※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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A組B組対抗訓練⑦

 

 

 

 

 

 

side無神神奈月

 

 

 

 

『おん?どったの?』

 

『相談がありまして……』

 

 

夏休みが終わってから少ししたある日。私はまたブラッドロータス先生の所に顔を出していた。

 

『相談か!いいよん。』

 

今までしてたであろう仕事を1度中断して聞いてくれた。こういう気遣いができる大人はいい人。私の長年の経験。

 

 

『ありがとうございます。おかげ様で先生とまた稽古が出来るようになりました。』

 

『うんうん。良かったね!』

 

『それでなんですが、先生と色々相談したんですけど……』

 

『問題あった?』

 

『……はい。これなんですけど……それが……あまりにも人間離れしてるというか……』

 

ブラッドロータス先生の前に巻物を取り出す。

 

 

『巻物……なんか仰々しいわね?……見てもいいの?』

 

『はい。是非。』

 

ブラッドロータス先生が巻物をペラっと捲る。

 

 

『…………おぉ。……お?』

 

『……。』

 

『…………いやぁ……?何この……なにこれ?』

 

『先生が……理想の技を書き込んでみたとの事で……』

 

 

そうです。私の先生の理想を詰め込んだだけというか……普通の人間にはできないんですよね。

 

人間離れしてます。色んな意味で。

 

 

『うーん……実現不可能……に見えるね??』

 

『はい。なので相談をと……』

 

『……ふーん。』

 

ブラッドロータス先生が少し黙り込む。

 

 

当たり前です。私も何度も読み返しましたけど、書いてあることが滅茶苦茶過ぎて少し笑えてきましたもん。

 

書いてあることはざっくり言うと合気道のその先。相手の動きを利用して受ける合気道じゃなくて、自ら攻める合気道。

 

それは合気では無いのでは?という話は一旦置いておいて、相手の少しの動きでも何倍にして返すなんて出来るわけないです。

 

 

ただ……できる人は居るのでしょうか。さすがに先生は……どうなんでしょうか???

 

『よし!やってみよう!』

 

『え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『え?』

 

運動場。ブラッドロータス先生が放課後貸し切ってくれた。

 

一応コスチュームを着ています。私のコスチュームは道着と袴をモチーフにして少し動きやすくした形。先生へのリスペクトも兼ねてます。

 

 

『どうしたの?わかんなかったらやってみるは大事だよ!ってことで助っ人も用意しました!』

 

『お久しぶりですね。無神さん。』

 

ブラッドロータス先生が連れてきた助っ人は、ブラッドヘリアンサス。同じ事務所なんでしたっけ?そういえば職場体験の時に1度一緒に仕事した気がします。

 

『は……はい!お久しぶりです!』

 

 

『1回私とブラッドヘリアンサスで試してみるから、出来るなら出来るってことだよ。』

 

『私も読みましたけど……まぁ頑張ればって感じじゃないですかね?』

 

『……。』

 

ふたりは話しながら距離を取る。……え?できるの?

 

 

『例えば……』

 

ふたりがまっすぐ走り出す。

 

ブラッドヘリアンサスが繰り出した拳を、ブラッドロータス先生が円を書いて受け流し、掌底。

 

スパァン!!

 

ブラッドヘリアンサスが吹き飛ぶ。

 

 

『!!』

 

くるんと空中で一回転。何事も無かったように着地。

 

 

『こんな感じ?』

 

『流水さん?手抜きましたよね?』

 

『被身子ちゃんだってだいぶ緩かったよ?……まぁでも何とかできたね!』

 

『うーん……流水さんのセンスあってこそだと思うんですけど……』

 

『えっ……えと……え?』

 

 

目の前の光景が信じられない。攻めの合気道。

 

『簡単に言うとカウンターパンチだね〜。いやまぁそれだけじゃないんだけど。』

 

