※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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せんせ

 

 

 

 

 

 

 

side中曲瀬天捻

 

 

 

 

帰りの車中。パパとママ……ママが運転してる。パパが助手席。お酒飲んじゃったからね。

 

命に別状はないし、後遺症も無い。一安心。ちなも捻瑠もどちらも私の隣で落ち込んでる。

 

 

「……」

 

「そこまで大きな障害も残らないみたいで良かった……」

 

「心配したのよ?」

 

「ごめんなさい……」

 

 

ちなが謝る。

 

「あなたは謝ったらダメ。……ひとつあるとすれば、槍田ちゃんが言ったみたいに保護者なしで遊んでたこと。…………それを容認したのは私たちなんだけどね?」

 

「ああ。何事もなくて良かった。あの嬢ちゃん達には感謝しないとな。」

 

「うふふ。違うでしょ?未来の義娘よ?」

 

「うぐぐぐぐっ………………」

 

 

パパはまだひまひまのこと認めてない。

 

…………表向きは。

 

ちなと捻瑠を助けてくれた事がすっごく嬉しいみたいで、その上私のデレデレ具合を見て割と初めの方にコロッと認めてる。

 

 

ひまひまが怖がってるからあんまり喋れなくてシュンとしてる。最初に威嚇したからだよ?

 

 

 

「……ごめん千音実。……私が……守ってもらっちゃってたから……」

 

「……いいの。私がしたかったことだし……それよりも捻瑠が無事でよかった。」

 

……ふーっ……このままにしておけないよね。

 

 

「…………ね。パパ。ママ。」

 

「どうしたの?天捻ちゃん?」

 

「……どうしよっか。アイツ。」

 

パパとママの顔から笑みが消える。

 

 

「……どうしようもない……のが事実だな。だがこの辺りの高校はもう受けてはくれないだろう。」

 

「未成年だしねぇ……私たちにできることは……何も無いわ。」

 

「……」

 

そう……だよね。私じゃ……何も出来ない。

 

 

「ただ……確実に学校で問題にしてみせる。このまま狸寝入りなぞせん。」

 

「ええ。そうですね。私もお力添えします。」

 

…………私も……この子達を守ってあげたい。出来ることをしたい。……どうしよう。

 

 

「……」

 

私はちなと捻瑠を抱きしめる。

 

「……無事で……よかった。」

 

「「!!」」

 

「何事もなくて……良かった。すっごく……心配したんだ……よ?」

 

「「あまねぇ……」」

 

「あの時……ひまひまが飛び出たからあれですんだけど……私が飛び出てたらわかんなかった……」

 

ほんとに……仮免許持ってないから……ひまひまには感謝だね。

 

 

「……良かった。ふたりとも……!」

 

「うんっ!ありがとう!あまねぇ!」

 

「ごめんなさい〜……次から気をつける……」

 

 

…………そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんせ?」

 

『どうしたの?今中曲瀬さん実家よね?』

 

 

家に帰ってから、みんなから離れてひとり。

 

ブラッドロータス先生に電話をかける。私に今頼れる人は……この人しかいない。

 

時刻は5時。……なんかすごく迷惑だけど……話さずにはいられなかった。

 

ちなみにワンコールで出てくれた。ブラッドロータス先生も起きてた??

 

 

「ん……ちょっと……聞いて欲しい事があって……」

 

『ん〜……わかった。いいわよ。』

 

「あの……ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……個性不正利用による未成年の犯罪ねぇ……』

 

「……ん。」

 

『……大変だったわね。妹さんは無事かしら?』

 

「ん!……そんなに……大きな怪我じゃない……」

 

『そう。良かったわね。……それで?』

 

「……」

 

『私に話して……どうしたいの?』

 

どうしたい……言ってもいいのだろうか。……ううん。言いたいから電話をかけたんだ。

 

 

「え……と…………せんせ。私……妹たちを……守りたい。でも…………相手のことも許せない。……学校で問題にするだけじゃ……溜飲が……下がらない。」

 

『……』

 

「どうすればいい……の?……何ができる……?できることなら……なんだっt」

 

『ダメ。』

 

「!」

 

『貴方に犯罪の片棒を担がせるような事は絶対にさせない。』

 

返ってきたのは……大人としての対応だった。

 

 

「でも……せんせ……」

 

『じゃあ何?私に罪を犯せと言いたいの?』

 

「そんな…………訳じゃ……」

 

何も喋れなくなる。そんなつもりはこれっぽっちも無い。

 

 

『………………中曲瀬さん。貴方はまだ子供なの。学生なの。……仮免許すら持ってない初心者なの。そんな人に……私ができる助言は少ない。』

 

子供。学生。初心者。

 

事実がずっしりと肩に重くのしかかる。

 

 

「……私が……もっと早く……早く来てれば……ヒーローだったら……」

 

みんなを笑顔にできる……ヒーローだったら……!!

