side槍田日巡璃
むにぃ……
ん……これ……
「……ん。」
「…………ちゅ……おはよ♪」
目の前に天捻ちゃん。ちょっと寝苦しかったのは上に乗ってたからだな?……可愛い♪
「天捻ちゃん?……おはよ。起こす時は普通に起こしてくれると嬉しいな?」
「やーだ♡」
天捻ちゃんはイタズラ好きです。
時計を見ると……7:08。もう朝だね。
「ん〜〜…………」
背伸び。辺りを見渡す。……誰もいない?
「……あれ?みんなは?」
「ママと……ちなに頼んで……ご飯教えて貰ってる……」
「……偉いねぇ……私は台所出入り禁止らしいから……」
「みんな……ひまひま……にご飯作って……あげたいからだよ……ん。」
「そうかなぁ?まぁ今更包丁握れって言われても……大きさがなぁ……」
手が大きいから指切りそうで怖いんだよね。
「ん。……ひまひまの……大っきい手……好きだよ♪」
天捻ちゃんが私の手に手を重ねる。
「なぁに?今日は甘えんぼさんかな?」
「……ん♪」
ぽすんと私の胸に顔を埋める天捻ちゃん。……珍しいね?
「……いつもは……あいあいとか……かまかまがいるから……独り占めできて……嬉しい。」
天捻ちゃん……我慢してくれてたんだ。
「……そっか。じゃあ今だけでも沢山甘やかしちゃうぞ〜!」
「嬉しい……ありがと……ひまひま。」
天捻ちゃんが私の胸にすりすり……はぁ〜……ほんと可愛い。私の彼女はみんな可愛いです。
天捻ちゃんの頭をなでなで……気持ちよさそうな顔。キュンキュンしちゃうよ。
「ね……ひまひま……キスしたい。」
「んふふ。いいよ?おいで?」
天捻ちゃんはえっちの時以外は結構遠慮しがち。ギャップだよね。可愛い。可愛いしか言ってない気がする。語彙力ぅ〜。
「ん……」
「ちゅ……んふふ。幸せだね?」
「ん。もっと。」
「はいはい♪」
そのまま何度か唇を合わせ、とろとろになっちゃった天捻ちゃんを胸に抱きながら朝ごはんを待った。
幸せそうで……物足りなそうで。でももうそろそろ朝ごはんだから我慢してもらった。んふふ。我慢してる天捻ちゃんも可愛い……♡
……あ。そうだ。
「そういえばさ。おねーちゃんたちはいつ帰るの?」
お昼。捻瑠ちゃんの勉強を教えてあげてる時に、千音実ちゃんから話しかけられた。
「んーとね。予定は1/2か3だよ。」
4はカナの誕生日だしね!
「……ふーん。」
「なぁに?寂しそうね?」
「……うん。」
「ん。ちなと捻瑠……どっちも……普段以上に……私の部屋にいる……」
それだけ懐いてくれてるってことじゃん!嬉しい!
「ひまねぇ〜……ここは〜……?」
「ん〜?ここはね?」
捻瑠ちゃんはここ数日で、メキメキ上達……って程じゃないけど、このまま行けば合格が見えるラインまで来てる。
…………勉強やらなかっただけじゃないの?やればできるタイプって居るんだねぇ……
「……元々捻瑠は、赤点取らないギリギリをやってたから、やろうと思えば出来たんだよ。もったいない。」
「へぇ〜……天才肌ってこと?」
「……天捻含め中曲瀬家の姉妹って全員そんな感じなの?」
「えーっと……あまねぇは元々ヒーローになりたくて勉強してて、私はやることなかったけどあまねぇと同じ学校に行きたかったから勉強してた。」
「へぇ……で?捻瑠は?」
「基本面倒くさがり。やりたいことしかしない。やりたくない事は最低限。」
「そんな気がしたわ。」
「んぁ〜……?貶してる〜??」
「事実じゃん。」
「むぅ〜……ひまねぇ〜……ちなが虐める〜……」
むぎゅ……
「あはは……仲良しじゃんね?」
「あっ!?捻瑠ずるい!!」
そんなこといいながら千音実ちゃんはカナに撫でられてる。お互い様じゃんね?
「んふふ〜……特権特権♪」
ん〜……昨日あんな姿見せたのに……ふたりはなんだかんだいつも通りに接してくれてる。切り替えが早いねぇ……
「……ニュースになってるわよ。昨日の爆発。」
「「「!」」」
私と愛ちゃん。天捻ちゃんが視線を向ける。
「原因不明の爆発事件。お店がひとつ倒壊。周りが火事だって。死者不明。負傷者多数。まだ完全に調べきれてない……だと。」
「……。」
「あれほどの人の数だと、1日じゃ調べられませんね。」
「……ひまひま。どうする?」
「…………多分だけど……マリア達がやったんだと思う。」
「「?」」
妹ちゃんたちは頭の上にはてなマーク。知らなくていいこともあるんだよ。
「おねーさんには言ってるよ。もう。メールした。」
「ん。そっか。」
「賢明な判断です。」
「だったらもう私たちがやることはないわね。傍観しましょ。」
「……うん。」
今は。今は。
でも、いつか絶対。
side傷原流水
事件現場。消火は終わってる。目の前には忙しなく動く警察の人と複数のヒーロー。
「……」
これは……
日巡璃ちゃんから連絡があってすっ飛んで来たものの……相当酷いですね。クリスマスシーズンが台無しです。
「ブラッドロータス先生!」
私の名前を呼びながら近付く人影がひとつ。
「おや。烈怒頼雄斗。管轄はここでは無いはずでは?」
「そうなんスけど……流石にヤバすぎるってんでファットに声がかかったんス。」
「そうですか。……ファットガムに頼られるとは……立派になりましたね?」
「……!……ウス!」
今や名前を知らない人はいないヒーローになってますね。切島くん。先生冥利に尽きます。
「……情報を聞いても?」
「ウス!事件発生は12/25の13:50。現状わかってることは被害は死者4名、負傷者15名。一軒全壊。三軒に火が。でも軽度っス。死者の身元はまだわかってないみたいッス。」
ネットニュースの情報とは……少し違いますね。
「……そう。捜査は進んでるみたいね。」
目の前。手袋をはめながら倒壊した建物に近寄る。
「先生!危ないっスよ!」
「大丈夫です。……それより……」
ひとつ。瓦礫を手に取る。
「…………」
「何かあったんスか?」
「…………焼けたにしては……壊れ方が異常よね。」
粉々。焼けたにしては……形が残らな過ぎる。
そう。まるで中から爆破させたように。
「……」
「まるで壊した後に証拠隠滅させるために燃やしたような……」
「やっぱそうッスよね……警察の方でもそっちで調べてるみたいッス。それに爆発音の証言もいくつもあるッス。」
対象の爆破。そして証拠隠滅のための放火。それと……
「……」
足元にあった黒い布を拾い上げる。
「…………この手口。」
「どうかしました?」
「……心当たりがある。烈怒頼雄斗。着いてきてください。」
「え!?ウス!どこ行くんスか!?」
「鑑識です。知人もいるので調べてもらおうかと。」
全てが確信に変わる。
「……やっと見つけましたよ。敵名ガスマスク。」
あの時とまるで一緒。何も変わらない。
「私にもう一度捕まりに来たんですか?」