難産でした。本当に大変でした。
side槍田日巡璃
パーーン!
「「「「ハッピーバースデー!」」」」
「……え?」
目をまん丸にする荒天ちゃん。
共有スペースに連れてきた途端、クラッカーの音と共にみんなからの祝福。
「お誕生日おめでとう!天気ちゃん!荒天ちゃん!」
「……え?え??」
何が起こったか理解できてない様子。まぁそうだよね。
「な……なんで……何が……?」
「あんな?皆で準備したねん!誕生日のお祝いやで?」
「今日なんでしょ?知らなかったんだけど?」
安毛ちゃんと茜ちゃんも説明してくれる。
「えっと……ええ。そう……だけど……」
オロオロ……
……おぉ……なんか大人びてる荒天ちゃんだから慌ててるのギャップで可愛いね。
「だって……今日は天気の誕生日で……私じゃ……」
「何言ってんだよ。天気の誕生日だろうがなんだろうが、アンタの誕生日でもあるだろ!」
「!」
「母親じゃ無いかもしれへんけど、貴方が生まれたのは天気はんと同じ日やで?今日が誕生日で何が悪いん?」
「っていうか今から誕生日決めるの意味わかんねぇしな!今日でいいだろ!一緒だ一緒。」
「海鈴。言い方。」
「本当に青空さんなのね。であれば貴方からも青空天気さんに言ってくれないしら。お誕生日おめでとうって。」
「そうよね。まぁ出来ることならふたり分お祝いしたいわ。」
「誕生日プレゼントは準備できなかったけど、ケーキはあるよ!」
「クッキーも作ったんやで!な?」
「ん!」
「もちろんです。沢山ありますよ。」
引子ちゃんの発言を皮切りに皆思い思いの言葉を。
えへへ!やっぱり皆優しくて安心した!私嬉しいよ!
「皆……私嬉しいわ。ありがとう!」
荒天ちゃんも喜んでくれてるみたいで良かった!……じゃあ
「なーなー。腹減ったぞ〜。」
「ちょっと佳舞ちゃん!」
「?」
「「「あははは!」」」
デリカシーが無いんだから!手伝ってくれてありがとうね!?
「「「ハッピーバースデートゥーユー♪」」」
「「「いえーい!!」」」
「お誕生日おめでとう!!」
というわけで、誕生日ソングを歌って(私以外)本格的にお誕生日パーティを楽しんじゃおう!!
ってことでまずは……
「はーいB組集まって!写真撮るよ!!」
まずは写真撮影だよね!!
「神奈月ちゃんお願いね!」
「任せて。綺麗に撮るわ♪」
皆でくっつく。もちろん真ん中は荒天ちゃんだ。
「いくわよ!はいチーズ!」
パシャ!
「……うん。綺麗に撮れたわ!」
「よーしじゃあ皆で楽しんじゃおー!」
「「「いえーい!」」」
みんなにケーキを取り分けて、もうあとは楽しんだもん勝ち。いっぱい食べていっぱい飲んでいっぱい喋って笑う。それだけで誕生日パーティってすっごく楽しいと思う。…………私はね?
「荒天ちゃん!楽しんでる?」
「ええ!とっても!」
楽しさのこじつけはしたくないけど、荒天ちゃんも楽しんでるみたいでよかった。
「……あ。」
「どうしたの?」
「天気が目覚めそう。」
「え!?」
このタイミングで!?早いね!?
「どうしたの?日巡璃さん。」
ナイスタイミングで神奈月ちゃんが来てくれた。
「神奈月ちゃん……天気ちゃんが目覚めそうって……」
「え?……そうなったら……どうなるの?」
「身体の所有権が天気になるだけよ。」
「……どう説明しよっか。コレ。」
「…………誤魔化しは……効かないでしょうね。」
「……よし!みんなー!ちょっとそうだーん!」
一旦みんな集まれば文殊の知恵だ!皆に相談タイム!
