side槍田日巡璃
正座中の私の前に仁王立ちの3人。
「「「……」」」
「もー!怒んないでよ!!しょうがなかったじゃーん!!!」
あの後たらふくご飯を食べさせてもらい(食べさせられて、)困り半分嬉しさ半分の紅姫ちゃんに見送られて雄英に帰ってきた。
帰ってきたんだけど…………
3人に速攻拉致られて私の部屋へ。連絡はしたんだよ!?今日帰るの遅くなるかもって!
でも……時計を見ると……
「……遅くなるとは仰られました。ですがもう22時です。」
「う……」
そうなんです。紅姫ちゃんの両親に山ほど感謝されて帰るに帰れなくなり……現在22時。もう私はそろそろ寝る時間。
そりゃみんな心配するよね。…………いやでもこれ私悪くなくない!?
「でも……!」
「言い訳……いらない。」
「くぅ……」
「お嬢様。心配したんですよ?」
「怪我も……してるし……」
「……」
右足を摩る。包帯の感触。
「また無茶をされたんですか?」
「いや!遅くなったのはこの怪我のせいじゃなくて……なんなら歩いてたでしょ!?そんなに深いわけじゃないんだよ!」
「……じゃあ……なんでこんな遅いの。……もしかして女?」
「お嬢様!?」
「ちっがーーーーう!!!女の子助けたけど!それに間違いは無いんだけど!!」
ふたりがどんどん変な勘違いしてる!!
「はぁ〜……落ち着けバカ女共。」
「「なっ!?」」
「佳舞ちゃん……!!」
助けてくれ……
「日巡璃から何一つ聞かずに何を言ってるんだ。女を作ったか外で遊んできたか知らんが、どっちにしろ私達の元に戻ってきたから良いだろう。」
……ん???
「その女を作ってきた可能性があるのが……」
「なんだ?ふたりは日巡璃の身も心も奪い返せないのか?」
「「……は??」」
「私はあるぞ。新しい女から日巡璃の全てを奪える自信が。」
佳舞ちゃんが私の肩に触れる。
「私はそれ以上に日巡璃が大好きだ。もう日巡璃無しじゃ生きていけない。身も心も奪われている。…………なら……日巡璃も私に身も心もくれたっていいじゃないか……な?」
ドロっとした視線。その瞳の奥には歪んだ独占欲。……佳舞ちゃんはいつから……???っていうか……
「えと……あの〜??」
佳舞ちゃん???なんか言ってること……
「……そうですね。お嬢様には私たちが居ないと生きていけないと思ってもらわないと。」
「ん……全部お世話……する。」
「……え?」
ふたりも……!?
「ちょっちょちょちょ!?!?私……みんなと対等でいたいと言うかなんて言うか!!」
「対等だぞ?おたいが依存し合う共依存だがな?」
「今日は……ひまひま……大変そうだから……」
足を見られた。
「…………う……」
「お風呂入りましょう。」
「ん。そう。まずは……ね?」
「怪我人をきちんと見てやらないとな。」
「あの……歩けるから……」
「「「ダメ。」です。」だ。」
「う…………はい…………」
私はもう従うしかない。……私は明日を無事迎えられるのでしょうか。
「……それで?無茶させたの?」
「「「……」」」
「あのっ……」
「日巡璃は黙って。」
「う……ハイ。」
今度はカナに……怒られてます( ˙꒳˙ )
あの日、ちょーーーーっと色々あって足の怪我が少し開いちゃって……治るのが遅くなっちゃったんです。
結果的におねーさんに怒られちゃった。今はカナにも怒られてるんだけどね。あはは!
それがバレて今日……って感じ。
「日巡璃が無事で嬉しいのも、遅く帰ってきて心配したのもわかるけど、怪我人無茶させたらダメでしょ。何考えてるの?」
「えと……お風呂で……ちょっと盛り上がってしまって……」
「おバカ!!アンタらは自分の欲望も抑えられないの!?それで日巡璃の怪我が今以上に悪化したらどうなるかわからなかったの!?現に悪化してるでしょ!!」
「…………おっしゃる通りです。」
「……ごめん。」
「………………」
カナ……強いなぁ……
「日巡璃も日巡璃だからね!」
「ハイッ!!!」
「今回に関してはしょうがないところもあるけれど、貴方はもっと自分の価値を高めに見積もった方がいいわ!……怪我辛くない?」
「大丈夫だよ!歩けないほどじゃないから!」
するとカナの手がスーッと伸びてきて、ぺちんとデコピンされた。
「あた!?」
「……もう。人を救うのは美徳だけど……自分の体も大事にして?そうしないと……」
「…………そうしないと?」
「あなたを部屋から出してあげれなくなっちゃうから♡」
「ヒョェッ……」
背中ゾクッとした!佳舞ちゃんとは違う独占欲。泥のような佳舞ちゃんとは別の、鉄のような冷たさの独占欲。纏わりつく佳舞ちゃんと、閉じ込めるカナ。
「……わかった?」
「はいっ!!それはもう痛いほど!!」
「よろしい♪」
怖っ!?…………でもちょっとだけそれもいいなって思っちゃった私もいる。
「……あら?……私はいつでも歓迎よ?」
目を細めてこちらを見つめてくる。カナの後ろに黒ーいモヤが見えた気がした。……気がしただけだよね!?
