side槍田日巡璃
「全部吐き出した?」
「……ん。」
泣き止んだみたいだけど……
ぎゅ……
「…………もう少しこうしてようか?」
「……ん。」
この ん。っての天捻ちゃんみたいだね?ちょっとおかしい。
「ふふっ。」
「……?」
「いやいや。そのね、ん。ってのが天捻ちゃんそっくりだなって。」
「…………なんか。……嬉しいです。」
ちょっとはにかみながら笑う千音実ちゃん。年相応って感じだなぁ……
「天捻ちゃんのこと大好きだもんね?」
「はい。私の自慢で、可愛くてかっこよくて……最高のおねーちゃんです。」
「……そっかそっか。……なんかごめんね?」
「……大丈夫です。私の好きは……恋愛じゃないので。多分依存だったんだと思います。」
「……そう?依存も立派な恋だと思うけどなぁ。」
私の周りがそうだし。
「私の場合は特殊なんです。」
「……聞いても?」
「はい。……あまねぇの本当の母親亡くなったのを聞いたのは……小学生でした。それまでのあまねぇは、日常生活にもなんとなく陰が見えてて……友達はいるけどあまり深く関わろうとしなかったんです。」
「…………そうなんだ。」
「はい。だから……私は私なりにあまねぇを助けてあげようって。いっぱい色んなことを調べました。あまねぇの全部を。好きな物嫌いな物。身長体重。スリーサイズ。好きな服。その日の下着。調べられるものは全部調べました。」
「………………え??」
なんか変なこと聞こえた気がする。……変なこと言ってたよね!?
「そうこうしてるうちに……いつの間にかあまねぇに依存していたのかもしれません。あまねぇには私だけいればいいって……どこかで思ってたのかもしれません。」
「……そっかぁ。」
…………あの姉にしてこの妹あり……ってことかぁ。なんかこういうところ天捻ちゃんとすっごい似てるね。
「……私……あまねぇが大好きです。でも……これはきっと恋愛じゃない。姉として。人として好きなんです。……だからあまねぇは日巡璃さんに譲ります。」
「ふふっ……譲るって…………本当に偉いね。ありがとう。」
千音実ちゃんの頭を撫でてあげる。
「…………はい。」
千音実ちゃんも私の胸に頭を預けて……嬉しそうだね?
「……なんか嬉しそうだね?」
「だって……あまねぇが好きになった人ですよ?……そんな人が私のおねーちゃんになってくれるなんて……すっごく嬉しいです。」
「……おねーちゃん……ちょ……ちょっと気が早いんじゃないかな??」
すごいこと言ったこの子!!もう私と天捻ちゃんが結婚すること前提じゃん!するけど!!
「えへへ……おねーちゃんって呼んでいいですか?」
「っ!」
あぁ……この笑顔天捻ちゃんにそっくり!!……弱いんだよなぁ……この顔。
「……いいよ。うん。絶対結婚するし。」
「やった!……私のことあまねぇと一緒にちなって呼んでいいですよ?」
「そう?じゃあちなちゃんって呼ぶね!」
「はい!日巡璃おねーちゃん!」
「…………。」
……なんか……潤うなぁ……心が。
「……コホン。……とりあえず天捻ちゃんのところ戻ろっか?」
「はい!」
ふたりで寮に戻っている時……なんかちなちゃんから視線を感じる……?
「……どしたの?」
「あっ……いえ……日巡璃おねーちゃんって……お胸大きいなって。」
胸?私の胸に目がいってたのか。
「あーこれ?邪魔だよ?」
ちなちゃんはスレンダーさん。綺麗だけど……コンプレックスとかあるのかなぁ?だったらちょっと心配。
「いえ……私はお胸は大きい方が好きなので!あまねぇも大きかったですけど……あまねぇ以上がいるなんて……」
じーっと見つめてくるちなちゃん。そんなに気に入った??
「そう?いつでもハグしてきていいよ?」
「え!いいんですか!!」
「うん。実質妹みたいなものだしね!」
「うわぁ……嬉しいです!おねーちゃん!!」
「うんうん。可愛いねぇ……妹いいなぁ……」
妹……イイ。すごくイイ。
「……私もお胸おっきくなりたいなぁ……」
「ちなちゃんはお綺麗さんだから、今のままでもいいんじゃない?」
「お綺……えへへへへ……そうですかぁ?」
少し照れてるちなちゃん。……妹……イイ!!!
「……妹っていいね。」
「??」
「こっちの話。……あ。」
「え?」
目の前にふたつの人影。あれって……
「ちな!!!」
その声に反応したのか、ちなちゃんが走り出した。
「あまねぇ!!!」
ふたりとも駆け寄って、ひしっと抱き合う。
「あまねぇ!ごめんなさい!!私いっぱい無茶言っちゃって……!!」
「ううん。……大丈夫……だよ。……私も……言いすぎた……」
「そんなことない!あまねぇは……私のこと思って……!!」
「それでも……言い方が……あった。しかも……ひまひまに任せて……本当にごめん。」
「あまねぇ……もう知らないなんて言ってごめんなさい。あまねぇのこと大好きのままで居させて……?」
「ん。……私も……ちなのこと大好き……嫌いなんて言ってごめん……」
「あまねぇ……うん!うん!!よかった……よかったよお!!」
「ちな……何事もなくてよかった……」
「うん……ありがとう。あまねぇ。」
……いいねぇ……姉妹愛ってやつだよね!
「お嬢様。」
「……ありがとうね。愛ちゃん♪」
愛ちゃんも来てくれてたみたいで……本当にありがとう。
「いえ。お嬢様の咄嗟の判断の賜物です。」
「愛ちゃんが居たからだよ。安心できるから。」
「ハァッ……お嬢様ッ……」
愛ちゃんからブワッと桃色のエネルギーが漏れ出す。
「個性個性。」
「あっ……申し訳ありません。」
愛ちゃんらしいなぁ……それだけ私のこと想ってくれてて嬉しいけどね?
「……お嬢様。お召し物が少し濡れてらっしゃいますね?」
「え?」
よく見ると……胸の周りが…………あ。
「そっか。ちなちゃんハグしたから……」
「え?」
「ちなちゃんが泣き止むまでハグしてたんだよね。」
「……ちなちゃん?」
「あぁ、千音実ちゃん。ちなちゃんって呼んでいいって言われたから……」
愛ちゃんがハァと一息。
「…………お嬢様は本当に人たらしですね?」
「そうかなぁ???」
「しかも天然ですか……無自覚。魔性の女です。」
なんか酷い言われようだね????
「愛ちゃん??私そんな女じゃ……」
「事実です。」
「えぇ??」
「お嬢様はそろそろご自身の魅力を認識された方がよろしいかと。」
魅力ゥ……??そんなかなぁ??
まぁちなちゃんと天捻ちゃんが仲直り出来て良かった良かった!
家族は絶対仲良しの方がいいもんね!