side槍田日巡璃
「それにしたって……オマエに反甫がこんな素を見せるなんてな。」
「?」
「くくくっ……何があったか知らねぇが、仲良くなってんならそりゃいい事だ。」
「……そう?ですか?」
仲良し……になれたのかな??
『まぁブラッドロータス先生繋がりなので。』
「はぁ!同担拒否のお前が!?珍しいもんもあるもんだ。」
「……この子は情報を仕入れてくれるから。」
「ゲンキンですね??」
「買収されてるじゃねぇか。」
「んな事してるつもりはないです。」
「槍田……次もお願いね?」
ズイッ
「……。」
「私たち友達だものね?」
ズイッ
「……。」
ゴチン!
迫ってくる反甫先輩の頭の上に拳が降ってきた。
「いったぁ!?」
「程々にしてろ。買収されてるとは言ったがどうせお前が無理やり言ったんだろ。何年の付き合いだと思ってんだ。」
結構いい音鳴ったよ!?
「う……うぅ……」
あ……ほら泣いちゃっ……
「すっごく気持ちよかった!!ぶーちゃん!もう1発お願い!!!」
そうでした。この人こういう人なんでした。
「うるせぇ自分の体は大事にしやがれ。」
「優しくしてくれるぶーちゃん!好き!」
「はいはい。」
対応は適当に見えるけど、これも信頼関係なんだなぁ……
『槍田さんはマネしちゃダメよ?』
「わかってますよ!」
……むしろ私が虐められる側だし。
あ、気になったし聞いておこうかな。
「毒島先輩。同棲してるって聞きましたけど、お金どうやってるんですか?マンション?」
「あー……それは恥ずかしい話だが反甫の家が金持ちでな。そこの所は出世払いでどうにかなってんだ。キチンと借りた金は返すぜ。」
「ぶーちゃんとの生活のためだもん!私も頑張るね!」
「お前家事全くしねぇくせによぉ……」
「んふふ〜……ぶーちゃんと一緒ならする!」
へぇ〜……っていうか私の周りお金持ち多くない??いやまぁ日本一の高校だからお金もってないと入れないけどさ?特待生は別ね?
『槍田ちゃん。急にそんな事聞いて……もしかして同棲したい相手がいるの?』
「ぶぇっ!?いやその……!!」
声嗣先輩勘が鋭い!!
「いるぜ。つーかアタシの見た中だと4人いる。」
「『4人!?』」
「……」
頑張って目線をそらす。どうにか何も無いように……
「ちょ!?どういうこと!?浮気してんの!?」
「いや。ちげぇ。ちゃんと全員彼女っぽいぞ。」
「はぁ!?」
『槍田ちゃん!?もしかしてみんなの共有財産になっちゃってるの!?』
「ヤメテクダサイ……ヤメテクダサイ……」
「ちょちょ!?全員彼女!?槍田!?アンタ色んな意味で大丈夫なの!?」
「ぐぎぎ……黙秘権を……」
「そういやひとりはウチのインターン先に来てたな。」
「毒島先輩!!!」
毒島先輩の肩を掴んで揺らす。これ以上ことを大きくしないでください!!!
「いいじゃねぇかそれくらいよぉ!」
「ぶーちゃん!ぶーちゃん!どんな子なの!?」
「えぇ〜?なんかTHE お嬢様って感じの奴だぜ。受け答えも気が強そうだ。暇があればスマホ見てやがる。何見てんのか知らねぇけどな。」
「感じ悪。」
『……槍田ちゃん大丈夫なの?』
ふたりの顔色がぐっと悪くなる。
「それ毒島先輩の伝え方が悪くないですか!?」
「じゃあどう伝えればいいんだよぉ〜……お前と一緒にボディーガードしてから全く話されなくなったんだよ!」
なるほど!!カナってば嫉妬してんのね!一応先輩なんだから敬わなくちゃダメでしょ!!
