※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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【番外編】無神神奈月のインターン

 

 

 

 

 

 

 

 

side無神神奈月

 

 

 

「……こんなもんだろ。」

 

「お疲れ様です!師匠!」

 

「お疲れ様です。」

 

「……フン。」

 

 

今日は冬休みだけど……福と相談した結果、お互い実家には帰らないってことになって……まぁ暇すぎるのもアレだから、師匠に頼んでインターンを受けれてもらえることに。福も一緒。嬉しい♪

 

今はダイナマイト事務所の応接室に居る。ソファに腰掛けて、今日の仕事の書類制作を一通り教えてもらった所。

 

 

やっぱり師匠はずっとひとりで仕事をしてきたというのもあって、全部の仕事の水準がすごく高い。パトロール、書類制作、仕事の管理。どれをとっても一流。ビルボードチャート1桁は伊達じゃない。

 

そんな環境に身を置かせて貰えるのも嬉しいし、福も一緒に受け入れてくれたことも嬉しい。

 

 

 

prrr……

 

「……1回休憩だ。ちょっと席外す。」

 

 

「はい!」

 

「はい。」

 

 

ピッ……

 

「んだよ。ハラセン……」

 

あ、電話の相手ブラッドロータス先生か……

 

 

師匠が遠ざかって行ったので話の内容は聞こえなくなった。

 

 

「…………カンナちゃんは凄いね。」

 

「どうしたの急に。」

 

「あんなに怖い人とコミュニケーション取れてるんだよ?誇った方がいいよ。」

 

「……そうかな。師匠は師匠なりに悩んでると思うけれど。」

 

「それはカンナちゃんが大・爆・殺・神・ダイナマイトと長いから分かるんだよ。」

 

「……まぁ……確かに。」

 

 

職場体験の頃からと考えてももう半年以上。最初のインターンでも師匠のところに行ったから……そうね。師匠のところしか知らないわね。

 

 

「でも……第一印象は悪かったけど、やな人じゃないのはわかったから。」

 

「…………まぁ……うん。いっぱい教えて貰えてるし。」

 

 

異形型個性の身体の使い方や、身体の鍛え方とかも頭に入ってるみたいで、論理的かつ的確に教えているのが見て取れた。

 

やっぱ異形型には異形型の訓練方法があるのね……福のためにも覚えておきたいわ。

 

 

「……はぁ……立派なヒーローになるにはあれくらいしないとダメかな?」

 

「そんなことは……」

 

 

「んな事ねぇよ。」

 

後ろを振り向くと師匠。電話が終わったみたい。

 

 

「師匠……ブラッドロータス先生との電話は終わったんですか?」

 

「…………聞いてんじゃねぇ。ダボが。」

 

「すみませんでした!」

 

「……チッ。」

 

軽い舌打ち。師匠の癖。主にバツが悪くなった時に出る。

 

 

「…………鳥木っつったか。」

 

「はい。」

 

「てめぇ……ンでヒーローやろうと思った。」

 

「……え?」

 

「理由聞いてんだよ。てめぇのオリジンだ。」

 

「オリジン…………」

 

 

そういえば……私も福のオリジンを聞いたことがない。興味がある。なんだかんだストイックな福だから……憧れとか、自分の能力を〜みたいな感じだろうか?

 

 

「………………いちばん……」

 

「「いちばん?」」

 

「愛されるから。」

 

「「……え?」」

 

福の口から出たセリフは拍子抜けそのものだった。

 

 

「……愛される???」

 

思わず聞き返す。

 

 

「うん。……私って異形個性だけど、可愛いでしょ?」

 

 

「は?」「うん。世界一。」

 

「あ?」「え?」

 

 

 

「…………でも……私を心から愛してくれる人って……居なかったんだ。」

 

「どういうこと??ご両親は?」

 

「いない。私が小さい頃に敵被害にあって死んじゃった。」

 

「……!」

 

思った以上に辛い過去。敵被害……確かに15年も前なら珍しくない。

 

 

「だから母方の祖父母の家にいたんだけど……どっちも高齢で、結局小学生の頃にどっちも死んじゃった。」

 

「「……」」

 

 

天涯孤独……ってことね……福……

 

 

「えと……友達は?」

 

「うーん……居たけど……話さなくなっちゃった。」

 

「……理由を聞いても?」

 

「いいよ。私が好き好きしても、返してくれないから。」

 

「「……」」

 

 

