side槍田日巡璃
休日の朝。朝ごはんを食べたので勉強中……と言っても課題も終わっちゃったから復習くらいなんだけどね〜。
愛ちゃんは買い物に行ったし、天捻ちゃんは今日同じクラスの邊ちゃんと古銀ちゃんとデートだって。楽しそうだったなぁ……いいなぁ……
佳舞ちゃん?休日は寝てるよ。朝ごはん食べてそのまま2度寝。だからちょうど今の時間はひとりなんだよね。やることないから勉強してるって感じ。
「……。」
だからこそ静かに勉強できる。……本音はちょっと寂しい。
コンコン
あれ?誰だろ。
「はーい。」
……部屋は綺麗だね。うん。大丈夫。
とりあえずドアを開ける。
「お嬢様。おはようございます。」
「おはよ!愛ちゃん。」
小さい紙袋を持った愛ちゃん。今日もしっかりメイド服。愛ちゃんの服ってシワとかシミもないよね。毎日丁寧に使ってるんだろうなぁ……
「どうしたの??」
「お嬢様にお渡ししたいものがありまして。」
「私に?」
なんだろ?愛ちゃんが私のために何かモノを買ってくるのって中々ないから検討が付かない。
「とりあえず入る?」
「よろしいのですか?」
「嫌なわけないじゃん♪」
「それでは失礼します。」
……そういえば愛ちゃんと2人きりって中々ないね。ちょっと緊張してきた。
とりあえず机を出して、愛ちゃんと向かい合って座る。
「それで?渡したいモノってなに?」
「お嬢様に似合うと思って……」
ゴソゴソと紙袋を漁る愛ちゃん。
……綺麗な顔してるよねぇ愛ちゃん。まつげ長いし……目がツンとしてて綺麗だしスタイルしいし……
愛ちゃんに限った話じゃないけど、私の彼女全員可愛すぎない?幸せ者すぎるでしょ私。小学校中学校の扱いの格差がありすぎる。
……それにしても綺麗だよなぁ愛ちゃん。うーん……顔のパーツまじまじと見ることなかったけど……結構好きかも。
「お嬢様?」
「!!」
わ!愛ちゃんに見とれてた!
「な!なになに?」
「……?」
愛ちゃんの目の前……机の上に小さな瓶が2つ乗ってる。
「……これ……?マニキュア?」
「そうです。お嬢様に似合うと思いまして……」
ピンク?ベージュ?違うな。コーラルピンクって感じかなぁ?ラメも入ってて綺麗〜……
「うわぁ〜……綺麗〜……可愛いね!」
「良かったです。是非付けてみられませんか?」
「え!……どうしよ。私マニキュアとかつけたこと無いんだよね。そういうのも今まで興味があまりなくて……」
っていうか私の手大きいからこういう細かい作業難しいんだよね。……自分でつけれないかも……!!
「であれば私に任せていただけませんか?」
「え?愛ちゃん出来るの??」
「はい。プロ……とまではいきませんが、メイドの嗜みなので。」
「へぇ〜……メイドさんってすごいんだね?」
なんでも出来るんだねぇ……私絶対できないよ。愛ちゃんってほんと凄いね!
「じゃあやって貰おうかな!せっかく買ってくれたし!」
「はい。それでは少々お待ち頂けますか?」
「うん!」
でん!
部屋から出た愛ちゃんが、メイクボックスを持って来た。
「……それ愛ちゃんの?」
「はい。私の道具がいくつか入ってます。」
「…………大きいねぇ?」
「お嬢様を綺麗にするための道具なので。」
「…………そっか?」
これ全部私用なの!?なんか悪い気がしてきたよ。
そんなこんなで愛ちゃんのネイルメイクが始まった。
ぞーり……ぞーり……
「ヤスリ?爪切りじゃないんだ?」
「こちらの方が爪が滑らかになるので。……お嬢様は爪を切る時はちゃんとヤスリ掛けされてますよね?」
「してない!」
「…………爪が割れますよ?」
「大丈夫じゃない?」
「……次から処理は私めにさせて下さいまし。」
「爪切りくらい自分でするよ〜。」
「させて下さいまし?」
「…………はーい。」
「よろしい。」
なんか圧を感じたよ。強かったね。
ヤスリでツルツルにしたあと、ピンセットで邪魔な皮を取って……これでやっとマニキュアが……
「……あれ?」
愛ちゃんが持ってる色が違う。そんな色だっけ?
「色違わない?」
「こちらはベースコートです。」
「べーすこーと?」
「はい。塗りたい色の発色を良くしてくれるものですね。塗らなくても良いのですが……せっかくですし。」
ぬりぬり……
「……これ愛ちゃんの?」
「はい。私は使いませんが。」
「なんで?」
「水仕事がありますし、万が一そういう時に色が落ちたらメイド失格ですから。」
「……なるほど。」
持ってるけど使わないってやつか。…………愛ちゃんの私物ってことは相当高いんじゃない??
そしてベースコートを塗り終えたのか、本題のマニキュアに入る。
「……」
愛ちゃんの顔から緊張してるのが伝わってくる。真剣だね。ちょっとくらいこぼれても私気にしないけどなぁ?…………愛ちゃんが気になっちゃうんだろうな。
そして……
「うわー!きれーい!!」
塗り終わって両方の手を……指先を見る。綺麗!可愛い!
へ〜!なんか気持ちいいね!自分が自分じゃないみたい!
「お嬢様。トップコートもお塗りします。」
「とっぷこーと?」
「色落ちしないように透明なモノを重ね塗りするのです。」
「なるほど。」
また愛ちゃんに手を差し出す。
「……愛ちゃんってなんでもできるねぇ?かっこいいなぁ。」
「……そうでしょうか?」
「?」
「私はお嬢様に会うまでこのような技術は身につけてませんでした。」
「え??メイドの嗜みって……」
「お嬢様をお世話するにあたって必要なものを勉強し直したに過ぎません。私はお嬢様に生涯仕える覚悟なので。」
「……そっか♪」
なんだか嬉しいな。愛ちゃんとずっと一緒なんでしょ?……幸せ者だぁ〜♪
「…………お嬢様。私お嬢様にお会いできて良かったです。」
「……私も。愛ちゃんに会えて良かった。」
「お嬢様にお会いできて私の世界は色付きました。それまでは理想はあれどそのようなものはぬばたまの夢。ありえないもの。叶わぬものだと思っておりました。」
「理想って……」
「はい。私が仕える主は自分で決めることです。……私を愛し、私に愛され、それでいて共に歩んでくださる方。…………存在するなんて思いませんでした。」
「……買い被りすぎだよ。」
「そのような事はありません。私の目に間違いはありませんので。」
愛ちゃんが私の手の甲に唇を落とす。
「私の……私だけのお嬢様。誰にもこの場所は渡す気はありません。お嬢様のお世話をするのは私です。」
「……愛ちゃん……」
「お慕いしております。お嬢様。月が何度映り変わろうとも。この世が果てて尽きようとも。」
「私もだよ。愛ちゃん。大好き。愛してる。……陳腐な言葉だけどね?」
「いえ。言葉にしていただけるだけで胸がいっぱいです。」
「愛ちゃん……んふふ。幸せだね?」
「はい。とっても。」
塗り終わったマニキュアを色んな人に見せびらかして、いっぱい褒めて貰えたから満足。
最後に愛ちゃんに落としてもらった。
ちょっともったいなかったけどね。あんまり落とさないの良くないって言われて渋々。
でもまた愛ちゃんが塗ってくれるって!その時が楽しみだなぁ!!