※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

272 / 280


明日(2026/08/28)の午前は予定があって更新不可です。

申し訳ありません。




ピュア

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

「エスネイラー。遅いぞ。」

 

「っ!!……はいッ!!」

 

私たちヒーロー科に大事なのは勉強だけじゃない。

 

 

 

そう。インターンもだ。プロヒーローの仕事を直で体感、アドバイスしてもらえる環境は雄英高校だからこそ。

 

特に今みたいな……

 

 

「はっ……はっ……」

 

「……まだ無駄な動きが多いな。修正していこう。」

 

「はい!」

 

 

No.2ヒーローの仕事に立ち会えるなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねーさん!」

 

「あら。日巡璃ちゃんこんにちは。」

 

 

冬休みが終わって数日後、昼休み私は保健室に来ていた。

 

流水おねーさんは今日もパソコンをカタカタカタ。資料を横目で流しながらなにか仕事をしている。

 

それでも私が来たらお茶を入れてくれる。優しいよねぇ……

 

 

 

「お仕事中だった?」

 

「ん〜?……大丈夫よ。いつもの日課だし。」

 

「日課?」

 

「そうそう。脱走犯とか指名手配の敵の顔ある程度見直してるの。」

 

「……え!?全員!?」

 

「あはは!それは無理だから何日かに決めて見てるわ。毎日見ないと忘れちゃうしね?」

 

「……疲れないの??」

 

「ん〜……」

 

おねーさんがお茶を1口。

 

 

「……ね。日巡璃ちゃん。小説とか漫画って読んでる?」

 

「え?……うん!最近読んでるよ!天捻ちゃんに面白いって紹介してもらったんだ!」

 

「そっか。じゃあさ、伏線とかってわかるよね?」

 

「わかる!後半でいつの間にか張り巡らされてた伏線回収とかされるとびびびって来ちゃう!!」

 

「うんうん。そうだよね。」

 

「それがどうかしたの?」

 

 

 

 

「現実にはそれがないの。」

 

「……?」

 

現実……?

 

「分かりやすく言うとね?敵の犯罪に伏線なんてものを感じる余裕なんてないの。0か1しかない。被害が起きたか起きてないか。」

 

おねーさんの目が少しだけ真剣になる。……ちょっと私の背筋が伸びた。

 

「そもそも伏線なんかあるかすら分からない。……だからこそその0を1以上にしないように私は最上限できることをしてる。」

 

「……!」

 

「それでも0で終わることなんてあまりないけどね?」

 

「……おねーさん……」

 

 

伏線なんてない。0か1。0を1以上にしないように。……おねーさんはそんな難しいことをしてるんだ。……してきたんだ。

 

 

「…………本当はねぇ。日巡璃ちゃんに私のホントの仕事の話する気無かったんだ。」

 

「どうして??」

 

「だって日巡璃ちゃん私と同じこと多分できないし。」

 

「………………え?」

 

「才能がないとか言ってるわけじゃないのよ?……多分あなたは優しすぎる。」

 

「……優し……すぎる……?」

 

「ええ。相手を許しすぎてしまう。……だから…………あなたはヒーローのままでいて?」

 

「……」

 

許しすぎる。初めて言われたかもしれない。そんなつもり……ないんだけど……

 

天捻ちゃんが虐められた時は怒った。ミトちゃんに水ぶっかけた子にも怒った。壊理ちゃんの過去にも、天捻ちゃんの妹ちゃんの件もそう。

 

怒ったけど……許したとか許さなかったとか無かった……とおもう。

 

 

「あなたは多分こちらの世界に来てもきっと結果を残せるはず。……でもあなたの光をこちらの世界を照らすだけなんてもったいない。」

 

それは拒絶じゃなかった。否定でもなかった。

 

 

「私の事を見習ってもいい。でもね?あなただけのヒーロー像を作って欲しいの。あと2年……きっと見つかるはずよ。」

 

私だけのヒーロー像。おねーさんみたいじゃない。他人が含まれない純粋な夢。

 

オリジンじゃない。私のピュアを見つける。

 

 

「…………うん!わかった!」

 

「よろしい。」

 

 

 

「……でも。」

 

でも……

 

「私の光がそっちの世界まで照らしちゃったらごめんね?」

 

私はそちらの世界に行かないとは言ってない。

 

 

「……ふふ。なるほどね?」

 

おねーさんの嬉しそうな……ちょっと寂しそうな顔。

 

 

 

「……子供の成長は早いわね。(ボソッ」

 

「何か言った??」

 

「んーん。日巡璃ちゃんらしいわねって言っただけよ。」

 

「??」

 

私らしい……か。

 

 

 

 

「それでなんだけど。日巡璃ちゃん。インターン言ってみない?」

 

「え!ホント!?」

 

「学校に回せばいいのに私に打診が来てねぇ……」

 

「……?じゃあサーじゃないの?」

 

「ええ。あそこは今色々調べてもらってるから……で、インターンやってみたいから、誰かいい子がないかって言われたから日巡璃ちゃん紹介したの。」

 

おねーさんが私を紹介してくれたの……なんかちょっとだけ嬉しい。

 

 

「……それで?ヒーローの名前は??」

 

「ショート。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はこっちだ。」

 

ジャアッ!

 

「はいっ!!」

 

 

ショート……エアコンヒーロー。個性半冷半燃。体の半分で炎が出せて半分で氷が出せる。独立してからグングン順位が上がり、今やNo.2に。(愛ちゃん調べ)

 

 

 

彼は氷で道を作ってスイスイ進んでいく。体力もあまり使ってないようで、私が頑張って追いかけても何もさせて貰えてない。

 

パトロールでもこの強度……速度と練度。正確さも全てが高水準。見てるだけでも勉強になる。…………できるかは一旦置いておいて。

 

 

「次はこっちだ。」

 

「っ……はいっ!!!」

 

おねーさんの紹介だもん!吸収できるところは全部吸収してやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エスネイラー。少し硬いな。」

 

「……?」

 

休憩中。ショートがボソッと一言。

 

「「……」」

 

いやそんなキリッとされてもなんのことか分からないですって。

 

 

「……?」

 

なんなのこの人???わからなかったか?じゃないんですよ。表情で何言いたいかわかってしまうんだけど??

 

 

「えと……なんの事ですか?」

 

「む…………動きだ。身体の。緑谷が教えてるからてっきり出来るものだと……」

 

「デク先生ですか?……私異形型なので、周りよりちょっと(当社比)力が強いくらいですよ?そんなにガツガツ力出せませんし、バビュンバビュン飛べません。」

 

 

「出力の話じゃない。余裕の話だ。」

 

「余裕……?」

 

「ああ。傷原先生の動きに似てるから君にも出来ると思う。」

 

「ん〜……」

 

 

……たしかにおねーさんは私と組手しても息が上がらない。動きに余裕があるから?無駄な動きが多いってのはそういうことかな?無駄に体力使ってってこと?

 

 

「もっと楽に動く方法を探していこう。そうすれば現場の余裕に繋がる。」

 

「はい!」

 

 

 

現場の余裕……確かに大事だね。身体のコンディションをどのくらい保てるかってのも大事って聞いたし……おねーさんから。

 

バッドコンディションと向き合うのはそうだけど、コンディションの維持。

 

 

そのために私は……

 

このインターンではいっぱい考えることがありそう。

 

仕事を学ぶだけじゃなくて、自分のやれることを増やす。

 

 

発想力。……なんとか見つけ出さないと……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。