side憎田愛
カタカタ……カタカタ……
「…………フーッ。」
ペラペラとノートを捲る。昨日の予定は……
カタカタ……カタカタカタ……
よし。こんなものでしょうか。
「……ふふ。」
私の日課。お嬢様の予定を残すこと。毎朝お嬢様を監視……見守り、お嬢様の全てを記録すること。
「…………新しいメモ帳買わなくてはいけないですね。」
4冊目。少しづつ増えていくメモ帳を見ると、あの私がここまで熱中できる人を見つけれたのだと少し嬉しくなる。
「……よし。今日もやりましょうか。」
さて。記録を取ってるのは私の欲望だけではないのです。
お嬢様の体調管理。お嬢様の体を健やかに保つため。
体重。身長。スリーサイズ。それだけではなく全ての数値を把握せねば。お嬢様になにかあってからでは遅い。
「……お嬢様……少し体重が……いや。胸が少し大きくなられて……であれば食事はあまり変えなくても良さそうですね。…………もっと大きくなるのですか?アレが?」
自分の胸を見下ろす。
「…………末恐ろしいですね。」
私の手に収まるサイズの慎ましいものは……お嬢様のものと比べると大層貧相ですが……
「……お嬢様は大きい方が好みでしょうか?」
またお嬢様に聞いてみましょう。お嬢様なら答えていただけるハズです。
「…………昨日は朝起きるのがいつもより30分早いですね?2度寝をされていたのはそうなのですが……眠りの質が悪いのでしょうか。新しい寝具を検討してみてもいいかもしれません。」
「昼食は食べる順番がいつもと違いますね……もしかしたらお口に合わなかった……?いえ、お嬢様の好みはある程度把握しております。であれば……お嬢様は好きな物は最後に残すお方なので……なるほど。お嬢様はこういう味付けもお好きなのですね。」
「昨日は就寝時間が少し遅めですね。お嬢様を寝かせなかったのもありますが……それにしても遅め……いや。今朝がいつもより遅かったので時間はあまり変わらないですね。であれば安心……いや、一応チェックをつけておきましょう。」
お嬢様の全てを管理して。お嬢様の血肉全て私が作ったもので出来ていると考えるだけで……
「……ふふふふ。この権利は誰にも譲れません♪」
別のウィンドウに視線を落とす。監視カメラの映像。
お嬢様がお風呂から帰られたみたいです。天捻様も部屋に入ってきてます。
あー……あれだけスキンケアをなさるようにと……髪もあんなにびしょびしょで……
「…………もう。風邪を引かれたら一体どうなさるおつもりですか?」
看病はいたしますが……
……お嬢様の看病??
「ふむ…………最高ですか?」
いやまちなさい。私。お嬢様が苦しむのは1番あってはなりません。…………いやでもお嬢様が私を頼ってくれるのであれば……弱いお嬢様が見れるのは……
「…………。」
心がふたつある。お許しくださいお嬢様……卑しい私めの欲望を……
『ハクション!』
お嬢様がくしゃみを!?!?まずい!!早くお身体を温めねば!!
パタンとパソコンを閉じて毛布を持ってお嬢様の部屋へ。
「……。」
……鍵はしっかりかけておきましょう。
こんな部屋……誰にも見せる訳にはいきません。
お嬢様の写真。服。ペン……色々なモノが部屋中に飾られた私の憩いの空間。
「ふふふ。」
お嬢様……もっと私に知らない貴女を教えてくださいませ?