side槍田日巡璃
次の日。
「はぁ〜……やっぱストーブ最強……」
ストーブの前は私の聖域です。冬は私にとって死活問題だからね。本当に死んでしまうよ。
こたつもいいけどストーブだね。やっぱり強い。
「日巡璃。そろそろ始まるわよ。」
「え!ホント!?」
テレビの前にすっ飛んでいく。
「ホントに楽しみなのね?」
「当たり前じゃん!もう完全にユウゲショウオタクだよ!」
そうなのだ。今日はなんと前にみんなからプレゼントされた小説、ユウゲショウの3のドラマがやる日!
見なくちゃ損だよね!!ユウゲショウ1も2もめちゃくちゃクオリティ高くて面白かったから、きっと3も面白いよ!!
「どきどき……」
「わくわく!」
天捻ちゃんの食いつき方もすごい。私と同じくらいの熱量。
「あんまり近くで見ない事。目が悪くなるわよ。」
「はーい。」「ん。」
「皆様。お茶が入りましたよ。」
よーし!準備万端!楽しんじゃうぞーー!!!
ちーーーーん……
「……」
「……」
「……あれは……」
「なんというか……」
酷かった……すっごく酷かった……
「あの……まずなんで主役変わったの??」
そうなんです。以前までのそのまんまミミちゃん!じゃなくて……全く関係の無い人に……
「…………監督が変わった結果、配役も色々いじられたらしいです。」
気を利かせて愛ちゃんが調べてくれた。
「そう……なんだぁ……」
いや……まぁ一旦配役はいいよ。うん。よくなんだけどね?
「えっと……私見間違いかな?知らないキャラいたんだけど……」
「ん。同じく。」
「ドラマオリジナルキャラクターらしいです。」
「……」
「……」
えっと……原作改変は悲しくてぇ……?
「しかもなんかミミちゃんとタケルくんの間に入ってこようとしてなかった!?」
タケルくんはミミちゃんに激重感情向けてる男の子です。2ではお互いの想いが通じあって付き合ったんだけど……
「……原作だと……付き合ったあとは……タケルが引越ししちゃうから……みたいな話だったはず……」
「そう……だよねぇ??私今日のために見返してきたもん!」
配役変更。オリキャラ出現。原作改変。
「うわぁああああぁぁぁぁ……なんか……ほかのコンテンツで皆が嘆いていた気持ちがわかった気がする……」
ここまで酷いなんて……心に来るなんて……
「……私はそこまでユウゲショウ知らないけど……流石に酷いわね。」
「…………今期最悪かもしれない。」
「ネットでも相当批判を見受けられます。」
…………これは……酷い。酷い以外の言葉が思い浮かばない。
「……これ……見続けるの……辛いなぁ……」
「ん……そう……だね。」
「別に全部見なくてもいいんじゃない?」
「だってぇ!!ミミちゃんとタケルくんの初々しい遊園地デートが見れるハズなんだよ!3では!!」
「ん!ん!あの描写は!正直言って神!」
「うるさ。」
ううううっ……こんなのってないよ……どうして……
ガラッ……
「ねぇ……あまねぇ?」
あれ?千音実ちゃんだ。
「どうしたの?」
「……なんかさ?……捻瑠帰ってきたんだけど……」
「「「「え?」」」」
あれ?今日デートじゃなかったっけ?まだお昼だよ??
「しかも……部屋に籠っちゃって……私じゃどうしようもできなくて……」
「何があったんだろ……」
「ドタキャン?」
「ん……わかんない。」
「聞いてみないことにはなんとも……」
とりあえず部屋の前に。大きな襖……天捻ちゃんの部屋と同じくらいだ……
「捻瑠ちゃ〜ん?大丈夫?」
声をかけてみるも、何も反応がない。
「……本当にいるの?」
「は……はい。入っていったの見たので……」
「何かあったのでしょうか。」
「……皆に……聞いてみる?」
「そうね。それが一番……」
……だったら……
スパーン!!!