「遠慮しておきます!!!」
「残念♡」
そんなこんなで一旦授業を終え放課後へ。今日は座学だけだから助かった。
「……ふむ……ざっと見積もってあと二日ね。」
「はーい。」
スルスルと包帯を巻き直すおねーさん。慣れてる……当たり前か。
「はーいじゃないのはーいじゃ。1日伸びたの。……まったく。………………あなたの彼女は被身子ちゃんとは違うのね。」
「……ごめんなさい。」
するとおねーさんはフッと顔が緩む。
「……あなたが謝ることじゃないわ。……どう?ショートのところは。」
「なんて言うか……難しいです。どうすれば追いつけるかわかんなくて……」
「……はぁ……あの子コミュニケーションが独特なところあるからね。特に学生とは初めてでしょうし……」
「…………」
「でも彼の動き……真似できるところあると思うわよ?」
「………………え?どこ!?」
「言わない。あなたで見つけなさい?」
「えー!!」
「それがインターンでしょ?」
「うー…………はーい。」
「頑張ってね?応援してるわ♪」
ガラッ
すると急に保健室のドアが空いた。
「槍田!居るか!?」
「あれ!?香曽我部くん!?」
出てきたの香曽我部くん達。無頭くんも最近よくいるよね。
「お前何したんだよ!」
「え!?何が何が!?!?」
「校門の前にいかにも怖そうな女子が集まってるであります!!」
「槍田日巡璃を出せって……怖いよ?」
「え!?!?」
なんかしたかな!?!?
「…………私も行きます。」
「おねーさん!?」
ということでとりあえず校門へ。
見ると……1,2,3……10人はいるよね!?多いなぁ……
なんか校門から出る人に全員声掛けてる気がする…………あ!
「毒島先輩!……と反甫先輩。」
「なんで私だけガッカリするのよ!!……あ♡ブラッドロータス先生!!」
「こんにちは。反甫さん。」
「スーッ……」
なんか抜けてない?
「あー……槍田。やっと来たかよ。」
毒島先輩が言うが早いか、1人身を乗り出してくる。
「槍田!こいつが……!!」
「オイ!ちょっと待ってろ!!」
「姉さん!槍田日巡璃見つけましたぜ!」
ワラワラと私の前に女の子たちが……みんな異形個性だね?
私の前にスっと立ち塞がる毒島先輩とおねーさん。……それに反甫先輩。……なんだかんだ優しいじゃん。
人混みの中から出てきたのは……
「オッス!日巡璃さん!!」
「あれぇ!?!?紅姫ちゃん!?」
なんか昨日より大分イカつい服装してるけど紅姫ちゃんだ!?なんでそんな特攻服みたいなの着てるの!?!?
「オス!昨日ぶりっス!」
めっちゃ頭下げてくるし……何事!?
「姉さん!この方が……!」
「ああ!アタシの命の恩人だ!」
「「「うおおおおおお!!!!」」」
「「「……」」」
3人ともそんな目で見ないでください…………
「それで……紅を救ってくれたんですね。ほんとにありがとうございます。」
「うん!怪我がなくて良かったよ!」
とりあえず目立つので少し離れた公園へ。
聞くところによると皆異形個性に悩んでる女の子の集まりらしくて、それが代々続いてるんだと。それの今のトップが紅姫ちゃんだったらしく……いやそりゃ親御さんも否定するよ。怖いもん。
それで昨日のことを私も説明したら、全身真っ黒な子に感謝された。……この子なんの異形個性だろ?
「コラ!キジ!お前日巡璃さんに失礼すんじゃねぇぞ!」
「うるさいよ。わっちはアンタほど口が悪い訳じゃないからね。」
「キジ?」
「喜地 愛芽茘(きじ あめり)です。アメフラシの個性です。」
黒い女の子が自己紹介してくれた。愛芽茘ちゃんか!たしかによく見ると触覚が……?
「アメフラシ!!だからそんな綺麗な真っ黒なんだねぇ!」
「綺麗……!」
「へへっ!日巡璃さんはウチらを裏表無しでしっかり褒めてくれるんだぜ!」
「……なんで偉そうなのさ。……まぁ……紅が夢中になるのもわかるよ。」
「なっ!?夢中になんか……!」
ボッと顔が一気に赤くなる紅姫ちゃん。……肌が真っ白だから分かりやすいね?
「そうっすねぇ〜!姉さん今日ずーっと話してましたもんね!」
「好きなんすかぁ??」
「楽しそうだったっす〜!」
「うるせぇうるせぇ!茶化すんじゃねぇ!アタシは尊敬してんだよ!!」
なんか……元気だなぁ……
おねーさんはいてくれるけど、先輩は帰っちゃったし。
「と!とりあえず!!日巡璃さん!!」
「わ!はい!」
わ!?急に来た!
紅姫ちゃんは私の前で足を開き中腰に。そしてよくわかんないことを言い始めた。
「日巡璃さんのこと姐さんって呼んでいいっすか!!舎弟にしてください!!」
「…………はぇ!?」
しゃ……しゃてい?