エゴ。自己中心的。普段(私がいないところでは)クールな福の口から出るありえないセリフに少の憤りと不安感。

 

これは後で問いただすとして、福の次のセリフを待つ。

 

 

「…………そのあとは親戚の家に行った。母親の弟。でも忙しかったみたいで……お金は出してくれたけどほとんど顔を合わせなかった。だから……両親にも、友達にも、おじさんにも誰にも愛して貰えた記憶が無い。」

 

「…………」

 

「おじいちゃん達は?」

 

「……強いていえば……1番愛してくれてた……かな?」

 

 

梟は執着が結構強いって聞くけど……相手の愛が、自分が求めている基準値じゃなかったんだ……

 

 

「だから。私は愛されたいって思った。ヒーローになればみんなに愛してもらえるって。」

 

「そこで思考がアイドルとかにならなかったんだ?」

 

「うん。アイドル向いてないし。可愛いけどこんな無愛想な子いらないでしょ。」

 

ここで自分の容姿には自信いっぱいなのが若干矛盾してるけど……

 

 

「そうかな?私の前ではニコニコしてくれてると思うけど。」

 

「それは……カンナちゃんが私の事いっぱい愛してくれるから……ね?」

 

少しだけ照れながらはにかむ福。

 

 

「……ッスーッッ……」

 

私の彼女……世界一可愛い。

 

 

 

「……それがてめぇのルーツかよ。」

 

「はい。愛されたいからヒーロー目指してます。」

 

「じゃあお前はコスチュームをもっと洗練しろ。身体の動きはいい。……が、機能性を重視しすぎて可愛げがねぇ。」

 

「「可愛げ……」」

 

師匠の口から……とんでもない単語が……

 

 

「ンだよその顔ァッ!!」

 

BOMM!!

 

「……師匠。イラついたからって爆発させるの良くないですよ。」

 

「チッ……」

 

 

「……コスチュームかぁ……あんまり考えたこと無かった。」

 

「そうなの?」

 

「私可愛いから。容姿だけでいけると思った。」

 

「「……」」

 

色んな意味ですごいなぁ……福。

 

 

少し頭をポリポリ掻きながら、師匠が口を開く。

 

「コスチュームはヒーロー像そのものだ。技術も、知識も、ヒーローネームも、コスチュームも。全部ひっくるめてシンボルになる。……てめぇが怠ればそれも一般人に伝わる。ヒーローの印象ってのはそういうモンから感じんだ。手ェ抜くんじゃねぇ。」

 

「……!……そう……ですよね……すみません。」

 

「謝んじゃねぇ。そーゆー間違い正すのが俺らの仕事だ。」

 

言語化上手いなぁ……師匠。……ふふん。やっぱり師匠はかっこいい!

 

 

「福!一緒にコスチューム考えよ?」

 

「カンナちゃんと!?やるやる!!とびきり可愛いのにしよ!」

 

「なんならお揃いにしてもいいかもね?」

 

「!!!!……っおそ……ろい……!!!」

 

全身プルプル震える福。……嬉しいのかな?だったら……私も嬉しい♡

 

 

「……全然元気そうじゃねぇか。」

 

「そりゃ……まぁ。」

 

「はい。」

 

自主練はしてます。

 

 

「……将来有望だな。」

 

「「?」」

 

 

「鳥木。てめぇも暇だったら俺の事務所にインターンに来い。」

 

「……いいんですか?」

 

「愛されてぇならトップ目指せ。理想を捨てんな。」

 

「わかりました。お世話になります!」

 

「フン。」

 

 

……なんだかんだ師匠も福の事気にかけてくれたのかな?なんだか嬉しい。

 

「…………そういえば。」

 

「ンだよ。」

 

「ブラッドロータス先生とはなんの話してたんですか?」

 

「…………仕事の話だ。お前らには関係ねぇ。」

 

 

「……ダイナマイトとブラッドロータス先生って仲良しですよね。」

 

「あぁ!?!?」

 

「師匠。威嚇するの良くないですよ。私たちには効きませんし……」

 

「チッ……聞きてぇのか?」

 

「「聞きたい!」」

 

「てめぇは少し知ってんだろ!」

 

 

なんだかんだ向かいのソファに腰掛けてくれる師匠。……面倒見いいよね。

 

「ですが全貌は聞いたことないです!」

 

「…………仕事の手は止めんな。今日はそんな忙しくねぇから付き合ってやる。」

 

師匠の口からとんでもない発言がいくつも飛び交うけど、それはまた別の話で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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