※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

262 / 280
ヒーローは遅れて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

prrrrr……

 

「んぁ!?」

 

何何!?電話鳴ってる!?

 

 

「…………何が……?あえ?」

 

体を起き上がらせて、辺りを見渡すと……みんな寝てる。鳴ってるのは、私の近くにいる天捻ちゃんのスマホみたい。寝顔可愛い。

 

 

「……」

 

悪いけど……出ちゃう?時間は?2時……そっか。新年迎えて私速攻で寝ちゃったんだった。

 

……天捻ちゃん起きないし……出ようかな。

 

 

誰だろ……千音実ちゃん??

 

ピッ

 

「もしも……」

 

『あまねぇ!?ごめん!起きてる!?!?』

 

「うわっ!?」

 

 

急に大きな声出されてびっくりした。

 

「……何事……?」

 

「お嬢様?」

 

私の声に反応してみんながモゾモゾと起き出す。

 

 

「天捻ちゃん今寝てるよ?」

 

『ひまねぇ!!ごめん!捻瑠を助けて欲しいの!!!』

 

「……え?捻瑠ちゃん?どうしたの?」

 

『除夜の鐘聞き終わってから、後輩たちと遊んでたら……!捻瑠の元カノの浮気相手が来て……!!』

 

「…………」

 

 

助けて。浮気相手。それだけでさっきまで周り切ってない脳がフル稼働する。

 

「んにゃ……ひまひま……?」

 

「みんな。すぐに外出る準備して。」

 

「……わかったわ。」「了解しました。」

 

「……??」

 

「天捻ちゃん。捻瑠ちゃんがピンチかも。」

 

「…………え?」

 

「場所だけ教えて!すぐ行く!」

 

寒いのなんの言ってられない。助けに行くのが先決!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言われた場所に近づいていくと……口論が聞こえる。

 

「〜〜〜!!!」

 

「〜〜!」

 

男の声と……たくさんの女の人の声。

 

 

野次馬もちらほら……捻瑠ちゃんが孤立してる訳じゃ無さそうで良かった。

 

「急ご。」

 

「うん。」「はい。」「……」

 

天捻ちゃんがさっきから無言でちょっと怖い。

 

 

やっと全貌が見える位置に……!?

 

目に映ったのはその男の人が女の子たちを威嚇してる姿。しかも……手を伸ばして……!?

 

足元には倒れてる女の子。あれ……千音実ちゃ……!?

 

はぁ!?あいつ……!!個性使ってる!!

 

「ふっ!!」

 

身体をバネのように弾き出す。

 

そいつの腕を掴み、地面に叩きつける。

 

 

「うごぁっ!?!?」

 

「「「!!!」」」

 

そのまま粘液で地面と接着。手袋してなくて良かった。

 

 

「みんな無事!?怪我は!?」

 

「「「槍田さぁああん!!!!!」」」

 

 

無さそうで安心した。……千音実ちゃん以外。

 

「なんだっコレッ!?動けね……!?」

 

「愛ちゃん!千音実ちゃんを!」

 

「了解しました!」

 

「千音実!!」

 

後輩ちゃんたちの後ろから捻瑠ちゃんが出てくる。全力で庇われてたんだ……みんな。本当にありがとう。

 

 

カナ……はスマホで電話してる。多分通報してくれてる。一安心。

 

 

 

天捻ちゃんは……

 

「ねぇ。」

 

私が拘束してる男の前にしゃがむ。

 

 

「私……中曲瀬天捻。……そこに倒れてる……千音実のお姉ちゃん。……何したの?」

 

「うるせぇ!黙れ。」

 

男はそっぽを向く。

 

「…………そっか。」

 

 

興味が無くなったみたいに後輩ちゃんたちの元へ。

 

「……みんな……無事?」

 

 

「はい!天捻先輩!ありがとうございました!!」

 

「ウチら……ウチら……!!」

 

「あの男がっ……捻瑠先輩にイチャモンつけてきて……!!」

 

「それで千音実先輩がくってかかったら……手出してきて……!!」

 

 

「………………」

 

天捻ちゃんの冷たい目。あの目……久しぶりに見た気がする。

 

私をいじめてた子とあった時以来……かなぁ?