「うぐぐぐ……多分……嫉妬してるだけかと……」
「……なんだよお前の周りもヤンデレばっかかよ。」
「……も?」
「見ての通りアタシも反甫がヤンデレだからな。」
「えっへん。」
「褒めてねぇよ。それに声嗣の彼女もヤンデレだしな。」
「……え??」
声嗣先輩が急にそっぽを向き始めた。
『黙秘権を行使します。毒島先輩。これ以上喋ったら口の中に声弾詰めます。』
何も見ずにノートにサラサラと……凄いですね?
「あいあーい。」
「えぇ!?声嗣先輩にも彼女いるんですか!?」
『黙秘権を行使します。』
あ。これダメだ。目は笑ってるけど表情全然笑ってない。マスクしててもわかる。
「そもそも声嗣の彼女は他校だから雄英じゃわかんないわよ。」
『反甫先輩!!!』
「えぇ?そうなんですか?」
「文化祭の時は一緒に回ってたものね?イチャイチャしながら。」
『反甫先輩。今なら許します。これ以上何か言ったら声弾詰めます。』
えぇ〜♪ロマンチックじゃないですか!
「うるさいわね。槍田も私らも全員白状したんだから逃げれると思わない事ね!」
『勝手にそっちが白状しただけじゃないですか!巻き込まないでください!』
「槍田は嬉しそうよ?」
『え?』
「え?……そりゃまぁ先輩とは仲良くなりたかったですし。今日一緒に仕事しただけでも楽しかったです!また一緒にチームアップしましょうね!」
「「……。」」
『なるほど。こりゃ耐性ない女の子は堕ちるわけだ。』
「え?」
「無自覚系かよ。こりゃ彼女がヤンデレなのは槍田にも責任があるな。」
「え?」
「彼女さんたち気が気じゃないでしょうね。」
「え?え?」
『槍田ちゃん。頑張ってね?』
「??」
「日巡璃!!今日別の女に変なことされなかった!?」
「ひまひま……お風呂行こ。別の女の匂いする。」
「お嬢様……お嬢様……お嬢様……ご無事で何よりです……」
こういうことかぁ……
とりあえず先輩方と別れて寮に帰ると、速攻で彼女4人に詰め寄られた。
「大丈夫だよ。それよりもカナはなんでいるの???」
「日巡璃に何かあった嫌だから。そろそろ迎えが来るわ。」
「そうなんだ。待たせちゃった?」
「日巡璃が帰ってきてくれるなら言うことないわ。」
「愛されてるなぁ……」
「当たり前じゃない。」
んふ。当たり前が嬉しいね!
「……なぁ。日巡璃。」
「どうしたの佳舞ちゃん。」
「お前の連絡先にいるこの女誰だ?昨日まで居なかっただろ。」
「…………え?」
佳舞ちゃんがパソコン叩いてるかと思ったら、私のチャットの画面を見せてきた。……あ……それ食全先輩の……
「え?それどうやって私のスマホ見てるの!?」
「食全……?日巡璃?」
「あの士傑高校の……ふーん?」
「なるほど……この匂いは……その女の……」
じりじり……
「……えと……あの……?」
なんか詰められてる気がする。
「……『今日は楽しかった♡また会おうね♡プリティーガール♡』だと。……随分仲良ししたみたいだな?」
「え!?そんなお話してないよ!あっちがハグしてきたくらいで……」
「「「「ん?」」」」
「ア……」
「決めた。今日私泊まるわ。」
「その方がいい。……全員でわからせる。」
「お嬢様。お覚悟を。」
「日巡璃。お疲れ様だな。」
「え?え?え?」
「「「「泣いても許さないから。」」」」
夜。みんなが寝静まったあと。
私は濃厚な蜜の匂いと、柔らかい感触に包まれながらふと思った。
「口は災いの元ってこういうことかぁ……」
次からちゃんと気をつけなきゃ。