side槍田日巡璃
「えっほ!えっほ!」
愛ちゃん!愛ちゃん!どうなったかな!
「楽しみ……?」
「うん!愛ちゃんだもん!」
えーっと確か……愛ちゃんの相手は……
A組
天野 九積 桂田 爪吹
vs
B組
憎田 氷叢 日河原 無頭
……ガチガチに硬い天野くん。変身できる変乂ちゃん。体毛で拘束できる安毛ちゃん。遠距離攻撃できる茜ちゃん。
うーん……タンク、シューター、それをサポートできるサポーター2人。すっごくバランスがいいね。個人的には変乂ちゃんを先にどうにかしたいけど……どうにかできるのかな。
それはあっちもわかってそうだし……結構長い試合になりそう。
「勝てるかな……?」
「勝てるよ。愛ちゃんだし。」
「んふふ……信頼……だね?」
「そうだね。私は愛ちゃんを信じてるよ。」
なんだか天捻ちゃんも嬉しそうだった。
『試合終了〜!!!』
私たちが戻ってきた頃には……何と……
「「え?」」
『4人残しでB組圧倒的勝利!!これで勝ち点は勝ったぞB組!!』
『A組も頑張ったんだけどね!憎田少女が大暴れしてたね!』
試合が終わっていた。
「「「イエーーーイ!!」」」
「「え??」」
何が……起こってるの……???え?勝ち??
「あ。委員長!おかえり!!」
先に帰ってきてた双子ちゃんの興奮冷めやまぬ様子……余程すごい試合だったんだね??
「ただいま……な……何があったの?だってまだ10分くらいしか……」
「めっちゃ凄かったんだよ憎田!試合始まってすぐ敵陣に突っ込んで個性使う暇も与えず蹂躙!速攻だったよ速攻!!」
「みんなもラブミーについていってた〜」「息ぴったり!」
引子ちゃんも説明してくれる。す……凄かったんだ……愛ちゃん。かっこよかったんだろうなぁ……どんな動きしやんだろ。多分変乂ちゃんの個性を自由に使わせないためだろうなぁ……
えぇ〜……
「……かった。」
「「「え?」」」
「見たかったッ!!!!!」
「「「!」」」
「見たかった!!見たかった!!見たかったよお!!!」
みんなだけずるい!!かっこいい愛ちゃん見れるの!!ずるいずるいずるい!!!
「委員長……落ち着いて……」
「おちけつおちけつ。」「けつおちけつおち。」
いいなーーー!!本当にいいなーーーー!!見たかったなーーーー!!!!
「日巡璃。」
「カナ?」
「大丈夫。撮ってるわ。」
カナがスマホを見せてくれる。
「〜〜!!!カナ!!ありがとう!!!!」
思わずカナを抱き上げてしまった。すっごく嬉しい!!さすがカナ!!
「もう……私は日巡璃の事なんでもわかるわ?当たり前の事じゃない。」
「えへへ!ありがと!ありがと!!」
「ふふ♪……さて。日巡璃。まずはお祝いしてあげましょ?」
「え?」
カナが指さした方向に視線をやると、愛ちゃん達が帰ってきていた。
「!!……愛ちゃん!!」
「お嬢様!!」
愛ちゃんがテトテトと駆け寄ってくる。息が上がってる。いっぱい頑張ったんだね!
カナを一旦下ろして愛ちゃんに向き直る。
「お嬢様!私の勇姿……見てくださいましたか!?」
「……ごめん。実はさっき帰ってきたんだ……」
「そんな…………」
「でもでも!カナが動画撮ってくれてたって!後でいっぱい見るね!!」
「!」
愛ちゃんがカナに目配せを。カナはやれやれと言ったポーズで肩をすくめる。
「それより聞いたよ!!すっごく活躍したんだよね!?」
「!!……はい!!私だけの力ではありませんが、お嬢様の事を想うと力が湧き出て……きっとこれは愛の力です!間違いありません!」
「えへへ!なんか恥ずかしいね!」
愛の力かぁ……んふふふふ。
……あれ?
思わず愛ちゃんの顔を両手で包む。
「愛ちゃん!?怪我してる!!」
よく見ると頬を少し切ってる!!愛ちゃんの綺麗な顔が!!
「あぁ……少し油断して爪吹様に……」
「大丈夫!?愛ちゃんの綺麗な顔が……!!」
「綺れ……!?」
ボフン
「あれ!?」
愛ちゃんがぐったりしちゃった!?大丈夫!?
「……日巡璃。その辺にしてやんなさい。愛が耐えれてないわ。」
「え?え?」
どういうこと!?
「きゅ〜……」
「それより。日巡璃。コレ持ってて。」
カナからスマホを渡される。
「あ!うん!」
「天捻。行くわよ。」
「ん!ひまひま!見ててね!」
「うん!2人のかっこいいところ見てるよ!」
「ん!」
「ふふ。」
そっか……もう5試合目か!……ほんとに愛ちゃん速攻だったんだね。くぅ〜……見れなかったのが本当に悔しい。くそう……
よし!愛ちゃんの試合が見れなかった分、カナと天捻ちゃんの試合を応援するぞ!!
「よーし!B組全員で応援だ!!いくぞーー!!」
「「「おー!!」」」
sideカノーテス・ディミトリウ
5回戦
A組
鳥木 眠瑠 暴例 依代
vs
B組
ディミトリウ 能面 弾野原 離 中曲瀬
「……。」
「心配……?」
「……ちょっとだけね。」
今の戦績。A組が2勝残人数6。B組が2勝残人数9。人数では勝ってるが……ここで負けると一気に逆転される。A組はガツガツ攻めて、B組は守る試合をするのがセオリー。……ただそれは理解した上で型を破ってきそうなのが数人。
特に……
「…………。」
鳥木福。アイツ。
空中の索敵能力と、フクロウの身体能力。彼女だけでも厄介だが……何より私のチームには能面しかまともに近接で戦える個性がない。
相手はふたり。鳥木と暴例。それに依代と眠瑠のふたりでサポート。
能面に負担が大きすぎるわね。さて……どうしたものか。
「能面は大事にしたいね。」
「そうね。初っ端から捕まるなんてことはあってはならないわ。」
「そうだネ。もし捕まってしまった場合が苦しすぎるヨ。」
「一旦どうする?」
「眠瑠の個性を考えると、あんまり固まりたくはないけど……固まった方が良さそうね。」
「そうだネ。眠瑠クンの個性で全員寝かされたら最悪だヨ。」
眠瑠 枕 (ねむるまくら) 個性絶対睡眠。自分が眠る変わり、半径10mのありとあらゆる生物を眠らせるフィールドを作り出す個性。
「……眠瑠には気をつけましょう。それと依代も。」
依代 神代 (よりしろしんだい) 個性 生命譲渡。自分が触れた無機物を生物のように使役できる。大きさは2mまで。同時に3体まで使役可能。細かい命令は難しい。
「そうやな。どちらも相当厄介な個性だ。おいどんではどうにもできんばい!」
「……。」
これは試合。命が無くなる訳じゃない。
だからこそ勝ち負けじゃないのはわかってる。自分の課題をどれだけ見つけれるか。だけど……
「……日巡璃。」
見られてるんだもの。私の愛しの彼女に。
かっこいいところ見せたいわよね。
『第5試合!試合開始ーー!!!』
見てて。日巡璃。
かっこよく勝ってみせるわ!