「「「「え?」」」」
「入るよ。捻瑠ちゃん。」
「ちょ!?日巡璃!?」
部屋には……上着とバッグが投げ捨てられてる。部屋の雰囲気は天捻ちゃんと大差ないけど……物が多いね。
そして隅っこに体育座りの捻瑠ちゃん。
「……」
部屋は暗くて表情があんまり見て取れないけど……
私は構わず捻瑠ちゃんの近くへ。
「ね。お昼ご飯食べない?」
「…………え?」
「今日はね、千音実ちゃんと愛ちゃんがトンカツ作ってくれたんだよ!すっごく美味しかったんだ!行って帰ってきたばっかりだからお昼ご飯食べてないんじゃない?」
「………………てよ。」
「?」
「…………ほっといてよ……今そんな気分じゃ……」
「……じゃあ!」
と、捻瑠ちゃんの隣に座る。
「……え?」
「何があったか無理に話さなくてもいいけど……辛いことがあったら共有して欲しいな。……だって義理とはいえ将来のお姉ちゃんだしさ?」
「……!」
「……日巡璃……おねーちゃん……!」
「…………フン。愛。」
「承知してます。」
愛ちゃんがこの場を後にする。
するとカナも捻瑠ちゃんの隣に。私の反対側。
「捻瑠。日巡璃だけじゃないわ。私もあなたのお姉ちゃんよ。心配かけるななんて言わないから、楽しいことしましょ。いくらでも付き合ってあげるわ。」
「カナねぇ……」
「ひまひま……カノカノ……!」
カナ!!…………へへへ……
「……なーに日巡璃が嬉しそうな顔してんの。」
「へへへ?だってさ?……んふふ。やっぱり大好きだなって♪」
「もう……あのねぇ?」
「捻瑠。」
「あま……ねぇ……」
「大丈夫。安心して……吐き出して……いいんだよ?」
と、天捻ちゃんが捻瑠ちゃんを抱きしめた時……
「うわああああん!!!!!」
捻瑠ちゃんが泣き出した。……何か辛いことがあったんだね。
「よしよし……大丈夫……おねーちゃんが……ついてる……よ。」
「いっぱい泣きなさい。今はそれがあなたの仕事よ。」
「辛かったね。苦しかったね。」
「うんっ……うんっ……ううっ……」
そのまま泣き続けること数分。とりあえず泣き止んだ捻瑠ちゃんに話を聞いてみることに。
「……浮気……されてた。」
「えぇ!?」
「……」
「浮気……」
「……うん……待ち合わせ場所行ったら……知らない男と抱き合って来て……女と付き合うのは……気持ち悪いって……」
「「「は?」」」
誰?そんなこと言ったやつ。
「……死刑。」
「それ誰。本当に許せないんだけど。」
「……ふたりとも。1回落ち着こ?千音実ちゃんびっくりしちゃってるから……」
と、千音実ちゃんに視線を向けると……
「捻瑠!!やっぱりあの男……!!捻瑠の彼女狙ってたんだ!!!」
千音実ちゃん????
「何?有名なやつなの?」
「うん……人の彼女を奪うのが趣味って……捻瑠も言い寄られてたけど無視してたら……」
「「……へぇ。」」
「……」
それで捻瑠ちゃんじゃなくて捻瑠ちゃんの彼女を……どうしようもない奴だね。
うーん!擁護できないなぁ……するつもりもなかったけどね。
「ねぇ…………ウチ……気持ち悪いの?」
「捻瑠ちゃん……」
「ウチ……おねーちゃん達みたいに……幸せになりたくて……でも……普通じゃないって……気持ち悪いって……」
「そんなこと……」
「捻瑠。」
私の声を遮るように天捻ちゃんが割って入る。
「天捻ちゃん……」
「……任せて。」
天捻ちゃんが捻瑠ちゃんの手を握る。
「私……ね?……捻瑠と同じで嬉しい。」
「…………え?」
「捻瑠と……目だけじゃなくて……女の子が好きなのが……一緒で嬉しい……!」
「…………!!」
「捻瑠だけじゃない……ちなも…………最近女の子のこと……好きになって来てるもんね?」
「え…………いや……その……………………」
「??」
なんか千音実ちゃん私と目が合ったんだけど??
「………………うん。」
「……千音実……」
「ね?…………だから……また……みんなで……一緒だね?」
「あま……ねぇ……!」
捻瑠ちゃんが天捻ちゃんの胸に飛び込んだ。
一緒。多分腹違いの姉妹だから……なのかな?一緒ってだけでも嬉しいよね。きっと。
「あまねぇ!あまねぇ!!」
「ん……一緒だよ……捻瑠……」
「……ありがとう。あまねぇ……」
ぐぅぅぅ……
「「「!」」」
今の音……私じゃないよ????
「……」
「捻瑠……お腹すいた?」
「………………うん……なんか……ちょっと……安心した。」
「じゃあご飯食べに……」
「ちょうど良かったわね。今愛がご飯取ってきてくれてるわよ。」
「そう……なの?」
さっきのアイコンタクトはそれか!
……カナも愛ちゃんもすごいなぁ。私の自慢だよ!
みんなと知り合えてよかった。本当に。