『相手の攻撃の軌道をずらす。真っ直ぐな攻撃は横へのエネルギーに弱いですから、簡単に逸れます。回し受けで遠心力も込めて、自分はまっすぐ攻撃を通す。……流水さんが本気出したら多分壁まで吹き飛ぶんじゃないですか?相手の力次第もありますけど。』

 

『どうだろ〜?相手の勢いを殺しきらないといけないからだいぶ負荷かかりそうだけどね〜。』

 

『…………。』

 

 

回し受け……相手の速度を利用する。なるほど……

 

『ま、多分こんな感じじゃないかなって。これをどうやって形にするかは無神さん次第だけど……どう?何か閃きそう?』

 

『……やってみないと……なんとも……』

 

『『だよね〜。』』

 

 

ハモった。すごく仲良しなんですね。

 

それで何度か試してみた所……

 

『ハッ……ハッ……』

 

 

成功しない。きちんと体重が乗らないというか……今まで私が個性の出力だけで攻撃していた事が痛いほどよくわかる。

 

『難しいよね〜。相手ごとにタイミングが違うし、狙う場所も叩く場所も合気道には無いことだからね。』

 

『まぁこればっかりは慣れですね。頑張ってくださいとしか……』

 

『はい!』

 

でもこれで先生との訓練方針がわかった。この調子で伸ばしていけばいい。あとは発想力。

 

 

 

 

来る日も……

 

 

『こういうのがいいんじゃないでしょうか?』

 

『ふむ。であればこうした方が……』

 

『はい!先生!』

 

 

 

 

 

 

 

来る日も……

 

 

『回転に身を任せると体重を乗っけやすいよ。』

 

『……ブラッドロータス先生は合気道の経験が?』

 

『独学。』

 

『どく……がく……』

 

『流水さんの発言はあんまり鵜呑みにしない方がいいですよ。この人センスの塊なので。』

 

『そう……ですね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

来る日も……

 

 

『福!お願い!!』

 

『わかった!!……とおっ!!!』

 

『ぐぅっ!?』

 

『カンナちゃん!?大丈夫!?』

 

『……だい……じょうぶ!もう1回やろ!絶対モノにする!!』

 

『カンナちゃん……うん!私も頑張るよ!!』

 

『ありがとう!福!!』

 

 

 

 

来る日も身体に叩き込んだ。

 

この形を。私だけの形を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……無念無刀流……?」

 

「……見せてもらいましょか!!!」

 

来る!

 

 

「流鏑馬!?」

 

流鏑馬くんが空高く舞い上がり、突進してくる。

 

縦回転+かかと落とし。高さと回転を乗算したいい攻撃。

 

「……。」

 

少し上体を反らし、腕を回して相手の攻撃を横に逸らす。

 

そのまま息を一気に吐き出し、相手の胸目掛けて掌底。

 

 

「ぐほぁっ!?」

 

流鏑馬くんがすごい勢いで吹っ飛ぶ。

 

「流鏑馬ッ!!……チィッ!!」

 

「無念無刀流。鬼丸。」

 

相手の勢いそのままに攻撃だけを殺し、カウンターで掌底を叩き込む技。

 

骸骰さんが突っ込んでくる。

 

 

「肋骨砕きィ!!」

 

大きい横振り。食らったらひとたまりもない。

 

でも。今の私なら!!

 

 

「フッ!!!」

 

無念無刀流!!三日月!!

 

相手の攻撃が当たる時、私の個性最大出力であえて身体で受けることで、相手の攻撃を砕く技。八極拳の鉄山靠のような技。

 

相手の骨が砕ける。

 

 

「!!??……クソがっ!!髑髏割りィ!!」

 

「……」

 

 

一瞬で懐に潜り込む。攻撃は当たらない!!

 

「!!」

 

骸骰さんが距離を取ろうと後ろへ飛ぶ。

 

 

今!!

 

その飛びに合わせて私も飛び込む。

 

 

「!?」

 

骸骰さんの宙に浮いた足を蹴り上げ、空中でバランスを崩させる。

 

そこに正拳突き。

 

無念無刀流……数珠丸!!