 

 

『無理ね。』

 

「…………え?」

 

『今回の状況……通報しない人達が悪いけど、正直間に合ったかどうかは分からない。日巡璃ちゃんたちと同じタイミングだったかもしれない。ヒーローだって人間よ。出来ないことは出来ないの。ヒーローを神格化し過ぎちゃダメ。』

 

「…………」

 

バッサリ。夢にヒビが入る感覚。

 

じゃあ……どうすれば……良かったの?私が無力で……妹を救えなくて……お姉ちゃんなのに……情けなくて……妹に顔向けできなくて……

 

 

『……ね?中曲瀬さん。』

 

「…………はぃ。」

 

自分でもびっくりするくらい弱い声が出た。

 

 

『悔しい?』

 

「…………ぇ?」

 

いきなり……何を……

 

『悔しい?』

 

もう一度。……それは……

 

「……悔しい……です……」

 

 

『辛い?』

 

「……はい。辛いです。」

 

 

『相手のことどう思ってる?』

 

「……憎いです。……すごく……すごく。」

 

『……でも今の社会では出来ることが限られるわよね?』

 

「………………」

 

そう。未成年は法律に守られて……罪の意識が重くのしかかる事を理解しきれない。そういう受け皿もある。社会復帰が出来てしまう。

 

 

『……ね。中曲瀬さん。明日……そっちに行ってもいいかしら?』

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え??」

 

 

 

「あの時はありがとうございます。」

 

「いえいえ。あの時は学生でしたし……まだまだ力及ばず……」

 

「それに今になっても施設を色々手助けしていただいてるみたいで……」

 

「……まぁあれは院長が私の知り合いなので……その一環ですよ。」

 

「はい。それでも感謝しています。ありがとうございます。」

 

「いえいえ。こちらこそあの施設から何人も雇っていただき……」

 

「「「「…………」」」」

 

なんで……せんせがパパとママとお話してるの……??

 

 

 

パパ曰く……

 

パパと今のママはどちらも敵被害で両親を亡くした孤児で、どちらも同じ児童養護施設で育ったんだって。

 

特に何事もなくパパとママのふたりは……大学からどちらも別々の道を歩くことになるんだけど……

 

パパは亡くなった両親の家業を継ぐために頑張ってお仕事をして、私を産んでくれたママと出会って、付き合って、私を作ったのはいいんだけど……もうすぐ出産っていうタイミングで、ママが敵の魔の手に……それで私だけ何とか取り出して……

 

まぁそこから話を聞いた今のママがパパを支えて……って……感じ。

 

 

……で、その敵を捕まえたのが当時学生だったブラッドロータス先生。

 

さらに、今児童養護施設の院長をやってる人は、ブラッドロータス先生が手引きした人。……すごい巡り合わせ……

 

……ブラッドロータス先生は……私の命の恩人だった…………?

 

 

 

「……天捻ちゃんも……同じだったんだ……私と……」

 

横にいるひまひまが声をかけてくる。

 

 

「…………そう……だね……」

 

実は共通点があった私たち。

 

 

「そんなの言ったら……私のパパに手術してくれたのも……ブラッドロータス先生よ?」

 

「あ……」

 

カノカノも……そうじゃん。ブラッドロータス先生に助けられてる。

 

 

「「「……」」」

 

3人の目が一斉にあいあいに向く。

 

 

「……なんですか。私は多分無いですよ?」

 

「「「……」」」

 

知らず知らずの内に何かしらありそう。ブラッドロータス先生はそういう人。

 

 

 

「それで……本日はなぜお越しに……?」

 

「貴方様の元奥様を殺めた敵……あの大戦で脱獄した後の足取りが追えなかったものですが……ヤツのしっぽが掴めました。」

 

「「「「!?」」」」

 

脱獄!?足取り!?なんの事!?

 

 

「そ……それは本当ですか!?」

 

 

「はい。これまで以上に捜査は進むことでしょう。私もヤツを逃すつもりは甚だありません。私が全力を持って奴を捉えます。…………たとえヤツの命を奪ったとしても。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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