。無性にしなしなポテトが食べたくなる時ある。」
「わかる。…………どくどくいいセンスしてる。」
「ありがと。」
天捻ちゃんと髑髏ちゃんは雰囲気似てる同士だからすぐ打ち解けた。早いね??
「……それはそれとして……」
「「…………。」」
目の前のハンバーガーに手をつけてない2人。カノーテスちゃんと愛ちゃん。
「食べないの?」「おいしーよ!」
「んん?……これは…………」
「どうやって食べるのかしら。」
「「えっ!?!?」」
アッ!このふたりお嬢様だからハンバーガーなんて食べたことない可能性あるんだ!!
「も…………もしかして2人ともハンバーガー食べたこと……」
「「ないわ。」」
「「!!」」
「……ありえない。こんなに美味しいのに。」
「お嬢様の弊害。」
「…………どうやって食べるの?食器がないわ。」
「……そのまま手で持って食すのですか?……汚れそうですね。」
おぉ…………こういうの漫画の世界だけじゃないんだ。なんか感動。
ふたりが恐る恐るハンバーガーの包装紙を開ける。
「そうそう!」「がぶっと!」
「「…………いただきます。」」
がぶ…………
「……ドキドキ」「ハラハラ……」
「カノカノ。あいあい。どう?」
「…………美味しい。」
「なるほど……パンと具材が良いバランスで入ってますね。サンドイッチ…………よりはジャンキーですけど。嫌いじゃないです。」
愛ちゃんが自分の口元を拭きながら答える。
「「「やったー!」」」
「これで2人も……ジャンキーガールの仲間入り…………だね。」
「ジャンキーガール?そのようなものがあるのですか?」
「ないよ。天捻ちゃんの嘘。」
「はぁ……だと思いました。」
「いいじゃん。ジャンキーガール。中曲瀬、私がついてるよ。」
「美右も!」「左久も!!」
「…………なんか勝手に普及してる。」
「ご馳走様。」
カノーテスちゃんが食べ終わったらしい。
「早!!」
「…………パパとママに言って取り寄せてもらおうかしら。」
「太るよ?」
「…………私が食べたことないものでも………………本当に美味しい。よくこんな安くて美味しいもの食べずに我慢できるわね?」
「我慢してるんだよ。みんな我慢してる。」
「そうなの?」
「これは研究して私のハンバーガーをお嬢様にお作りしたいです。」
「え!いいの!?愛ちゃんの料理美味しいから好きなんだよね!」
「はぁん!恐悦至極にございますぅ!!」
愛ちゃんが身体をよじる。
「キモ。」
そんなこと言わないの。