side槍田日巡璃
ボー…………
す…………凄かった。何も考えられなかった。
…………色んな意味で。
カナが……カナが凄かった。
「日巡璃。大丈夫?」
「だっ!!……だだだっ!大丈夫!」
今カナの髪の毛を乾かしてもらってるところ。
お風呂は大きかったし広かった。お金持ちって感じのお風呂だった……んだけど。
洗いっこしてたら……また大っきくなっちゃって……そしたらカナに……いっぱい……
うわーーっ!頭がいっぱいだよ!!
「はい。終わり。日巡璃は髪短いからドライヤーが楽でいいわね。」
「あ……うん。ありがと。」
「じゃあ次、日巡璃が私の乾かしてよ。」
「いいよ。ドライヤー貸して。」
カナが何気なくドライヤーを渡してくる。
カナの手に目が行く。……この手で…………
「日巡璃?」
「うひっ!?!?なっなんでもないなんでもない!」
「……ふーん?」
ドライヤーを受け取る。
私が椅子から立ち上がり、カナが代わりに座る。
ドライヤーで乾かしてあげる。今度はカナの首筋……うなじに目が行く。
綺麗だったな……カナの身体…………
だっ……だめだめ!あんなにしてもらったのに!良くないよ!きっと良くない気がする!!
あんなにいっぱい大きな声出しちゃったし!……いっぱいお風呂汚しちゃった!もうダメ!これ以上は無し!!
顔をブンブンしてると、目の前の鏡にこちらを蠱惑的な目で見ているカナが映る。
「っ!」
「…………。」
カナはこちらに笑みを向けているが、何も言葉を発さない。
ゴクン……
生唾を飲み込む。顔が熱くなる。また……アレを……
……はやく乾かしちゃおう。晩御飯も食べないといけないのに。時間使えないよ。
「…………残念。」
「!」
カナのその小さな呟きは私に聞こえるように言ったのか分からないが、確実に私の脳に刻み込まれた。
もう……カナのことしか考えられなくなっている自分がいる。
「ん〜!おいし〜!!」
「お口にあったようで何よりです。」
何とか無心でカナの髪を乾かして、次に案内された部屋には長ーいテーブル。座るように促されたので、適当な席に着くと料理が運ばれる。
ちなみにカナは隣だ。長いテーブルなんだから広く使えばいいと思うんだけど……隣に来てくれたことが少しだけ嬉しい自分がいる。
出されたものは鶏肉のクリーム煮、パン2つ、トマトとなすびがいっぱい入ったラタトゥイユ、そして私が大好きなきのこがいっぱい入ったソテー。
そういえば愛ちゃんといい、私がきのこ好きなの知ってくれてるのかな?偶然かもしれないけど。
全部美味しくて幸せ。
野菜なんていくら美味しくてもいいですからね!
「……日巡璃ってなんでも美味しそうに食べるわね。」
「ほう?……んぐんぐ。」
「喋るなら口のもの片付けてから喋りなさい。」
「んぐんぐ……ごくん。えへへ。ごめんね?」
カナは食べ方も綺麗だなぁ……すごくかっこいい。
「も…………もう。私の前だけなら許してあげるわ。」
「優しいね。カナ。ありがと。」
「……ふふっ。」
「どしたの?」
「友達を家に招待して……お風呂入って、ご飯食べるなんて……初めてだから。楽しくてね?」
「……ふへへ。なんか照れるね?」
「そうね?」
お風呂入ったからなのかどうなのかは知らないけど……カナのほっぺがほんの少し赤かった。
お互い様かもね。
「……カナ。」
「何?」
スプーンにラタトゥイユを一口すくう。
「はい、あーん。」
「あっ!?……えっと!?」
カナの顔が一気に真っ赤になる。
「えへへ。仲良いとするんでしょ?」
「だ……誰から教わったの??」
「天捻ちゃん。」
「…………も……もう。はしたない。……今日だけよ?」
「やった。はい。あーん。」
「あーん……ん。」
「美味しい?」
「………………何もわかんない。」
「えぇ?おかしいなぁ。すっごく美味しいのに。」
もぐもぐ。
カナの目線が私のスプーンに向かってる。どうかしたのかな?
