side今昔鏡見歳乃
「今昔鏡様!おはようございます!」
「今昔鏡様!今日も大変お日柄もよく……」
「今昔鏡様!今日も大変麗しゅうございます!」
「今昔鏡様!今日のお昼はどなたかと予定がありまして?」
「今昔鏡様!今昔鏡様のためにクッキーを焼いてきたのです。一緒に……」
「……。」
聖徳太子にでもなった気分ですわ。
慣れたものですが。
あの雄英高校との合同訓練の結果、ヒーロー科の意識は少しづつですが変わりつつあり、質の高いインターンを重ねている生徒もちらほら。
受け入れ先のヒーロー事務所からも評判が高いです。私が奔走した甲斐がありました。
その結果……私のことを崇拝する生徒が増えまして……毎朝毎休憩時間毎放課後……このように人に集まられて身動きが取れなくなるようになりました。……毎日。
「皆様。私とお話したいのは大変嬉しゅうございますが、お花摘みに行っても宜しくて?」
「「「はい!!」」」
こういう時だけ息ぴったりですのね?
「……ふぅ。」
トイレに籠り、スマホをつける。
『おはよう!ミトちゃん!』
「……ふふ。」
毎朝毎朝ヒマちゃんからメッセージが飛んでくる。もちろん毎朝返してます。当たり前です。友達ですから。
朝と寝る前。時々お昼にもお弁当の写真と感想が来る。……なんて言うんでしょう。対等な関係?今の私にはすごく心地がいいです。
そういえば最近ヒマちゃんの声聞いてませんわね。暇が出来たらヒマちゃんに連絡を入れてみましょうか。
お花摘みを終え、トイレから出ると……
「今昔鏡様!このような場所で会えるなんて……!!」
「今昔鏡様!?うわぁ……今日の私めは運がいいです!」
「今昔鏡様!生徒会の話なのですが……」
こうなる。……こうなる。
さっきまでの気持ちはどこへやら。まぁ悪い気はしませんが。皆様からの純粋な好意なので無下にする訳にはいきません。
少々立ち話をしていたところ……
「皆様!!今昔鏡様は次の授業の準備があります。そろそろ解放して差し上げては!?」
「「「!!」」」
どこからともなく1人の声が響く。その一声で皆様謝罪されながら散り散りに。
「今昔鏡様。ご無事ですか?」
「清寺さん。ありがとうございます。」
「いえ!私めに出来ることをしたまでです!」
清寺 愛留真子(きよでら あるまこ)さん。私と一緒に合同訓練を受けに行き、そのうえで仮免許試験を突破した実力者。私とは別の会場でしたが。
前まで私以外に傲慢でトゲのあった彼女ですが、最近は物腰柔らかく、そのうえで私の言いづらいことを率先して言ってくれる心遣いの出来る方になりました。
自称私のことを学年1理解してる人……らしいです。まぁあながち間違っておりませんが。
「清寺さんは次の授業の準備は終わってまして?」
「はい!当然でございます!」
「よろしい。それでは共に教室に参りましょうか。」
「はい!」
清寺さんがスマホをポチポチ。……多分他の子達と連携を取るのでしょう。
他の子達というのは合同訓練に来た方々。亞里亞 怘(ありあ かため)さん。万寿 兆千(まんじゅ ちょうせん)さん。鬼迅 華純子(きじん かすみこ)さん。
皆様きちんと私と節度を持って接していただけるようになりました。崇拝してるのには変わりありませんが。
この方々と接するのは私も肩肘張らずにお話が出来るので非常にありがたいです。
…………さて。次の合同訓練は誰を連れていきましょうか。