sideV
「面会時間は……」
「わかってるよ。事前に案内があったからね。30分だろう?」
「……はい。それではどうぞ。」
ガチャ……
「親切にどうも。」
……少しくらい愛想良くしても良くないかい?
……まぁいい。彼との面会に漕ぎ着けた。それだけでも第1歩だ。
「やぁ。初めまして……かな?」
「……。」
強固なアクリル板。密閉された室内。刑務官は……ふたり。
私は目の前に座ってる男に声をかける。……と言ったものの私が面会を希望したのだがね。
「……誰だ。」
「誰だ?君は少し発言が幼いね?もう少し考えて喋った方がいい。この私が知らないのだから当然だ。安心してくれたまえ。初対面だよ。」
ゆっくりとパイプ椅子に腰掛ける。……雑多な作りだね。
「……。」
「んふふふ。いい顔だ。なにかに絶望したいい顔だ。そういう君だからこそ尚更会いたかったと言える。」
「…………茶化すなら帰ってくれ。」
「そういう訳にはいかない。私も私で話があるのだからね。……白灘睦月。」
「…………。」
そう。私が会いに来たのは白灘睦月。死刑囚。数年前の日本全土を巻き込んだ大戦争で敵として罪の限りを尽くした大犯罪者。
白灘睦月。敵名アンコシャス。
話すにしても……刑務官が邪魔だね。……よし。
パチン!
「……これでいい。」
「?」
「ふふふ。知らなくてもいいことってあるんだよ?」
「……そうか。」
「まぁそう不貞腐れないで。……私はね。君と取引したいのさ。白灘睦月。」
「…………取引?」
「あぁ。このヴィヴィアルスターの名にかけて。君に幸福を与えよう。」
さて……あとは私の腕しだいだね。
side槍田日巡璃
「突撃!!」
ファットガムさんの号令とともに事務所に雪崩れ込んだ。
今回の作戦はチームを分けて全員確保。
人数が多いからこそできる作戦だね。
チーム分けは……
おねーさん。
ファットガムさん。
陽炎先輩+食全先輩
私+反甫先輩+声嗣先輩の4チーム。
「……。」
「……。」
「……。」
気まずい…………!!
いや。そんなこと気にしてる暇はない。ビッグ3のひとり、反甫先輩の実力を見れる数少ないチャンス!ものにしなきゃ!
結構大きな集団らしく、手分けして突入したんだけど……すぐ人を見つけた。
「何モンだてめぇら!!」
「拳銃……!!」
迷いなく拳銃を構えてくる。
初めて見た……けどやっぱこういう団体は持ってるんだね!?
「……私に任せなさい。」
反甫先輩が前に出る。
「え!?危ないですy……」
声嗣先輩に肩を掴まれた。行くなってこと?相手拳銃だよ!?
「近寄ったら撃つぞ!!」
「撃ってみなさい。」
「ぐぅう……オラァッ!!!」
ダン!!
「せんぱ……!?」
「……こんなものかしら?」
「……は……へ……?」
「……止まってる……空中で……!」
相手が撃った弾丸が……空中で止まってる……何が……
「くううッ!!!!」
ダンダンダン!!!
「無駄なのに。」
全部……止まってる……
「……何が……」
ツンツン。
肩をつつかれたので視線をずらすと、声嗣先輩がなにか書いてくれてるみたい……なになに?
『あれが反甫先輩の個性。『反発力』自分の周りにありとあらゆるものを反発させるフィールドを作り出す個性。出力も形状も全部自分の思うがまま。空中で座れるのも、空中浮遊しながら動けるのも全部その個性を応用してるの。』
「…………すっご……!」
「んで効いてねぇんだよ!!」
「腕一本くらいいいわよね?」
すると目の前の止まってる弾丸をひとつ、指で向きを反対に変えた。
「お返しよ。」
その弾丸がまっすぐ相手の腕を貫く。
「ぎゃぁ!?」
「……あれも……個性の応用ですか?」
『そうだね。相手の攻撃を自分の好きに扱える。まさにビッグ3にふさわしい実力だよ。』
「…………。」
すごい。相手拳銃持ってるのに無力化しちゃった……
「とっとと奥行きま……」
「うおおおおお!!!」
「先輩!!!」
奥から人が……!!
「エーーーーッ!!」
大きな声とともに、カタカナのえと伸ばし音が相手を壁に叩きつけて、そのまま押さえ込んだ。
ふと声の主を見ると、声嗣先輩は自分のマスクを整えた。
「声嗣。ありがとう。」
『いえいえ。お互い様ですよ。』
「そ。」
……先輩すごい!!咄嗟の判断。そして私たちに当てないようなサイズと相手を抑え込める威力の調整!!
雄英高校の先輩……みんなすごいなぁ!!!
私も頑張らなきゃ!!
「槍田。そっちはどう?」
「え?もう終わってます!」
「…………ホントにパワーだけなら異常ね。」
「褒めてくれてます?」
「ふん。」
あれから10分程。こっちはある程度人を捕まえて……っていうかすっごく居た気がする。20人くらい。捕まえるだけでも大変だったよ。だって相手武器持ってるし。
…………やっぱいいな。こういう緊張感。若干肌がヒリつく感じ。Mr.Jと戦った時から……こういう時の方が得られる経験値が高い気がする。
『槍田ちゃんは近くで戦ってくれるからすっごくやりやすいよ。ありがとう。』
「えへへ!おねーさんが教えてくれた賜物です!」
「…………。」
……?
「反甫先輩。どうかしました?」
「……なんでも!!」
「???」
なんか声嗣先輩とは仲良くなれた気がするけど……反甫先輩は相変わらずなんだよねぇ……反甫先輩とも仲良くなりたい。
ずーっとツンツンされてるんだよねぇ……?
そんなこんなでこっちは全員の捕獲を完了。あとは警察さんを待つのみになった。
「……反甫先輩って……私の事嫌いです?」
聞くなら今しかない!……嫌いって言われたらどうしよう。泣いちゃうかも……
「……どうしてそう思うの?」
「いや……だって……なんか冷たいし。」
「……。」
無言。
……うぐぐぐ……どうしたものか……
『……素直になればいいじゃないですか。反甫先輩。』
声嗣先輩が助け舟を出してくれる。本当にありがとうございます!
……ん?反甫先輩は事情を知ってるの??
沈黙する事少し。ようやく反甫先輩が重い口を開く。
「…………よ。」
「……え?」
「羨ましかったの!!!」
「うらや……えぇ??」
あのツンツンしてる反甫先輩が!?私を羨ましい!?
「何がですか!?」
「私はッ!!ブラッドロータス先生のッ!!強火オタクなのッ!!!!」
「強火……オタ……なんですって???」
「つーよーびーおーたーく!!何度も言わせるんじゃないわよこのウスラトンカチ!!」
「ごべんなざーい!」
反甫先輩からほっぺを摘まれる。
『wwww』
声嗣先輩!笑ってないで助けてください!!