 

 

「千音実は?」

 

「……気絶してるだけのようです。命に別状は今のところ感じられません。」

 

「…………千音実……ごめん……私が……弱いから……!」

 

 

…………

 

「何も思わないわけ?」

 

「……は?」

 

「じゃいいよ。とっとと警察のお世話になりな。」

 

「何が……」

 

「知らないわけないでしょ。一般人に向かって個性使ったら普通に犯罪だよ?捕まりはしないかもしれないけど……最低でも未来は無いと思いな。」

 

「……じゃあてめぇも……!!」

 

「私これでも仮免許持ってるから。『女の子ひとりに個性を使って気絶させるようなダメージを負わせた人を取り押さえるために。』って言えば緊急時として理解される。……何人目撃者がいると思ってんの?」

 

「……!!」

 

「お疲れ様。手ェ出す相手間違ったね。」

 

 

ピーポー……ピーポー……

 

ほら来た。

 

バカは救えないね。本当に。

 

 

 

「捻瑠!!千音実!!」

 

「お嬢!!」

 

すると天捻ちゃんパパと使用人さん達まで……

 

もしかして……とカナに視線を向けると……

 

 

「♪」

 

サムズアップしてくれた。ありがとうカナ!!

 

 

 

その後警察さんにお世話になって、色々と事情聴取を受けた。年始からごめんなさい。

 

 

この時も天捻ちゃんパパさんが全力でフォローしてくれたみたいで、私の事情聴取は1時間くらいで終わった。長かった……仮免許持ってて良かった……

 

みんなだけじゃなくて、後輩ちゃんたちも待っててくれたみたいで……

 

「あ!待っててくれたの?」

 

「当たり前じゃない。日巡璃を置いて帰るわけないでしょ。」

 

「当然です。」

 

 

「千音実ちゃんは?」

 

「さっき起きたけど……一応病院。天捻と捻瑠と天捻の両親が付き添って行ったわ。」

 

「……そっか。」

 

何事も無いといいけど……

 

 

「…………ごめんなさい。私たちがこんな夜まで連れ歩いてたせいで……」

 

「「「ごめんなさい。」」」

 

後輩ちゃんたちが頭を下げる。

 

 

「後輩ちゃんたちは悪くないよ……だって捻瑠ちゃんを元気づけようとしてくれてたんでしょ?」

 

「「「……」」」

 

全員が頷く。

 

 

「まぁひとつ問題があるとすれば……中学生だけで夜道歩くのは良くないよね?」

 

「…………警察の人にも言われました。」

 

「うん。次からは最低限保護者さんがいるところでやろうね?」

 

「「「はい。」」」

 

 

 

 

 

 

ってことであとは使用人さんに任せて私達は帰宅。千音実ちゃんは帰ってなかったので一旦部屋で待つことに。

 

「……はぁ……間に合ってよかった……」

 

「ほんとね。……あの野次馬誰も通報しないんだから……」

 

「カナには助けられたよ〜……ありがと♪」

 

「あんたが飛び出したからよ。あの程度すぐ拘束出来るでしょ。」

 

「ご立派でした。お嬢様……!」

 

「そうかな……こんな事ならもうちょっと早く行きたかったよ。」

 

「……ヒーローってのは遅れてやってくるの。その遅れをどれだけ0に出来るかがヒーローだと思うわ。」

 

「……うん。そう……だね。」

 

 

ヒーローは遅れてやってくる。考えてみれば絶対に良いことじゃない。私はできる限りの事をしたんだ。出来たんだ。

 

じゃあ……あとは天捻ちゃん達に任せるしかないね。

 

 

お願い。天捻ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。