side???
カツン……カツン……カツン……
カッカッカッカッカッ……
ふたつの足音がまばらに鳴り響く。
「傷原サン……なんか嬉しそうっすね?」
「そう?私はあなたの顔見ることになって最悪の気分だけど。」
「そっすか。ホント釣れないっすねぇ?」
「釣れないも何も。それ被身子ちゃんに言いましょうか?」
「死んでしまうっす。謝りますよ〜。」
両手を合わせて謝る素振りを見せるスーツの男。
「……その時の気分次第ね。」
「そんなぁ〜……」
白く長い髪、全身ゴシックスタイルで身を染めた小柄な女性が何気なく流す。
まるでいつも通り。普段の空気感。
「……今回呼んだのはそれじゃないでしょ。……ていうか私さっきまで兵庫だったんだから疲れてるんだけど?」
「なんで兵庫居たんすか??」
「例の異能解放軍もどきが出たって連絡があったのよ。」
「はぁ!?そんなの聞いてないっすけど!?」
「当たり前じゃない。個人的なモノだし。……監視カメラ見たら事実だったからあとから報告しようと思ったの。」
「……くぁ〜……そういうのは早く言ってくださいよぉ……ヒーローサイドにもっと厳重にパトロールさせないといけないっすね。」
頭を抱えるスーツの男。どことなく軽そうな雰囲気で、それを小柄な女性は一瞥する。
「普段からパトロールする人が凶悪犯の顔を覚えてないのが悪いわ。」
「…………ごもっともなんすけどねぇ?人間って実は傷原サンほど記憶力良くないんすよ……」
「努力しなさい。」
「はぁ…………」
一刀両断。……公安委員長がこれでいいのか。
「……」
……なんだ?……目が合ったような……
「………………鷹見くん。それで用事って?」
「……はいはい。ブラッドロータスさん……んじゃあとりあえず、今回はブラッドロータスさんの言いつけ通り、指定された地区のパトロール順路を変えてみました。……そしたらっすね……これ見てください。」
「……ん。……ふーん……?」
スーツの男がカバンから取り出した資料を、小柄の女性がパラパラパラとめくる。……あれで読めてるのか?
「……やっぱり。ビンゴね?」
「そうっすね。ブラッドロータスさんが現場にいるだけでこっちの仕事は相当楽っす。」
「チャートにぶち込んでくれたおかげでこっちは動きにくいっちゃありゃしないけどね。」
「ははは!日頃の行いっす!」
ブオンと大きな風切り音とともに小柄の女性が拳を振り抜く。スーツの男はそれを難なく躱す。
「次言ったら金的ね。」
「ひぇ〜怖い怖い。」
「ちっ……それで?例のブツは採れたの?」
「はい。数グラムほど。」
「……じゃああとはそれで一致するものがあれば……って話しね?」
「そうっすね!何も無ければそういうことなんで。」
「何も無い方が数倍めんどくさいわね。何かしらの奇跡で一致してくれるといいけど。」
「望み薄っすね!」
「…………はぁーっ……こういうのは警察が予めしっかり採取しとくもんでしょ!」
「教育が足んないんじゃないんすか?」
「……誰のだよクソ鳥。」
「ハハハ!」
ブオン!ブオン!
「2発はずるいっす!!」
「ふん。」
そのまま小柄な女性が資料を手渡す。
「まぁアテが外れたら次ね。」
「そうっすね。折れないで行きましょ。」
そのままふたりが歩を進めようとした時……
急に目の前いっぱいに赤い塊が。
「……え?」
ズガガガガッガガアン!!!
「流水さん!!」
「……逃がしたか。」
なんで私の場所がわかったの!?こわこわ……ヴィに言いに行こ。なんかどっちも私のことわかってたっぽいし……なにここ。公安ってこんなに武闘派な職員が多いのぉ?
「……ふん。持っててよかったわね。」
「……なんすかそれ。初めて見るんすけど。」
「マッチ棒よ。」
「んな訳ないでしょ。」
「いいわぁこれ……手に馴染む。やっぱりこれくらい無骨なのがいいわよね。」
「女性らしくない……」
「なんか言った?」
「なーんも。」