side槍田日巡璃
prrrrr……
「んぁ!?」
何何!?電話鳴ってる!?
「…………何が……?あえ?」
体を起き上がらせて、辺りを見渡すと……みんな寝てる。鳴ってるのは、私の近くにいる天捻ちゃんのスマホみたい。寝顔可愛い。
「……」
悪いけど……出ちゃう?時間は?2時……そっか。新年迎えて私速攻で寝ちゃったんだった。
……天捻ちゃん起きないし……出ようかな。
誰だろ……千音実ちゃん??
ピッ
「もしも……」
『あまねぇ!?ごめん!起きてる!?!?』
「うわっ!?」
急に大きな声出されてびっくりした。
「……何事……?」
「お嬢様?」
私の声に反応してみんながモゾモゾと起き出す。
「天捻ちゃん今寝てるよ?」
『ひまねぇ!!ごめん!捻瑠を助けて欲しいの!!!』
「……え?捻瑠ちゃん?どうしたの?」
『除夜の鐘聞き終わってから、後輩たちと遊んでたら……!捻瑠の元カノの浮気相手が来て……!!』
「…………」
助けて。浮気相手。それだけでさっきまで周り切ってない脳がフル稼働する。
「んにゃ……ひまひま……?」
「みんな。すぐに外出る準備して。」
「……わかったわ。」「了解しました。」
「……??」
「天捻ちゃん。捻瑠ちゃんがピンチかも。」
「…………え?」
「場所だけ教えて!すぐ行く!」
寒いのなんの言ってられない。助けに行くのが先決!!
言われた場所に近づいていくと……口論が聞こえる。
「〜〜〜!!!」
「〜〜!」
男の声と……たくさんの女の人の声。
野次馬もちらほら……捻瑠ちゃんが孤立してる訳じゃ無さそうで良かった。
「急ご。」
「うん。」「はい。」「……」
天捻ちゃんがさっきから無言でちょっと怖い。
やっと全貌が見える位置に……!?
目に映ったのはその男の人が女の子たちを威嚇してる姿。しかも……手を伸ばして……!?
足元には倒れてる女の子。あれ……千音実ちゃ……!?
はぁ!?あいつ……!!個性使ってる!!
「ふっ!!」
身体をバネのように弾き出す。
そいつの腕を掴み、地面に叩きつける。
「うごぁっ!?!?」
「「「!!!」」」
そのまま粘液で地面と接着。手袋してなくて良かった。
「みんな無事!?怪我は!?」
「「「槍田さぁああん!!!!!」」」
無さそうで安心した。……千音実ちゃん以外。
「なんだっコレッ!?動けね……!?」
「愛ちゃん!千音実ちゃんを!」
「了解しました!」
「千音実!!」
後輩ちゃんたちの後ろから捻瑠ちゃんが出てくる。全力で庇われてたんだ……みんな。本当にありがとう。
カナ……はスマホで電話してる。多分通報してくれてる。一安心。
天捻ちゃんは……
「ねぇ。」
私が拘束してる男の前にしゃがむ。
「私……中曲瀬天捻。……そこに倒れてる……千音実のお姉ちゃん。……何したの?」
「うるせぇ!黙れ。」
男はそっぽを向く。
「…………そっか。」
興味が無くなったみたいに後輩ちゃんたちの元へ。
「……みんな……無事?」
「はい!天捻先輩!ありがとうございました!!」
「ウチら……ウチら……!!」
「あの男がっ……捻瑠先輩にイチャモンつけてきて……!!」
「それで千音実先輩がくってかかったら……手出してきて……!!」
「………………」
天捻ちゃんの冷たい目。あの目……久しぶりに見た気がする。
私をいじめてた子とあった時以来……かなぁ?
「千音実は?」
「……気絶してるだけのようです。命に別状は今のところ感じられません。」
「…………千音実……ごめん……私が……弱いから……!」
…………
「何も思わないわけ?」
「……は?」
「じゃいいよ。とっとと警察のお世話になりな。」
「何が……」
「知らないわけないでしょ。一般人に向かって個性使ったら普通に犯罪だよ?捕まりはしないかもしれないけど……最低でも未来は無いと思いな。」
「……じゃあてめぇも……!!」
「私これでも仮免許持ってるから。『女の子ひとりに個性を使って気絶させるようなダメージを負わせた人を取り押さえるために。』って言えば緊急時として理解される。……何人目撃者がいると思ってんの?」
「……!!」
「お疲れ様。手ェ出す相手間違ったね。」
ピーポー……ピーポー……
ほら来た。
バカは救えないね。本当に。
「捻瑠!!千音実!!」
「お嬢!!」
すると天捻ちゃんパパと使用人さん達まで……
もしかして……とカナに視線を向けると……
「♪」
サムズアップしてくれた。ありがとうカナ!!
その後警察さんにお世話になって、色々と事情聴取を受けた。年始からごめんなさい。
この時も天捻ちゃんパパさんが全力でフォローしてくれたみたいで、私の事情聴取は1時間くらいで終わった。長かった……仮免許持ってて良かった……
みんなだけじゃなくて、後輩ちゃんたちも待っててくれたみたいで……
「あ!待っててくれたの?」
「当たり前じゃない。日巡璃を置いて帰るわけないでしょ。」
「当然です。」
「千音実ちゃんは?」
「さっき起きたけど……一応病院。天捻と捻瑠と天捻の両親が付き添って行ったわ。」
「……そっか。」
何事も無いといいけど……
「…………ごめんなさい。私たちがこんな夜まで連れ歩いてたせいで……」
「「「ごめんなさい。」」」
後輩ちゃんたちが頭を下げる。
「後輩ちゃんたちは悪くないよ……だって捻瑠ちゃんを元気づけようとしてくれてたんでしょ?」
「「「……」」」
全員が頷く。
「まぁひとつ問題があるとすれば……中学生だけで夜道歩くのは良くないよね?」
「…………警察の人にも言われました。」
「うん。次からは最低限保護者さんがいるところでやろうね?」
「「「はい。」」」
ってことであとは使用人さんに任せて私達は帰宅。千音実ちゃんは帰ってなかったので一旦部屋で待つことに。
「……はぁ……間に合ってよかった……」
「ほんとね。……あの野次馬誰も通報しないんだから……」
「カナには助けられたよ〜……ありがと♪」
「あんたが飛び出したからよ。あの程度すぐ拘束出来るでしょ。」
「ご立派でした。お嬢様……!」
「そうかな……こんな事ならもうちょっと早く行きたかったよ。」
「……ヒーローってのは遅れてやってくるの。その遅れをどれだけ0に出来るかがヒーローだと思うわ。」
「……うん。そう……だね。」
ヒーローは遅れてやってくる。考えてみれば絶対に良いことじゃない。私はできる限りの事をしたんだ。出来たんだ。
じゃあ……あとは天捻ちゃん達に任せるしかないね。
お願い。天捻ちゃん。