「……天気が目覚めそう?」
「そうなんだよね。……で。っていう話。」
「どうするの?説明する?青空の中にもう1人人格があって〜って。信じてもらえるか??」
「……無理じゃない?私だったら信じない。」
「だよねぇ……」
「「「うーん。」」」
みんなが頭を抱えていると……荒天ちゃんが手を挙げた。
「さっきの写真見せてみればいいんじゃない?」
「写真?」
「そっか。さっきB組で撮ったやつ。」
「……まぁ……起きてみたら場所が違うし……行けるか?」
「まぁ納得いく説明はできそうだよね。信じるかは別として。」
……そうだ!!
「じゃあさ!荒天ちゃん!今からちょっと録画しようよ!天気ちゃんに話したいことあるんじゃない?」
「え?」
「だって動画があれば流石に信じると思うんだよね!そしたらもしかしたら天気ちゃんと話せるようになるかもしれないじゃん??」
「そうなの?」
引子ちゃんが聞いてくるけど……
「知らない!!」
わかんないよね!普通に。
「だよな。」
「でも!なにかの弾みでいけるかもしれないでしょ!もしかしたら荒天ちゃんと打ち解けることで、天気ちゃんがなにか見えるかもしれないし!」
「まぁそれは一理あるけどなぁ……」
「日巡璃。あんまり確証のないこと言わない方がいいわよ?」
カナが忠告してくれる。うーん……それはそうなんだけど……
「むぅ〜……でもでも!荒天ちゃんと天気ちゃんは仲良しの方がいいと思うんだよね!」
「ん。……それはわかる。仲良しがいちばん。」
「だよね!」
「まぁこれも全部青空の意思次第だろ?どうなんだ?」
「…………。」
茜ちゃんが問いかけるも……黙っちゃう荒天ちゃん。こういう時おねーさんが居たらちゃんと導いてくれるのかな?おねーさんってこういう系も知ってるのかな?どうなんだろう。
少し考えたあと、荒天ちゃんが何かを決めたように顔をあげる。
「……うん。わかった。やってみるわ。」
「「「!」」」
「誰か録画してちょうだい。……天気に言いたいことはいっぱいあるし。それに……」
side青空天気
『……き。』
……え?
『……んき。』
誰……?
『起きなさい。天気。』
誰……が……
「……ん……?」
眩し……え?……朝?
「わ!おはよ!天気ちゃん!」
「…………え?……槍田……?」
なんで私の部屋に槍田が……?
甘い匂い……え?なんで……みんな居るの?
それに……私の部屋じゃない!?!?ここどこ!?
「えっ!?あっ!?……ん???」
寮……だよね?多分。ちょっと前に来たから……あれ?
「…………何してるの皆??」
まるで……誰かの誕生日パーティみたいな……
「え?天気ちゃんの誕生日パーティだよ。ねー?」
「「「ねー!」」」
「………………え?」
耳を疑う言葉が聞こえた。……私の誕生日パーティ?私の誕生日みんなに言ったっけ??それに…………今何時……
「は!?16時……!?」
私半日以上も寝てたって事!?……いやいやちょっと待って!?私……なんで寮に居るの!?
「え?何が……????」
理解が追いつかなすぎて混乱してきた。
「ちょっと。青空が頭こんがらがってるじゃない。ちゃんと説明しなさい。」
「あ……ディミトリウも居るんだ。……ほんとになんで?」
寮に住んでいない子がいるから余計共通点がわからなくなった。なんなのこれ??
ディミトリウはディミトリウで岩刄のほっぺた拭いてるし……何してるの??
「一旦説明するけど……ちょっと心して聞いてね?」
「……え?何が??」
神妙な面持ちで話し始める槍田にちょっとだけたじろぐ。
「天気ちゃん。実は天気ちゃんの中に、もう1人人格があるの。」
「…………え??」
私は今日ほど衝撃的な日を未だ知らない。