side槍田日巡璃
「えーっと……それはまたなんで??」
カナのお迎えが来てしまった事もあり、1度寮に場所を移して話し合いを。
天気ちゃんの家は母子家庭らしくて。帰る時間も割と融通が聞くって。
「……」
「青空様。話して頂かないと何も伝わりませんよ。」
愛ちゃんがお茶を出してくれる。
「……ありがと。……うん。そうだね。」
『……。』
カナはビデオ通話で参加です。なんだかんだ相談に乗ってあげるの面倒見がいいよねぇ〜♪
「えっと……A組と合同訓練した日あったじゃん。」
「うん。」
「勝てて良かったですね。」
「ん!楽しかった。」
「うん。……それでね?……B組は勝てたけどさ?私たちは負けちゃったじゃん。」
「そうだねぇ。」
私たちは3試合目だったけど……人数差で負けちゃったんだよね。うーん……もっと私が頑張ってれば……
「あまり気にすることもないと思いますけれど。」
『そうよ。訓練だし。』
「そうなんだけど……さ。」
「?」
「えと……その……」
どうしたんだろ?何か話しにくいことなのかな……?
「無理に話せとは言わんが……お前らしくないぞ青空天気。普段のお前はもう少し煩いだろう。」
「佳舞ちゃ〜ん?言い方。」
「だって当然だろ。あっちが相談したいって言ってるのに口ごもるのは筋が通ってないってもんだ。」
『……まぁ佳舞の言い分にも一理あるわね。』
「カナも?……えぇ〜?……言いづらいことかもしれないじゃん。」
2人ともこういうところはスパッとしてるんだよね。私には真似出来ないなぁ。
「いや!いいよ!……実際私が言えてないだけだし!」
「あまり気にすることも無いとは思いますが、時間が経てば経つほど親御様を心配させてしまいますよ。」
「うっ……そう……だね。」
「ん。……大丈夫?明日にする?」
「…………ううん。……よし!」
ぐっと拳を握って、何かを決意したように口を開く。
「私……あの時広範囲に雨を降らしたんだけど、記憶が無いんだ。」
「「『え?』」」
「……記憶が……無い?」
「なんの事だ?」
「えっと……これだよ。」
天気ちゃんがスマホを取りだして、佳舞ちゃんに画面を見せる。まさに天気ちゃんが雨を降らしたシーン。
いつもの白いモコモコ髪とは違って、髪の毛が真っ黒に染まってる天気ちゃんが映し出されている。
その天気ちゃんが手を振ると、頭から一気に雨雲が舞い上がり大雨を降らす。……すごいなぁ……干ばつ地帯で大人気になれるじゃん。
「……髪の毛真っ黒だね?」
「てっきり訓練をしてたものと……」
「違う違う!私そもそも勉強について行くのが手一杯で……何もできてなかったんだ。」
そっか……まぁ雄英の授業難しいもんね。
「コレ……っていうかこの状態の記憶がなくて。それに私の個性であんな広範囲の天気を変えるなんて不可能だし……」
「そうなのか?」
「見せた方が早いね。」
天気ちゃんが頭をもふもふ触ると、1mくらいの大きさの楕円形の雲が出てくる。
「私の個性で出せる雲ってこれくらいなの。」
「……だがこの映像だと……」
「うん。これの数十倍……数百倍も大きな雨雲だよね。」
天気ちゃんが指を慣らすと雲がぽふんと消えた。
「……理由はわかるの?」
「ぜーんぜん。当時は心当たりなんてないよ。」
『当時は?』
「うん。わかんなかったから1回病院に行って検査して貰ったんだ。」
病院……本気だね?
「どうだったの??」
「……私の個性……私がストレスを感じると強くなるのが判明したんだ。」
「ストレス?」
『……』
「うん。……しかもすっごく脳に負荷がかかるって……乱用できるものじゃないって言われた。」
「脳に負荷がかかるなら……乱用しない方がいいんじゃない?」
「でもね!」
天気ちゃんが机を叩いて立ち上がる。
「ソレがモノに出来れば!私もっと強くなれる気がするの!」
「ソレって……ストレスのこと?」
「うん!」
それ……絶対……
「やめた方が……」
『やめた方がいいわよ。絶対。』
「っ……」
「カナ……」
「私もカノーテス様と同意見です。」
「……私も。」
「……岩刄も?」
「当たり前だ。人間の脳はまだ改名されていないことが非常に多い。もし取り返しのつかないことになってみろ。お前が人間としての尊厳が無くなる可能性だってある。私はクリエイターでありオリジナリティと追求するアーティストではあるが……それ以上に人間だ。自らの身体を犠牲にする者を美談だとは言いたくない。」
天気ちゃんが縋るように視線を佳舞ちゃんに向けたが……シャットアウト。こんなキッパリ言ってるってことは……多分佳舞ちゃんなりの優しさかな。
「……私もみんなと同じ意見だよ。天気ちゃん。」
「……。」
「私も自分の個性で体が壊れる苦しみを知ってるから……あんまり同じところに来て欲しくないかな。」
私の場合は骨だったけど。身体ができるまで大変だったよ。力加減だとか。少しでも間違えるとヒビが入ってたからね。
おねーさんが居ないともっと大変なことになってたかも。
「……でも……それでも私はみんなと一緒に強くなりたい。」
その目には諦められないっていう決意が見て取れた。
「「「『……』」」」
「私……馬鹿でどんくさくてさ!色んな人から比べられて生きてきたんだ。だから私自分のこと好きじゃないし、何が得意かとかも全然分かんない。自己が無いんだよね!……でも!そんな私だってヒーローになりたい。キラキラ輝いて、かっこいいヒーローになりたい!」
天気ちゃんの目に涙が……
「私だって出来るんだってみんなに思い知らせてやりたい!私は誰かの劣化じゃないって見せつけてやりたい!……でもね。この学校に入って、みんなを見て。知って。一緒に授業やって。私ってまだまだだなって思い知らされた。……わかってたよ。わかってたけど……何度やめようって思ったか分かんない。でも元気に振舞ってきた!それしかできないから。」
そっか……天気ちゃんも小さい頃から大変だったんだね。……なんか親近感湧くなぁ……
「そんなこと……」
「ううん。……私に期待してくれてる人なんていないって思ってたから。ごめんね。多分これは変わらないや。……でも槍田は期待してくれた。あの時。それで……槍田がみんなを強くするためにわざとやってくれてたのも知った。」
『そんなコトやってたの?』
「……あはは。」
バレちゃったか……おねーさんみたいにはいかないね。
「だから私は応えたいって思ったんだ。強くなりたいって思ったんだ。……それでね?ブラッドロータス先生やスナイプ先生に相談したんだ。……そしたら……」
「……そしたら?」
「まずは体作りが先って……槍田たちがやってるメニューをやらせて貰えって言われて……」
……なるほど。なんとなくだけどおねーさん達の目的がわかった気がする。
「……そっか。じゃあカナと天捻ちゃんがしてるやつが一番ちょうどいいかな?」
『……そうね。じゃあ内容は個人チャットに送るわ。』
「ん。何かあったら……手伝うよ。」
「ありがとうみんな!」
ピロン
『送ったわよ。』
「わ……来たかな?…………え?」
「「『「?」』」」
「ハード過ぎない??」
『こんなもんじゃない?』
「……ひまひまと……あいあいがしてるやつ……の方が……鬼畜。」
「…………すごいね。みんな。」
なんかすごい目で見られた気がする。
……まぁ実際おねーさんの訓練メニューすごいからね。