「……日巡璃。」
「何?」
「夜。覚えてなさいよ?」
太ももに手を置かれる。
「!!……えっ…………えっと。……な…………なんで……」
「……顔真っ赤。可愛い。」
「ひぅっ……ごっ!!ご飯食べちゃおうよ!!」
「ふふっ。……そうね?」
あ……危ない危ない。また流されるところだった!
ご飯を食べ終わり、カナの部屋に行く。
道中すれ違ったメイドさんから生暖かい目を向けられた気がしたけど、気にしないことにした。
『お嬢様!!今日はディミトリウの家に行くなど……私聞いておりません!!』
とりあえず寮で待ってる2人に連絡。開口一番愛ちゃんに泣かれそうになった。
「ご……ごめんね?色々あって……。」
『カノカノ……。ぬけがけ。』
「ふん。あなたたちがのほほんとしてたからでしょ?行動したやつが強いのよ。」
カナが腕にくっついてくる。まるで見せつけるように。
「もう。そんな言い方ないよ?」
「いいじゃない。見せつけましょ?」
『『うぐぐぐ……。』』
「ふふん。」
腕に擦り寄ってくるカナ。……もう。
……それよりも……言わなきゃ。
「…………ねえ2人とも。明日言いたいことがあるの。」
『言いたいこと?』
「うん。2人にも隠し事したくないなって。」
『…………わかりました。それでは明日……お待ちしております。』
『ん……わかった。待ってる。』
少し心の準備がいる。……大丈夫かな。
すると察してくれたのか、カナが手を握ってくれる。……2人には見えない位置で。
ありがとう。カナ。
「ありがとうね。今日は……そっち帰れないから。ふたりで仲良くしてね?」
『うう……お嬢様……私めは寂しゅうございます……』
『しょうがない……ね。あいあい。一緒に寝よ。』
『はぁ!?なんで私と一緒に寝ることになってるんですか!』
『ひまひまのせい。人肌が無いと寝れない。』
私のせいって言われちゃうと……助けてあげたくなっちゃうなぁ。
「愛ちゃん。お願い。一緒に寝てあげて?」
『うぐっ…………承知…………いたしました。』
「……あんた日巡璃に甘すぎるわよ?」
『貴方はお嬢様にくっつきすぎです!!離れなさい!!』
「勝者の特権よ。私達そろそろ寝るから。バイバイ。」
『待ちなさい!絶対に許しまs……』
ピッ
「……大変そうだったね。」
「いいじゃない。毎日日巡璃と寝れるんだもん。羨ましいったらありゃしないわ。」
「……そんなに好き?」
「好きじゃなかったらこんなことしないわ。……すごく好き。大好き。他の人じゃ考えられないくらい好き。」
「……さ…………さいですか。」
「顔真っ赤。……可愛いわね?」
「カナだって……可愛いじゃん。」
「〜〜〜!!……もう……私をイライラさせるのが本当に上手いわね?」
「えっ!?ちょっ……!?」
カナが私の首筋に顔を寄せる。
「今日くらい……私に貴方を独占させて?」
カナが私の首筋に吸い付く。
「ひぁっ!?…………わ…………私の心がもたないので……程々でお願いします。」
「やーだ。」
カナに押し倒される。
カナのベッド。ソファーで寝ると言ったのに聞き入れてくれなかった。一緒に寝ることになってしまった。
カナの匂いに包まれる。
……それはまるで私の思考を奪う甘い罠。
「ふふふっ…………日巡璃……。」
「わっ…………ね……ねぇカナ……明日早いよ?早く寝ようよ…………。」
カナが私の手に指を絡める。
「何言ってるの?明日祝日よ?」
にぎにぎと……カナの体温を感じる。
「うっ!…………早く……帰らないと明日みんな寂しがるかもだし……!」
「だったら早く終わらせないとね?」
カナの舌なめずり……そして人差し指で私のソレに触れる。
ツンツン……
「ひぅっ!?」
「気が付いてないと思った?……日巡璃……私の手……大好きになっちゃったわね?」
スーッ……
「あっ……ハッ……ハッ…………ごっ……ごめんな……さ……」
「ねぇ。日巡璃。」
ああもうダメだ……逃れられない。
「は……はひ…………」
「可愛い声……また聞かせて?」
カナのことしか考えられない。
私……カナのこと…………
「カナ……顔……近……」
「日巡璃。愛してる。」
ファーストキスは……甘い味がした。