 

 

「うぐぁっ!?」

 

さっきまでのように骨で咄嗟に守ったようだが、さっきまでの私の出力と思わないで!

 

防御の骨が砕け、地面を転がる。

 

ただし流石骸骰さん。すぐに起き上がってくる。

 

 

「てめぇ……ゼッテェ許さねぇ!!」

 

「くそっ……待てや骸骰!」

 

流鏑馬くんが合流。

 

 

これでまた2対1……

 

「流鏑馬!一緒に行くぞ!!」

 

「はぁ!?……クソッ……わかったわい!!」

 

ふたりで突っ込んでくる。骸骰さんの頭に血が上ってるようで……

 

 

「……。」

 

判断を間違えたわね!2人とも!!

 

 

無念無刀流……

 

ふたりの攻撃を、間合いを詰めて円で受け流す。

 

「「!!」」

 

「フッ!!!」

 

 

勢を殺さず……さっき見せたのにね!!

 

「うぐぉあっ!?」「ぐはっ!!」

 

鬼丸。

 

 

 

 

 

ふたりが吹き飛び、地面に叩きつけられる。

 

「……ハァッ……ハァッ……」

 

 

気絶……してるみたいね。

 

私も地面に座り込む。

 

「ハァーッ……ハァーッ……」

 

 

無念無刀流は諸刃の剣……私の体への負荷が尋常じゃない。息を吸う時間。止める時間。一気に吐き出す時間。

 

時間とタイミング。どちらもかなりの集中力を使う上、普段出さない出力で行動してる為身体にかなりダメージが来る。

 

だから……

 

 

「美右!参上!!」

 

「くっ……別処……さん……」

 

 

終わったあとが相当苦しい。動けなくなってしまう。

 

「無神ちゃんごめんね!漁夫の利作戦だ〜!!」

 

「……ハァ……ハァ……」

 

絶体絶命……

 

 

 

 

ポヨン……

 

するとどこからともなく出てきた泡の手が、別処さんを包み込む。

 

「むわーっ!?」

 

「つ……捕まえた……どこおったねんほんま……」

 

泡の手の主がひょっこり顔を出す。

 

「ハァ……ハァ……泡沫……さんっ……!!」

 

「逃げ足だけは速ぇんだから……委員長!あとはそこのふたり檻に入れたら勝ちだな!?」

 

 

「おっ……お願い!!」

 

泡沫さんがふたりを回収。3人とも檻に入れた。

 

 

 

 

 

これで……!!

 

「委員長!やったぜ!私たちの勝ちだ!!」

 

「ハァ……ハァ……やった……わね……」

 

「大丈夫か?肩貸すぞ?」

 

「……ハァ……ハァ……ありがとう……」

 

 

 

何とかゆっくりみんなのいる場所に戻る。

 

 

 

「カンナちゃん!!」

 

福に抱き上げられる。……安心する……

 

 

「海鈴……?試合中のあれは……?」

 

「不可抗力だ!!!」

 

「よくやったぜ!2人とも!!」

 

「委員長!かっこよかった!!」

 

みんなからの祝福。……ふふ……A組勝利に貢献できたかしら。

 

「早く救護室連れていった方がえんじゃなーい?」

 

「……私が連れていく。」

 

 

 

「無神さん!!」

 

「……槍田……さん……」

 

私を呼び止める声。槍田日巡璃。私の目標。

 

 

「凄かった。すっごくビリビリきた!!」

 

「……!」

 

「無神さん。……ううん。神奈月ちゃん!次やるときは……絶対。本気!」

 

「!!……ええ!ええ!!日巡璃さん!……私……もっと……強くなってるから!」

 

「うん!全力でやろ!!」

 

 

私の願いが届いた。それだけでも嬉しかった。

 

「む〜!!槍田!!どいて!!」

 

「わわっ!?ごめん福ちゃん!!」

 

救護室に連れていかれる視界の端で、ブラッドロータス先生が少しだけ笑ってたのが見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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